あらすじ
激動する国際情勢を“最強コンビ”が徹底解説
怒りが世界を覆す。
今後の世界のカギを握るのが、「グローバルサウス」だ!
かつて「第三世界」といわれた南半球に多い途上国・新興国は
名目GDPの総計がG7を上回った。
アメリカはトランプが勝っても負けても内戦危機。
「ハマス後」はアメリカ抜きで中東諸国が決める。
日本がGDPでインド、インドネシアに抜かれる。
衰退する日本はどう生き抜くべきか。
第二次大戦後以上の大混乱が起きる前に必読の一冊。
【目次】
プロローグ グローバルサウスの逆襲が始まった
第一章 中東情勢から動向を読み解く
第二章 アジアの均衡が崩れるとき
第三章 ロシアと結びつくアフリカ
第四章 アメリカ大統領選が世界最大のリスク
エピローグ グローバルサウスは福音か、混沌か
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
池上さんと佐藤さんの博覧強記ぶりに驚くが、「世界の中では日本もグローバルサウス」というのは達見だと思う。環境問題を見ているとよく分かる。ウナギ問題とか。
Posted by ブクログ
やはり、佐藤さんはロシアに詳しい。
ロシアがアフリカに近寄っていることは認識していなかったので学びになった。
中国の一帯一路の安くインフラを作ってやるが、金を返せないなら何かをよこせ、というようなやり方ではなく、上手く投資の形でアフリカに恩を売っている。
アフリカはこれから確実にでてくるグローバルサウスの地域だから、注視していきたい。
イスラエルとハマスの関係についても、新しい視点が得られた。どうも、ニュースやSNSではイスラエルが悪者らしいということしか分からなかったのだけど、そもそも、ハマスがどういう組織なのかを再認識した。(国や自治政府ではなく、あくまでもテロ組織という認識。野戦ネットワークのテロ組織なので、上を叩けば終わりとならず、掃討しなければ繰り返される。ガザ地区の自治政府にもハマスの非戦闘人員が入っているため区別がつけづらい。しかし、非戦闘人員がだとしても、ナチスのシステムと同じで、積極的に行動をしていなくてもシステムの一員としてハマスを支えている、という論理。アーレントのエルサレムのアイヒマンを引用して説明。)
しかしながら、上記の論理を当てはめてみても、システムからの「中立化」をしたいと、南部に逃げろといいつつ、その後結局かなり広範を攻撃しているのは何故か…疑問が残る。
最後はアメリカ大統領について、結局トランプ氏になったけど、この二人からしても、トランプ氏が大統領になったらどうなるかは不明確ということらしい。ただビジネスマンのトランプ氏は平和な方が儲かるから戦争を好まないだろうということで希望を持った。親イスラエルであることがどう影響するか、また、ウクライナからは手を引くということで停戦に及ぶのか…プーチンとの関係は?動向が気になることがたくさんある。
最後に完全に余談だと思うけど、トランプ氏が大統領選に出馬する理由となった一つに「年次記者晩餐会」のオバマ大統領のジョークで恥をかかされたことがあるようだ、というので、就任時期の活動の動機が見えて面白かった。
Posted by ブクログ
グローバルサウスの現状を知りたく、この本を手に取った。
グローバルサウスは、G7などのグローバルノースへの反抗心はありつつも、自国の利益を優先して、一枚岩になれない(本書にも書いてあるが、グローバルサウスというより、インターナショナルサウスといったところ)と感じた。第三勢力の動きや心理が手にとるように書いてあり、参考になった。
イスラム教について詳しく知らなかったが、戦争のためなら女子供の犠牲は厭わないという教えを知り、怖い宗教だなと感じた。
グローバルサウスのことを頭の片隅に入れず、ずっとアメリカに追従していたら、そのうち台頭するグローバルサウスに国力を突き放されて、国際社会で遅れをとってしまうと感じた。
日本のニュースでは、G7をはじめとした北側諸国寄りの報道しか流れてこないと感じ、日本のメディアの偏向報道に嫌気が差した。自らBRICsなどの情報を知ることが重要だと感じた。
自分ができることは多くはないが、今後できると思ったことは以下の2つ。
•アルジャジーラなど、海外のメディアでニュースを知る
•日本の外遊先を知る(外相がどの国と仲良くしているか)
Posted by ブクログ
世界情勢が気になり、読んだ。
自国主義のグローバルサウスの台頭、アメリカの内向き、ロシア・中国の支配拡大などの繋がりや背景をざっくり理解できた。長い歴史のサイクルを見ると、民主主義と独裁が交互に続いており、今はその民主主義・資本主義による格差拡大と停滞感に嫌気が差し、独裁(自国主義)へ向かおうとしているような局面らしい。今までの平和ボケした前提で世界を見るのは正しくないのかも
Posted by ブクログ
手嶋龍一氏ほどではないが、池上彰氏と知の巨人・佐藤氏との対談もいつも示唆に富んだものだ。本対談はグローバルサウスを語る過程で、全世界を俯瞰するように過去・現在・未来を語ったもので深みは薄いが、全体把握には丁度良い。
Posted by ブクログ
アメリカの大統領選挙の前に出版された本ですが、世界の国、特にアフリカやロシアの話あたりは勉強になります。ハマスあたりは私の理解が追いつきません。
Posted by ブクログ
夢の中へ、僕と踊りませんか。って感じの世界になるのか。
ミネルヴァの梟は、夕暮れに飛び立つ、ね。二百年、五百年、二千年のレンジの大転換の予兆だね。
ベイトソン、ダブルバインド。人類学的な知見が、役立つか。プレモダンですら無いのだから、そうだわね。
原初の能動性が、是が非でも、必要なんだね。
Posted by ブクログ
この本を読むと、日本の報道がいかに足りないか? を感じて心が痛みます。
世界の価値観が多様化して、世界の中心が明らかに動きつつある現在、日本は過去の成功体験に自惚れて、もはや崖っぷちどころか奈落に落ちてしまっているのに、それを未だ認識できていなようなズレを感じます。
もっとグローバル化された報道の必要性を痛く感じます。
池上さんは最近イスラム世界が今後に及ぼす影響の大きさに言及される事が多く感じます。
その根拠もこの本である程度理解できますし、地上波や新聞等では知りえない情報を知ることができると思います。
この本から自分は、日本において世界の動きは自分から取りにいかないと得られない、、と感じます。
「日本の報道は足りない、核心部分の議論や検証が足りていない」
これからの自分の姿勢に影響を与えてくれるジャーナリストのお二人に感謝です。
Posted by ブクログ
グローバルサウスの国々を軸としながら、ガザ地区イスラエル問題や、アメリカ大統領選挙、ロシアウクライナ戦争など様々な世界情勢を池上さん、佐藤さんの目線で語ってる作品。
特にロシアのアフリカにおける投資戦略は全然知らなかったので、勉強になりました!
Posted by ブクログ
東京に長いこと暮らしている実感として、周囲には資本主義に包摂されアメリカ的フィルターを通した物の見方に染まった人が大多数だ。対して、保守・復古的価値観に意義を持つ人も散見するし、やれ風の時代だ、直観が大事だ、大いなる力だ、闇の権力者だとスピリチュアルや陰謀論に染まる人もやたらと多い。こちらはいずれも反知性主義的傾向が強く、ナイーブすぎる。
認知バイアスがある以上、情報をバランスよく、現実的に受け取ることは難しい。それでも真摯に、丁寧に情報を集め、主体的・柔軟に思考を積み上げることで強くしなやかなビューを持つことができると私は信じている。
世の中には南:北、リベラル:保守、先進国:途上国、民主主義国:社会主義・独裁専制国といったような様々な二項対立軸があって、その枠組みで世の中の構造を我々は紐解いてきた。本書では今あげたような二項対立軸を再編して、グローバルノース:グローバルサウス(インターナショナルサウス)という視点で現代の世界的社会的課題を読み解いていく。
日本の強みは「和」だ。
対立するでもなく、孤立するでも、従属するでもない。主義主張の強い国々が周囲で争っているのならば、それぞれの主張を傾聴し、和ませ、濁らせながら現実路線で行けばいい。そして彼らのいいところを吸収して学び、貢献できる点で貢献し、じっくり着実に成長していけばいい。
一矢報いようだとか、華々しく返り咲こうだとか考えるのは発奮するには良いかもしれないが、正見を備えない張りぼての自信は空回りしてしまうだろうし、下手すれば玉砕の道に突き進むリスクもある。
かといってボヤっとしていたら大波に流される。
自由と民主主義は素晴らしい。それの恩恵を得て、私は今幸せに暮らせている。しかしそれが100%正しい概念というわけでも、100%我々に馴染んでいる概念であるわけでもない。綻びもあれば、馴染まない人もいる。
グローバルサウスの面々は我々日本人以上にそう思っているわけで、彼らの理解なくして共生はできない。
日本の歴史を顧みれば、和を尊ぶとはいえ、排外精神と争いの多さがよく目につく。
不安定を嫌い異分子を敵視する性があったとしても、徐々にでも他者を理解すれば壁は薄く出来る。
米大統領がトランプでもバイデンでも、遠からずアメリカの権力は弱くなる。そしてその空白はグローバルサウスの増大によって埋まる。
メガテック企業は依然として存在するし、画期的なアイデア、プロダクト、サービスは今後もその大きな競争社会から生み出されてくるだろう。ピークは過ぎるかもしれないが、経済的な強さは今後も続くに違いない。
ただしもはや一強ではないのだから、例え相いれない価値観であろうとも、日本は今後のグローバルサウス側の面々とも関係性をしっかり築いていかねばならない。そしてそれは決して不可能じゃない。
歴史はいつだって一筋縄な予想通りにはいかない。
甘い見通しをすると上回ってくるのに、最悪の場合を想定してもその通りにもならない。
カオスな世の中に起きる大きな事件はいつだってブラックスワンであるようだ。
それでも、準備なくして事変には対応できないため、常に未来を予測・分析することには重要な意味がある。
Posted by ブクログ
グローバルサウスとは西洋民主主義に対する対抗概念。冷戦後世界に広まった西洋的民主主義と自由主義の概念は急速に力を失いつつある。
今世界は大きく変化しており、今までの常識で測ると情勢を読み誤る。
・グローバルサウスの特徴として、国際的協調より自国第一主義、民主主義より権威主義でも強力なリーダーシップ。
・G7のGDP比率1986年68%が2022年には42%に低下。グローバルサウスの存在感が高まっている。
・ウクライナに対して明らかに侵略行為を行ったロシアへの非難決議に中国、インドを初めアジア、アフリカ、南米の多くの国が棄権した。
アメリカ、ヨーロッパ先進国に対して明らかに距離を取る動き。
・古代ギリシャでも国の統治について、初めは王様が国を治めるが堕落していく、すると次にモラルの高い貴族が政治を握る。やがて貴族も腐敗して寡頭政治になる。次は民衆の力がそれを倒して民主制が出来るが、いずれ衆愚政治となる。そして優れた王様が出てくる。
・人類は進歩しているという思い込みは浅はかだと思い知らされる。
・トランプが勝ってもバイデンが勝ってもこの流れは止められない。今後も世界で今まででは考えられなかった事は起こり続けると思った方が良い。
日本は、そして自分はどうすべきか真剣に考えたい。
Posted by ブクログ
池上さん、佐藤さんの対談本は出版されるたびに読んでいます。
タイトルは「グローバルサウス」ですが、基本的にはこのシリーズは世界の「今」起きていることの背景の解説となっており、知的好奇心を刺激されるものとなっています。
いわゆるニュース解説型なので、早めに読むことをお勧めします。
Posted by ブクログ
大変知識が豊富なのでついて言っていないところが多々ありましたが、
実際そこに関わる生身の人間たちからしても、どのようにカテゴリー化されていようが争いを掻き立てる感情を持っている、というのが実体的な事実だから、
どんな構図もやはり、答えのないものだよなーと思いました。
それぞれの個々人が、自分の世界観だけではなく、自分と意見を異にする人の論理や文脈の理解にも必死で取り組まない限り、知的な方々がいくら知的な理解を深めたところで争いは収まらない…
それでも、新しい構図や見方を提示することには何か意味があるのかなーと考えると、
それが、より複雑で文脈的なものに視点を向けること、とかかなー。
Posted by ブクログ
佐藤 日本の報道で問題なのは、「ハマス」と「パレスチナ」を区別せず、「ガザ紛争」と「ウクライナ戦争」を同列に扱っている点です。今回の紛争は、イスラエルに居住するユダヤ人とユダヤ人国家の「生存権」を認めずにテロ行為に走ったハマスの行為に端を発するもので、「イスラエルとパレスチナの関係一般」に還元できる話ではありません。また、ウクライナ戦争が「ロシアによる侵攻」を契機とする「国家間戦争」であるのに対し、今回の紛争は「イスラエルとパレスチナの戦争」ではなく、「ハマスというテロ組織に対するイスラエルの掃討作戦」です。ハマスの宣伝戦における勝利は、ハマス対イスラエルの戦いにせず、パレスチナ対イスラエルの戦いだと偽装することに成功した点です。それにつられて、バイデン大統領が初動でボタンを掛け違えてしまった。
今更、ハマスとパレスチナを同列に扱っているという事もないと思うが、では、ハマスとパレスチナの重なる部分を分離できるのかというと、ガザの中を外部から見抜くのは難しい気がする。佐藤優がいう事は尤もだが、メディア報道を受けた人間が正しく理解できる事は困難だ。そして上記の指摘は、そもそもそのメディアが混乱しているという点で、状況の危うさを感じる。
本書は、グローバルサウスについて書かれた本だが、基本的な内容は世界情勢について、という事で、取り扱われるのは、紛争状態や過去、将来の予測についての話。中東に限らず、北朝鮮の話も参考になる。
池上 現実になると尼介なのは、台湾有事より朝鮮半島有事でしょう。
佐藤 一九五三年七月に朝鮮戦争の休戦協定が結ばれると、東京にあった朝鮮国連軍司令部がソウルへ移されました。キャンプ座間に置かれた朝鮮国連軍後方司令部は、二〇〇七年から横田飛行場へ移っています。さらに、朝鮮国連軍は国連軍地位協定に基づき、我が国内7か所の在日米軍施設・区域(キャンプ座間、横須賀海軍施設、佐世保海軍施設、横田飛行場、嘉手納飛行場、普天間飛行場、ホワイトビーチ地区)を使用することができると定められています。これは事前協議の条文がありません。
池上 日本の外務省のホームページに明記されていますね。
佐藤 ということは北朝鮮も、自国はこの七つの基地から攻撃されると、すでに知っているわけです。朝鮮戦争が再開されれば、日本はただちにこの七基地を国連軍に提供しなければなりません。すると、北朝鮮がこの七つの基地を攻撃するのは国際法上、合法です。一九九三年に、核拡散防止条約(NPT)脱退を宣言して核開発を進める北朝鮮に対して、クリントン政権が「サージカル・アタック(外科手術的攻撃)」を検討しましたね。
池上 寧辺の核施設への空爆で、核開発を阻止しようとしたんです。
グローバルノースの安定化は、サウスからの収奪に頼って成立した部分もあり、今や、このグローバルサウスの機嫌次第でいつでも危うい状況に置かれかねない、という事だ。他方で過度な強化を抑止しながら、他方でこちらに牙を向かぬように操作しなければならない。そこに無理が来ている、と思う。