【感想・ネタバレ】ガラスの殺意のレビュー

あらすじ

「憎い男を殺したのは――わたし!?」20年前に起きた通り魔事件の犯人が刺殺された。自ら「殺した」と通報したのは、その事件で両親を殺害された女性・柏原麻由子。だが、彼女は20年前の惨劇から逃げる際に交通事故に遭い、高次脳機能障害を負っていた。記憶が10分しか保たない。警察の取り調べに対し、麻由子の殺害の記憶は定かでなく、供述は二転三転する。はたして復讐は成し遂げられたのか? それとも……。衝撃の真相に驚愕し、切ないラストに涙する傑作サスペンス。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公柏原麻由子。
20年前に交通事故にあい、記憶障害を持っている。
そんな彼女に殺人容疑がかかる。
彼女が殺したのは、通り魔事件を起こした閤田。
夫は、麻由子が事故にあったときに運転していた加害者だった。
麻由子の記憶は定かではなく、2転3転する展開に。
真犯人は、久江。

介護問題はもちろん、切ないラストに涙しました。

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2025年10月22日

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ネタバレ


高次脳機能障害により数十分で記憶がなくなる麻由子が「人を殺した」と自ら通報する。
殺した相手は、かつて彼女の両親を殺害した通り魔事件で無期懲役の判決を受け、最近出所した男だった。
事件を担当する桐谷刑事は、認知症の母親を介護することが困難で施設に入れたことに関して自分を責め続けている。
記憶障害と介護の実態を交互に描きながら、妻の殺人を認め、刑に服させようとする夫の不可解な行動に対する真意と、事件の真相が少しずつ明らかになっていく。

読み始め早々の場面が衝撃的だった。
桐谷刑事の介護の大変さと、それを安易に考えている兄とのやりとりは、一般世間でも現実的にあるのではないかと思う。
物語のような高次脳機能障害で、それを逆手に悪意に利用された場合を考えると、本当に恐ろしいものだと感じた。
後半から見える景色が一変する展開が印象的であったが、私はその伏線には気付けなかった。
色々と高次脳機能障害に対するもどかしさとハラハラを感じだが、読み応えのある一冊だった。

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2025年07月08日

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ネタバレ

考えることの多い作品。
20年前、通り魔に両親を殺害された麻由子はその犯人を刺殺したと自ら通報する。何度もひっくり返るストーリーも良かったが介護や兄弟関係の難しさ、麻由子の数十分しか記憶を保持できない悲しさがリアルに描かれ同じ女性として尊厳を奪われる思い。恥ずべきことではないにしろ生理を夫に管理されることって、傷つく。優香の母親に対する罪悪感と悲しみ、男兄弟の理解の無さ。そんな中、バディの野村と麻由子の夫である光治は理解のある人たちだと思う。こういう人が身近にいるかどうかで人生の豊かさって変わる気がした。ミステリーというより社会問題をうまく取り入れてあるため本当に読んでよかった。

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2025年06月30日

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ミステリーであり恋愛小説でもあった。

両親を殺され、通り魔から逃げる際に事故に遭い、その事故を起こした加害者と結婚をした万由子。
高次脳機能障害を患ってしまった万由子は、たった数十分しか記憶を保持できない。

そんな虚ろな記憶と自分がメモした記憶。
ふとした時に流れてくる記憶。
どれが一体正しくて、どれが間違いなのか。

交通事故の加害者であった夫、光治。
そして、物語の途中で現れた米森久江。
どちらが真実を語っているのかは、万由子には絶対にわからない。

読者は記憶を失くさない。
だから、それぞれの違和感を少しずつ感じていくし、万由子に気づいてほしいと思ってしまう。
そう思わされて、どんどん読み進めていった。

いやぁ…もう本当に面白かった!
介護の大変さ、自分の心が感じるモノの大切さ。
最後は、ただただ切なさだけが残った。

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2025年02月10日

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●あらすじ
20年前に起きた通り魔事件の犯人が刺殺された。
自ら殺したと通報したのは、その通り魔事件で両親を殺された柏原麻由子だった。
だが、麻由子は通り魔事件の直後に交通事故に遭遇して記憶障害を患っており、記憶が20分と持たない女性だった。果たして麻由子は本当に両親の復讐を果たしたのか?

●感想
先ず驚かされるのが、主人公が記憶障害という設定。
麻由子は記憶が10分〜20分で消えてしまう。
そう、記憶が保たない女性なのだ。
取調べで状況証拠を前に自白したかと思えば、数分後には学生時代の記憶に遡り、今自分がどこで何をしているのか分からなくなってしまう。

麻由子は本当に復讐を成し遂げたのか?
というミステリーの主軸で物語が進む一方で、元新聞記者の夫 光治は弁護士を立てようともせず、麻由子に罪を償わせようとする。夫の不可解な行動に、徐々に読者が疑心暗鬼になっていると、救世主の様に麻由子と唯一交流のあった米森久江という女性が現れ、人権派弁護士をたてるのだが・・・
更には、担当刑事である桐谷優香の実母の介護問題や、その背景にある男女差の固定観念にも焦点が当たる。また同じく介護をする者として優香が光治と自分を比較し始めたことで、事件は新たな進展を見せる。

記憶障害の麻由子が、周りの人々に翻弄され生きづらくなっている様子は、読んでいて胸が痛み、同時にその無垢な心が危うくて緊迫感が半端ない。

二転三転する結末は、まさに読む手が止まらない。
後半はサスペンスの要素が強まってくるので、手に汗握りながら読み進めた。限られた登場人物の中で、読み手の想像の更に上を超えて来る先に、圧巻のラストが待ち受ける。この読ませる力は流石の秋吉理香子さんだった。

ガラスの様に脆く儚い記憶・・・
その先には触れられそうで触れられない・・・
『ガラスの殺意』読めば納得のタイトルだった。

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2024年12月15日

Posted by ブクログ

話が二転三転して、とても面白かったです。
文章も読みやすかったです。
最後は感動しました。親の偉大さ愛情、改めて感じました。

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2024年11月22日

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秋吉理香子『ガラスの殺意』双葉文庫。

何とも面白い設定のサスペンス・ミステリーの小説であった。

ガラスのように脆い僅かな時間だけしか記憶を持つことの出来ない女性が殺人犯として逮捕されるのだ。勿論、この事件には裏があるのだが、それが一筋縄ではなく、二転三転と予想外の展開を見せるのだ。

僅かな時間で記憶を失うという極めて特異な障害を巧く使って、見事なサスペンス・ミステリーに仕立てたものだと感心した。


20年前に通り魔事件で両親を殺害され、自身も通り魔から逃げようとして交通事故に遭い、記憶障害を負った柏原麻由子は自宅で通り魔事件の犯人を刺殺する。自ら警察に通報した麻由子は警察から取調べを受け、最初は殺害の記憶が無いと主張したが、被害者の写真を目にすると自分が殺害したかも知れないと自白する。記憶障害により、麻由子の記憶は10分から20分程度で消えてしまうのだ。

その後、何故自分が収監されているのか判然としないまま過ごす麻由子の元に夫の光治が面会に訪れる。何と麻由子の夫である光治は20年前に通り魔から逃げる麻由子を轢いたジャーナリストだった。

何故か麻由子を有罪にしようとするかのように弁護士を立てない光治。そこへ麻由子を知る米森久江という女性が面会に訪れ、麻由子のために有能な弁護士を立てる。

麻由子は20年前の通り魔事件の犯人に復讐を果たしたのか、それとも……

本体価格760円
★★★★★

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2024年11月19日

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登場人物が少ないので、犯人はおそらくこの人だろうなーと推理できてしまった。
内容はとてもよかった。
終わり方も美しくて切なくて。胸がぎゅっと締め付けられた。

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2024年11月13日

匿名

購入済み

何度も疑ってを繰り返し最後は刹那さで胸が苦しくなりました。彼女の記憶がなくなる瞬間が何度もあり、すごくリアルで可哀想で、病気の恐ろしさに震えました。

#切ない #深い #怖い

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2025年07月01日

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ネタバレ

「誰を信じればいいのかわからない」
高次記憶障害という後遺症から介護の問題、難しさを描きつつミステリーとしての軸は忘れない。とても読みやすかった。個人的に後半が面白すぎて止まらなかった。この本は絶対に衝撃と感動を与えてくれる。

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2025年01月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

そばにいる人は本当に味方か?

読む側は、ハラハラしながら読み進めるが、麻由子は、高次脳機能障害を負っていて、10分から20分しか記憶を保てない。
この人は危ないかも、信じていいのか…と思った矢先、記憶が途切れる。そして、相手が優しく接するとその流れのまま合わせたり(疑問に思いつつも)、行動する。

断片的に現れる記憶で、あるものは喜んだり涙するが、彼女を亡きものにしようと行動するものも現れる。

記憶を保てない彼女の葛藤、大事な人を守るための葛藤、介護問題、家族などがうまく絡み合ってよかった。

忘れても温かさは残っている。

ずっと後輩だと思っていた彼からの説教にグッと来た。

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2025年01月03日

Posted by ブクログ

秋吉理香子イメージ通りのイヤミスではありながら、介護問題ベースの社会的な要素もあって、話の根幹がしっかりしてる印象を受けた。キモは主人公の1人に記憶障害があることで、すぐ物事を忘れてしまうという斬新な設定で最後まで描き切ったのが凄い。記憶障害視点での描写は、映画のファーザーを少し思い出した。状況が異なる刑事側を犯人側に重ねていく展開が上手くて驚いたし、落とし方も難しかったと思うが、綺麗な締め方だった。

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2024年11月29日

Posted by ブクログ

記憶障害で10分前のことも忘れてしまう女性。年齢も家族も、今まで生きてきた人生も全く記憶できない彼女に殺人容疑がかかる。献身的に彼女を支えているように見える夫は、実は介護に疲れ切ってこの生活を終わらせたいのでは?と懐疑的にもなる。事件を捜査している刑事の優香は、自分の母親がアルツハイマーで介護の大変さが身に沁みているだけに、どうしても自身とだぶらせてしまう。最後の大矢博子氏の解説にもあるが、終盤の後輩のセリフがグッとくる、一番推しの部分だ。

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2024年11月10日

Posted by ブクログ

記憶をわずか数分しか保てない彼女の儚さと危うさが、ページをめくるたびに胸を締め付ける。
寄り添う夫のトラウマと深い愛情、警察官の葛藤や介護の問題が多面的に描かれ、
愛、記憶、家族のかたちが丁寧に織り込まれた作品です。

物語は何度も意外な展開を見せ、読み手を飽きさせないのは、さすが秋吉理香子さん。
「家族とは何か」「人を愛するとは何か」。
記憶とは、目に見える出来事だけでなく、肌で感じる風やぬくもり、心に残る気配にも宿るのだと感じた。
最後の展開には思わず涙した。

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2025年05月19日

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