秋吉理香子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
なぜジュニア文庫かというと、たまたま入手したのがジュニア文庫なだけです。
これも一種の叙述トリック何でしょうか。
サークルメンバーによる短編小説5篇のあと、もう一本短編小説と、あるのですが…小説?作文ではなくて?物語ではなく、サークルメンバーの思い出話なので、小説って言われるとなんだかなとは思うのですが、最後のを読むと小説でいいのかな?と思ったりもします。
しかし、最後でひっくり返したなとおもったら、もう一度ひっくり返してくるとは…。やられました。
サークルメンバーの短編小説を読むのは結構きついんですが、最後のための下準備と思えば、なるほどという感じですね。
我慢して最後まで読めれば、スッキリというか、スカッとする感じなんですが、闇が深いので爽やかではないんですよね。
最後で一気に面白くなる話なので、読む方は我慢して読み勧めてほしい。最後で良いと思えるはずなので。 -
Posted by ブクログ
初読み作家。
全体的に華のあるアップテンポな物語というより地味なんだけど、自分に近い人のことのようで先が気になって読んでしまう感じの小説。
《女神の微笑》
戦う前に負けを認めてきた男の最後の砦を守る決意までの話
《秘蹟》
いつの頃からかキリスト教を信仰していた妻が失踪した。その理由と、毎朝毎晩の妻の祈りの意味に打ちのめされ、そして自身の罪と許し。
《たねあかし》
元彼へと綴られる女の、知られざる女としての裏の顔としたたかで満ち足りた無意識の悪意。あまりに可愛らしく綴られていて清々しい。
《雪の花》
一組の夫婦は雪の町から逃げ出して、華々しい都会に幸せと絶望の大波に揉まれて満身創痍で帰り着く、故郷の校庭から香りたったひとつの花から受け取ったもの。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「生まれるまでが神の領域なのであれば、生まれてからは母の領域なのだ。無事に我が子を抱くことができたら、全身全霊をかけて愛し、守る。たとえどんなことがあっても、自分の命を削ってでも、守り抜くーー」
この作品で一番印象に残った言葉だ。母になる女性の覚悟が込められていると感じた。
母親にとって子供は、お腹を痛めて産んだ、自分自身の分身のような存在であり、我が子のために力になりたい、守ってあげたいと思うのは当然なのだろう。まして不妊治療の苦労の末に授かった子供なら、その思いはなおさら強くなるのかもしれない。
この作品の怖さは、シリアルキラーや異常性愛者のような「理解できない狂気」ではなく、誰もが理解できる母親の愛情が暴走してしまうところにあると思う。
子供の味方であり、理解者でありたい。子供を守りたい。その気持ちがいつの間にか犯罪への加担に変わってしまう。こうした母性の暴走にはゾクッとした。
ただ、読んでいてそこまで強烈な狂気や恐怖を感じなかった。これまでに読んできたシリアルキラーのような、常人には理解できない得体の知れない狂気とは違うからだろうか。
むしろ、我が子のためなら人の道を外れてでも守ろうとする姿は、この母親だけの特殊な感情ではないのかもしれないと思った。ここまで極端でなくても、子供が苦しまないように手助けすることを「守ること」と取り違えてしまうような愛情は、現実にもありそうな気がした。
叙述トリックは見事で、保奈美と真琴と薫の関係には驚かされた。ただ、途中から何となく母親が関わっているのではないかと感じていたこともあり、個人的にはトリックそのものよりも、母親の愛情がここまで歪んでしまうことのほうが印象に残った。
母性愛に溢れ、慈愛の心を持つはずの「聖母」。その言葉を、こんな歪んだ愛情を描いた作品のタイトルにすることに、皮肉を感じた。