山田詠美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
あとがきにもあるように、大人が読んでこそ感じることの多い小説だと思った。
中高生の時に誰しもが味わう、同級生とは違うという大人びた感覚について、それが特別なものではないことを突きつけられるような感覚を感じた。かっこよく生きる主人公と自分を重ねつつ、私自身が当時考えていた・感じていたことは、決して無駄ではなくその後に人生を見つめるために必要な時間であったことを認めてもらえる感覚もあり、心地よいものでもあった。
主人公の生い立ちとして「ひとり親(母子家庭)」というのが、一つ要素としてある。これは私もそうであるからこそ、境遇に対する共感と差異を両方味わえた。
読後に思ったこととして、ひとり親の子供と -
Posted by ブクログ
登場人物の視点がコロコロ変わるけど、読み易かった。
琴音や蓮音の境遇を知り、やるせない気持ちになったけど一番は、子ども視点を読んだときだった。
誰が一番罪深いかなあ。一番は2人の両親かな、その次に琴音と蓮音自身?逃げたっていいけど子どもがいるなら、逃げたあとに子どもの面倒をみないといけないと思う。
蓮音は、助かるための紐を掴まずあんなラストになっちゃったけど、きっと音吉や蓮根の母親父親とか見てあげればどれか一つは掴めたんじゃないのかな、拒絶されても見守られるべきだったよね•́ ‿ ,•̀
周りの環境が人生を決めるっていうけど、2人は環境がすごく悪かったね。環境が悪いで済ませて良 -
Posted by ブクログ
完璧だった家族がゆっくりと起き上がるような物語。
長男の劇的な死をきっかけに家族がちょっとづつ崩れていく。母親の飲酒によりゆっくりと。残された子供たちも、それぞれのネガティブな感情を抱えてしまうことになる。長女は親しい人が急にいなくなってしまうことへの恐怖を、次男は母親からの関心が返ってこないことの寂しさを、次女は長男の影響力に対しての怒りを。
長男が唐突に死んでしまうことはファンタジーっぽかったが、家族にじわじわと広がるネガティブな空気感は現実的で苦しい。それなのに読後は爽やかさを感じるから面白い。
これは物語後の妄想。
父親と子供たちは長男の死を受け止められるが、母親は受け止められな -
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Posted by ブクログ
趣味の良い、身の丈に合った欲望に忠実な登場人物たち。
精神のつながりよりも肉体同士のつながりを真実として、血のつながりよりも共に過ごした時間の密度を重要視する山田詠美が描く9編。
どれも味わいが異なったけど、どれも好きだった。
特に好きなのは匂いや生活感が浮かび上がる「熱いジャズの焼き菓子」、ほとんどが主人公の脳内で繰り広げられる「アイロン」、実話に基づいた「最後の資料」
恋愛関係では無く友人でもない義弟との名前の無い関係性が描かれる「最後の資料」は印象的。
山田詠美的な流麗な文章を素人が真似すると、どうも自分語り臭い、読んでいて恥ずかしいものが仕上がるけど山田詠美の文章はミニマムで常に