池上彰のレビュー一覧
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先に行動経済学の決定版(私見)である『最後通牒ゲームの謎』を読んでからの本著のため、正直物足りない。ページ数も少なくイラストの解説に半ページ使うような仕立てであり、入門編という所だろうか。何度も同じ用語や解説があり、編集のミスかと思うくらいだが、その手厚さも初級編に相応しい。
本著で特に気になったのは「平均への回帰」。これは、堀江貴文もYouTubeで引用しているが、例えば、健康に関してこれを当てはめると、病気ガチな人も必ず小康状態に回帰する。その健康状態の復活するタイミングで試していた薬や行動に効果があったものと思い込んでしまうのだ。因果関係を科学的に説明できないものは、大方これだろう。生 -
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めちゃくちゃわかりやすい!
のはTVとかで充分に知れ渡っているので。中学の現代社会の教科書を、ギューっと握りしめて抽出したドモホルンリンクルみたいな中身。お金の成り立ちに始まって、先物取引に至るまでの「経済用語」のわかりやすい解説書という感じだった。池上さんの立体的な説明がなるほど!という納得感まで与えてくれる。
特に面白かったのが民主党政権の功罪をしっかりと教えてくれる授業。円高になって、蓮舫さんが官僚を撫で斬りにしてたっけ、くらいからグンと解像度を上げてもらった。それがあって今の長期自民党政権があるのか、と知識が結合してレベルアップ。
この調子でコロナ以降もぜひ解説してもらいたい。
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ネタバレ振りとつかみ、説明の分かりやすさは絶品。
もとキャスターという履歴もあり、かつての要人との対談の逸話も多くあり、また語り・つかみが上手なので、そうしたところから東南アジアに興味を持ちやすい本だなあと感じました。
ほんの初歩の初歩としては良いかもしれませんが、ただ深さとしては飽くまで高校生レベル。
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さて、本書ですが、かの池上さんが、高校生に東南アジア、わけてもいわゆるアセアン諸国について語るというもの。
日本の立ち位置で一章、アセアンという組織の由来とベトナムで一章、シンガポール・マレーシアで一章、インドネシアで一章、タイとフィリピンで一章、カンボジアとミャンマーで一章、という構成 -
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ネタバレ配役の妙。
話術に長けたパックンが、修辞学に基づいて、演説の内容をレトリックや言葉遣いについて分析、池上さんが、演説がなされた時代背景や世界情勢を解説し、その意義を補完する。
対話調にまとめられているので、お手軽に読みやすい。筑摩書房編集局のお手柄か。
取り上げられた演説は全部で15。チャーチル、J・F・ケネディは当然ながら、レーガン、キング牧師、ネルソン・マンデラと、名だたる名演説が列記されている。
ややもすると、それらは何度も見聞きし、世の名言集にもピックアップされているようなものも多い。池上さんの解説にも、いまさらながらの目新しさもない章も少なくない。
そこを、英語のネイテ -
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ハマスとイスラエル紛争の本質を知りたく中東の事を再勉強。
パレスチナ問題を作った第一次世界大戦時のイギリスの3枚舌外交の罪は重い。
また、今日の中東の大混乱はアメリカが作った。特にアメリカの罪は重い。
ヨーロッパ普遍主義の限界。
ソ連が緩衝地帯を作る為にアフガニスタン侵略。ソ連を弱体化したいアメリカが反政府勢力を支援。その中からオサマビン・ラディンが生まれた。
湾岸戦争をきっかけにアメリカがサウジに駐留。反米思想を持ったオサマビン・ラディンがアメリカに対してアルカイダを使って同時多発テロ攻撃。
怒ったアメリカがアフガニスタン攻撃、さらにイラク攻撃でフセイン政権を倒す。いい加減な統治のせいで -
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世界で最も読まれている書物「聖書」を、多くの日本人は聖書を読んだことがない。本書では、教養として抑えておきたい聖書の全貌を明らかにしながら、聖書が世界にどのような影響を与えているのか、解説していく。
全く信心深くもなく、学校も宗教色を避けたためにキリスト教とは無縁に育った。よって聖書に関しては「アダムとイブ」「キリスト」くらいしか登場人物すら分からない人間になってしまった。へええ~あの言い回しはここから取られたのか!と豆知識が増えるだけでなく、今のイスラエル・パレスチナ問題に関しても理解が深まる。キリスト教徒でないからこそ知っておくべき知識の入門としてはよい。 -
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1.この本を一言で表すと?
戦前の左翼の活動を歴史的にまとめた本。
2.よかった点を3~5つ
・日本共産党を過大評価したコミンテルン(p179)
→コミンテルンから裏金が共産党に流れていたのは驚きだった。
・辻潤(p141)
→尺八を吹くことと詩を書くこと以外ほとんど何もせず生活の糧は物乞いをしている放浪生活を送りました。究極の個人主義者ででいたんだなと驚いた。
・大逆事件の衝撃(p127)
→当時の政府のやり方はかなり無茶な部分があったと感じた。
・社会運動をやる上では入り口がものすごく大事だと思いますね。自分たちで働いてお金を集めるなり、薄く広くカンパを集める手段を最初から確立して -
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シリーズ最終巻。
この辺りから、だんだん知っている名前も増えてきて面白い。
本作では革マル派、中核派、民青などに加え、労働組合の物語が強くなってくる。
中でも国鉄時代の労働運動は大変に興味深い。
ただし、上尾事件や首都圏国電暴動などは1973年の事件ということで全く知らず。
こんな恐ろしい事件があったのかということにひどく驚いた。
スト権スト、だとか、半合理化闘争だとか、ちょっと私の世代では考えられないほどの無駄で生産性のない動き。
本当に時代というものは変わっていく。
また、メディアの考え方もこんなに今とは違うのか、と驚く。
左翼とはなんなのか。
今や「パヨク」などとあげつらわれ、一方で