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Posted by ブクログ
名演説が名演説たるゆえんを、池上さんとパックンの解説で読む。
なぜ聴衆に響くのかを、背景となった出来事やその国や民族の文化、歴史、演説内の言葉や言い回しを解説してくれる。
この本は英語話者ならではの解説があってこそ。
演説内のどこがどう感じるのか、これを言われると何を思い出し、何と結びつけるのか、怒りを煽るのか、同情を誘うのか、異国の出来事でも自分のことのように考えることができるのか。
単語の並び、発音、対比、美しさ、力強さなど、へぇーーーと思うことばかり。勉強になった。
名演説と聞いて思い出すのは、ブッシュ元大統領のI can hear you。
グラウンドゼロで瓦礫の上に立ち、作業員との偶然のやり取りから発せられるあの演説は、鳥肌が立ったし、アメリカ人の琴線に触れるものであることが感じられた。私がそこにいたら、涙と力が溢れるだろう。
YouTubeでも観られるので、ぜひ。
Posted by ブクログ
配役の妙。
話術に長けたパックンが、修辞学に基づいて、演説の内容をレトリックや言葉遣いについて分析、池上さんが、演説がなされた時代背景や世界情勢を解説し、その意義を補完する。
対話調にまとめられているので、お手軽に読みやすい。筑摩書房編集局のお手柄か。
取り上げられた演説は全部で15。チャーチル、J・F・ケネディは当然ながら、レーガン、キング牧師、ネルソン・マンデラと、名だたる名演説が列記されている。
ややもすると、それらは何度も見聞きし、世の名言集にもピックアップされているようなものも多い。池上さんの解説にも、いまさらながらの目新しさもない章も少なくない。
そこを、英語のネイティブで話術の達人のパックンが、修辞学に基づく解説を加え、なぜ、その演説が聴衆の心を捉えたか、その後の行動を促す結果になったか、世界を動かしたかを解説する点が新鮮。
説得力のある演説の3つの要素、エトス(話者の信頼性)、ロゴス(話の論理)、パトス(聞く側の感情)は憶えておこう。
近年の演説も含まれる。ドイツのメルケル首相や、当時の安倍首相、そして、ゼレンスキー大統領らのものだ。
まだ現役の人の演説を、ここで取り上げ持ち上げるのはどうなのだろう。
本書、チャーチルの章で、ふたりはこうも言っている。
P:それにしてもこんな見事なレトリックで国民を鼓舞して、戦争に勝ったからいいものの、もし負けていたらチャーチルは今とは正反対の評価を受けていたかもしれません。
池:だからチャーチルは是が非でも戦争に勝たなくてはならなかった。
つまり、その後の結果が、その演説を名演説たらしめた、ともいえる。
徹底抗戦を国民に訴え、海外からの支援に頼り、国民を盾に戦争を続けるための演説が、果たして「正」だったのか?
時の洗礼を受け、やがて淘汰されていくのだろう。
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