Posted by ブクログ
2020年02月19日
年齢的に結婚を考えたことはある。でも、自分にはあまり向かないだろうこともうっすら分かっている。別居婚か週末婚なら、と思ったりする。
時折そう親しくない他人に結婚をせっつかれたりする。言われている意味は分かるものの、望むことの内容は個々違うのになぁとも思う。
でもずっとひとりで生きるのは淋しいことだと...続きを読む想像できる年齢になってしまった。
そんな、世間の常識に自分を合わせることに違和感がある私のような人(とくにアラフォー辺り)ならば、この本はとてもはまると思う。
著者の能町みね子さんは元々男性で、20代のとき性転換をして女性になった作家。
そして現在かたちとして『結婚』している相手が、ひと回りほど歳上のゲイのおじさん。
トランスジェンダー同士の、絶対に恋愛感情は芽生えないふたりの結婚。というか、共同生活。財布も別だしお互い別のパートナーを作るのも自由。読んでいて楽しそうで、羨ましくすらあった。
面倒くさい感情が絡まないから、楽でいいよなぁなんて。通常の結婚生活で生まれる面倒な感情も乗り越えることが成長に繋がるのは事実かもしれないけれど、最初から無いのなら無くたって良いのでは?とも思う。
先進的とも言えるから田舎ではなかなか難しそうな関係だけど、都会ならば成立するのだろう。
時系列も面白く、結婚(共同生活)初日の出来事から始まり、遡ってそこに至るまでのいろいろが綴られている。
途中で、数年前に40歳で亡くなった雨宮まみさん(能町さんと仲が良かったライター)のことが書かれている章は、他の章のような冗談っぽさや軽さがなくて、それが悲しみを表していた。
全体的に、とても自分を曝け出している印象で、コンプレックスを突くというか、その気持ち解るかも…という部分も多くあった。
そう感じる度に「あぁ私もほんとダメ人間だわ」とも思うんだけど。笑
結果的には、自分は自分として、世間を丸無視するのではなく、その上で自分らしくどうにか生きていくしかない、という思いにたどり着いた。
能町みね子さんの本、他のも読んでみたい。と思うきっかけになりました。