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Posted by ブクログ
ベース情報が既に1年前ではあるが、書かれている内容は古くなっておらず、新鮮な状態で拝読(つまりウクライナ戦争が膠着状態であるということだが)。タイトルの通り、ウクライナ戦争に至る過程は、まさにアメリカ中心世界の終わりの始まりで、アメリカの生産力低下・エリート層の劣化・民度の劣化等、総合的劣化が根本にある。分断が進む世界=不安定化ではない、という言説を信じたくはなるが、これは誰にもわからない。プーチン独裁のロシアが世界の覇権を握る未来像は想像もしたくないが、世界が行き過ぎたグローバリズムから緩やかな分断に移行していくことは間違いないように感じる。本書は池上氏の質問にエマニュエル・トッド氏が回答する形式での対談本になっているが、池上氏の質問力の高さにも目を見張るものがあり、奥深さを改めて感じた。
Posted by ブクログ
ロシアと西側の代理戦争としてのウクライナ戦争に関する報道は、その量と内容についてジャーナリストが持つ信仰のようなものが影響しているという指摘は報道内容に対して自分の軸をちゃんと持たなければいけない、という気持ちを強くさせる。単なる戦争、軍事的な分析だけでこの争いを語るのではなく、多面的側面から読み解くからこそエマニュエル・トッドは先を見通すことができるのだろう。ジャーナリストとして中立的立場である池上彰も自身の軸を持って語っているので大変参考になる。
いずれにしても問題だらけだな、世界は。その問題を上手く利用してやろう、という国々の利己的な思惑は恐らくなくならないけど、勝ち負けだけじゃなく、もう少し穏やかになって欲しいと思う。
Posted by ブクログ
言われればそうかな、という、納得感はありました。たしかに。
エマニュエル・トッドが中立的な立場で書いたと冒頭にあります。
ウクライナ戦争はプーチンのせいであるが、真の原因は、アメリカとNATOにあると暗にいっている
第3次世界大戦はすでにはじまっている
ウクライナ戦争はそもそも、ロシアとドイツを引き離そうと、アメリカが始めた戦争だ。
パイプラインの爆破も、ロシアの仕業とあるが、トッドは、アメリカとイギリスがやったに違いないといっている
ロシアにとって、ウクライナがNATOに加盟することがどれほどの脅威であるのかを西側は理解していない、いや、アメリカは理解していたからこそ、ロシアにウクライナを侵攻せしめた
そういう意味でアメリカが望んだ戦争であり、真珠湾と同様、アメリカとは、他国を戦争に向かわせることをする国なのだ。
ウクライナを支援しているアメリカも、グローバリゼーションとして生産能力を外にだしてしまっているので、どこまで体力がもつかはわからない。ロシアと、アメリカのがまん比べだ。
ロシア嫌いの地域圏というのがあって、バルト3国、ウクライナ、ポーランドである。
ポーランドが再軍備化をすすめていてフランス、ドイツなんかよりも、強い軍事国家になりつつある。そしてユダヤ人がかつて多く住んでいたところ、中流を担っていたユダヤ人が戦争によって消滅させられた
もともと、ウクライナは破綻国家であって、国家の体をなしていない。
戦後のウクライナは、非常に悲劇的なものになる。すべては破壊されて、復興はとても困難になる。アメリカが何か援助をするとも思えないから
NATO加盟国の1つに対する攻撃はNATO全体への攻撃をみなす それによって、NATO軍(西側)VSロシア(+中国、インド、西側以外)という構図になっている。
だから、ウクライナ戦は、アメリカを中心とした西側と、ロシアとの第3次世界大戦である、そして5年は続くとみている。
また、ウクライナでアメリカが破れるのではないかという確信を中国は気が付きだした
西側で工業力をもっているのは、実は、ドイツと日本なんです、アメリカでない。
ドイツも日本も、家族制度や親族システムがきわめて似通っている
ドイツも日本も、西側にいるのは、第2次世界大戦で敗れたからという理由なんです。両国とも、アメリカに占領された保護国なんです。
この状態、リベラルの自由主義というものを作り上げたのは、フランス、イギリス、アメリカなんです。
アメリカの外交施策の1つとして、同盟国を見放すというものがあります
もし、台湾で対中国戦があった場合に、西側が負けそうになったら、台湾や日本をアメリカは平気で見放すでしょう。だからウクライナでも同様のことが起きないともかぎらない
ドイツが、アメリカに従わなくなるような可能性も想定することができるのかもしれません。
日本も、岸田首相が、アメリカによって、ウクライナにつれていかれた。いいことではないんです。
中国がロシアをささえ、インドもロシアに親近感をもっています。
ロシアは権威主義だけども、それぞれの国の特殊性を尊重して、自国の価値観を他の国には押しつけていません
一方、アメリカという国は、アメリカ的な民主主義をいろんな国に押し付けています
アメリカの崩壊ということになれば、「アメリカに従っていればいいんだ」という思考停止状態から、脱して、もう一度考えなおさなければなりません。
アジアにおける日本、アジアの中の日本ということをもう一度考えるべきです。
トッドいわく、アメリカが崩壊したら、日本の取るべき道は3つ
①アメリカの傘から抜け出して、真の自立のために、核武装を行うこと
②中立国となること
③子供をつくること
目次
はじめに
第1章 ウクライナ戦争の原因とジャーナリストの責任
第2章 終わらない戦争
第3章 無意識下の対立と「無」への恐怖
第4章 アメリカの没落
第5章 多様化していく世界と我々
ロシアはもちろん悪いのだが―あとがきに代えて
年表 ウクライナ戦争をめぐる動き
ISBN:9784022952233
出版社:朝日新聞出版
判型:新書
ページ数:200ページ
定価:790円(本体)
発売日:2023年06月30日第1刷
Posted by ブクログ
ロシアがウクライナに侵攻して暴虐を尽くしたのが2022年2月。このトッドー池上対談が行われたのが2023年4月。まだバイデンのアメリカだった頃に書かれたこの書籍を、3年後、トランプがイスラエルと共にイランに先制攻撃した後に読む。まるで答え合わせをするように。
そうか、問題はトランプではなく「アメリカ」だったのか。
ロシアと欧州が抱く家族観の違いの中で、欧州的な個人主義&核家族の価値観がいまだ世界的には「少数」ということや、日本とドイツが「中間」にいる立ち位置など、人類学と歴史学の立ち位置を持つトッド氏の指摘は興味深い。ただ、トッド氏が日本に対して助言する中で、アメリカ主導からの脱却を促すことには同意できるが、核武装した方がいいよ、という部分については池上さん同様に強く否定したい。
ただ、「西側によって作られた物語の中で、私たち日本人は世界を眺めているんだ」ということが改めてわかっただけで、読む価値は高い。しかも、2026年の今こそ読むべき本ではないか。
福沢諭吉の唱えた脱亜入欧から140年、本書が言う「脱欧入亜」という言葉は目から鱗。世界は複雑だし、ロシアやアメリカやイスラエルのやばさは本当に非道で悲観的だけど、各国首脳の言動の是非を冷静に問いNOを突きつける世論形成には、こうした歴史家や民俗学的な視点を冷静に組み込むことが必要なんだと思った。
岸田首相のキーウ電撃訪問すら、アメリカに「連れられて行った」んだね。高市になって、ポチとしての日本がさらに劣化してるのはツラいけど、池上さんが言うように、希望は「作るもの」だと、私も思います。
Posted by ブクログ
エマニュエル・トッド氏と池上彰氏の対談本。
ウクライナ戦争について、「ロシアが悪」という画一的な見方に疑問を投げかける。
ウクライナ戦争は、ロシアとアメリカの代理戦争の様相を呈しており、長期化するだろうとの見立てだったが、トランプ政権が誕生したことにより、状況は変わりそうだ(この対談は2023年に行われた模様)。
トランプを見ればわかるように、アメリカはもはや「良いことをしよう」という気がないことを隠そうともしておらず、国力も落ちてきている。そんな中で、日本は今まで通りアメリカにただ追随していて大丈夫なのかという不安を禁じえない。
西側諸国ではあたかも「狂人」のように言われるプーチンだが、世界的に見るとロシアに賛同する国々が多いこと、そこには人類学的な家族構造のありかたなども影響するのではないかとの指摘は新鮮だった。
トッド氏自身はリベラルだが、世界的にはLGBTなど性的少数者には保守的な国々が多い中、セクシャルマイノリティであることをアイデンティティの中核に置きすぎることへのバックラッシュが起きうることを指摘している。
アメリカは、国内は自由主義的だが、自由主義や民主主義を他国に押し付けてきた。一方ロシアは、国内は権威主義的だが、他国の多様性は尊重する姿勢を見せている。そのようなところも、ロシアを支持する国々には魅力に映るのだろう。
プーチンはもちろん悪いのだが、かと言ってアメリカが善かと言うとそうでもなさそう。国どうしのメンツを賭けた争いで、今日もたくさんの人が亡くなっている。しかも争っている国の国土ではない場所で…
アメリカは自国が戦場になったことがないから好戦的なのだという指摘はすごく腑に落ち、そういった視点で、自分も「アメリカフォビア(米国嫌悪)」が沸き起こるのを感じた。
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