能町みね子のレビュー一覧
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女性作家の自身の身体にまつわるエッセイ集。特に30,40代の今人気の作家さんたちだけを集めたというのが面白い。自身の身長について書かれている方もいたが、自ずと性にまつわる話が多かった。
個人的に感動したのは村田沙耶香さんと能町みね子さん。こちらの感想で、女性なのに自慰について書かれている方が多くて引いた、という感想が少なくないのは正直ちょっと残念だなと思った。村田沙耶香さんは幼少期から行っていた自慰について、いやらしいものという周囲との認識の差に未だに慣れない、ということを書かれていたのだが、子供の頃の自分の王国という表現でその感覚について本当に美しい描写をされており、涙が出そうなほど感動した。現代の子供向けの性教育本を読むと、自慰は人前でオープンにするものではないがご褒美のようなもの、とあり、本来いやらしく汚らわしいものというより村田さんのような表現が正しいのではないかと思った。
また、能町さんの文章は珍しく彼女が普段あまり公で書かれない自身のトランスジェンダーであることの葛藤が書かれており、普段の彼女の冷笑系の口調ではなく、本当に心の叫びという感じで涙が出た。さすが言語化能力に長けている方だけあって、「ノーマル」な人間への想いなど、初めてトランスジェンダーの心の片鱗のようなものを少し理解できたような気がした。
それにしても、西加奈子さん始め、ほとんどの作家さんが若い頃に性被害を経験しているというのが恐ろしすぎる。言葉にするお仕事の方たちだからこのようにオープンにして下さったが、被害を言葉にできない人間がどれほどいるか(小さいものも含めたらもしかしたらほとんどの方かもしれない)と思い知らされた。 -
Posted by ブクログ
出産入院中に読むか〜と購入。
スカート履くのが嫌で泣いてた自分が出産か〜、、、という気持ちにマッチするエッセイがいくつか。
自意識についてがテーマなので当然っちゃ当然なんだが、「こういう私、どう?」が何気ない振りして3日目の経血くらい滲んでる文章も結構あったなかで、(そのヤンキーという修飾語いるか?みたいな)藤原麻里奈、すごすぎる。
女を捨ててるのに"女なのに"のリングの中で評価されることに気持ちよさを感じる、ってところ、こんな素直に自分の欲求捉えられるのすごすぎる。(2回目)
自分も自分しか見ないような日記ですらすぐ滲ませちゃうので、ああいう文章を書けるようになりたい。文章というか、自分の考えとか心の動きをカッコつけずにそのまま捉えられる力?
2024/10に読んだのを電子の方で書いてたので転記 -
Posted by ブクログ
フェミニズムとの付き合い方は、人によってさまざまだ。人によって千差万別のフェミニズムが存在すると言っても過言ではない。
能町さんの寄稿が読みたくて手に取った本だが、他の方の文章も読み応えがあった。
高嶋鈴さんの、男性の先輩とのエピソードは、よくあることだよねと思いつつ、その強烈な傷つきにもまた共感できて、世の中に蔓延る不条理を少しでもマシにするために、理論を学び、語る技術を身につけねばと、決意を新たにする彼女の姿に、自分もぼんやりしてちゃいけないなぁという気持ちにさせられた。
人それぞれのフェミニズムだが、出会いのきっかけとして、ベル・ブックスの『フェミニズムはみんなのもの』とジュディス・バトラーの『ジェンダー・トラブル』を挙げている人が多く、自分も読んでみなくてはと思った。
私にとって、つねにフェミニストでいることは結構しんどいことだ。少しの諦めと多くの怠惰から、楽なほうへと傾いていってしまうことも多々ある。正直なところ、高嶋さんを絶望させた先輩のように、「私はこのままでいいんだけどな…」と思うこともないわけではない。だが、そのときの自分が、権威を笠に着て弱者を抑圧する側に回っていないかということを、つねに点検しないといけない。
松本事件や中居事件を見ると、怒れる気持ちはまだまだ持ち合わせているし、世界はまだまだ「このままでいい」状態になってはいない。だからこそ、自分は「そっち側」にならないように、まだまだ踏ん張っていかないといけない。 -
Posted by ブクログ
文庫化は2022年だが、中身はコロナ騒動のまっただなか、2020年の4月から始まる。
もとは週刊雑誌の連載で、文庫化していった同じシリーズのうち、すでにいくつかは読んでいるが、たいていは私にはあまり興味のない芸能人たちのセリフや、時間が経っているためもう忘れかけている政治家や企業人のセリフが並び、能町さんの文が楽しいのでときどき読んでいたものの、へー、の域を出なかった。
が、さすがに今回、コロナ禍ではみんなの関心が集中していた&ほかに話題が少なかったのもあり、たいていの時事エピソードを知っていたので興奮しながら読む。
能町さんを最初に知ったのは06年ごろのブログで、オカマだけどOL〜をリアタイで読み、くすぶれ!モテない系で周囲の人と爆笑させてもらっていた。
すでに切れ味鋭く、上手いこと言う人だなあと思っていたけど、このコラムは、対象物と、彼女の視点や言語センスがピタリと噛み合っていますね。
おもしろーい!うわ、ホントそれ!と、痒いところに次々と手が届く思いだった。
p46の20/7/16、ネットメディア、Abemaテレビの大相撲や将棋の取り上げ方についてのまとめの一文
〈ネットメディアって、テレビより新しいふりをしながら、むしろ旧来のテレビ的演出をさらに下世話に強化しているだけなんですよね。〉
p67の2020/9/10、SNSインフルエンサーに影響を受けた若者のノリからの過激な振る舞いについて
〈SNSのいちばんの問題は、高め合ってはいけない方向性で人が徒党を組めること〉
この本を、今回は半日人間ドックに連れて行き、検査と検査のあいだにパラパラと読ませてもらった。
ちょうどいいチョイスだったなと我ながらニンマリ。