山田詠美のレビュー一覧

  • 100万分の1回のねこ

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    作品紹介・あらすじ

    谷川俊太郎、江國香織、川上弘美、角田光代らによる、佐野洋子『100万回生きたねこ』への、13人の作家によるトリビュート短篇集

    江國香織「生きる気まんまんだった女の子の話」
    岩瀬成子「竹」
    くどうなおこ「インタビューあんたねこ」
    井上荒野「ある古本屋の妻の話」
    角田光代「おかあさんのところにやってきた猫」
    町田康「百万円もらった男」
    今江祥智「三月十三日の夜」
    唯野未歩子「あにいもうと」
    山田詠美「100万回殺したいハニー、スウィート ダーリン」
    綿矢りさ「黒ねこ」
    川上弘美「幕間」
    広瀬弦「博士とねこ」
    谷川俊太郎「虎白カップル譚」

    *****

    佐野洋子「100万回生きたねこ」を読んだ作家・詩人たちによるトリビュート集。
    惹かれる作品(江國香織、井上荒野、町田康、今江祥智、川上弘美など)もあれば、そう感じない作品もある。一体どうやってあの「100万回生きたねこ」からこのような作品が生まれたのか、一読ではわからないものもある。「ねこ」がまったく登場しない作品もある。「100万回生きたねこ」というテーマがありながら、内容に一貫性はなく、トリビュート集らしい幅広さがある。

    「ねこ」が登場しないので、これは「100万回生きたねこ」とは関係ない作品だ、というレビューもあったけれど、僕はそうは思わない。「100万回生きたねこ」はけっして「ねこ」だけの話ではない、と思っているから。また「100万回生きたねこ」を読んだ人は本書を読まないほうがいい、というレビューもあった。確かに「100万回生きたねこ」の読後感の感動からほど遠い作品も収まっているので、そのレビューにもある意味では賛成できる。ただ「100万回生きたねこ」を読んだことによって、こんなにも幅広いリアクションが誕生した、ということも事実なので、僕は「100万回生きたねこ」を読んだ人にこそ本書を読んでほしい、と思ったりもしている。「ああ、読んで失敗した」と思われても責任は取れないけれど。

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    2026年08月20日
  • いただきますは、ふたりで。―恋と食のある10の風景―(新潮文庫nex)

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    「恋と食」を題材の、10名の方々の小説やエッセイ

    初めて文書に触れる方もいましたが、どのお話も面白く読めました
    特に後半の小説3作品が好きでした
    晩年に思い切って何かするの、憧れるなぁ

    あと、最後の山田詠美さんのこれはノンフィクションなのでしょうか?
    作品は昔読んだことあったのですが、作家さんご本人のことはほとんど知らずだったので、びっくりしたわ。

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    2026年08月12日
  • つみびと

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    「すがり付くという選択肢が何故自分になかったのか。後に、考えても考えても蓮音には解らない。プライド故なのか、と尋ねられればそんな気もする。でも、可愛い子供たちのために、ちゃちなプライドに似たものを捨てられなかったのか。ただ、なりふりかまわず叫べば良かったではないか。助けて!と。

    でも出来なかった。だって、幼ない頃から助けを求めたことがないのだもの。彼女のその声は、いつも封じられて来た。」

    初の山田詠美作品

    二人の幼児を真夏のクーラーの付けない部屋に放置した母とそのまた母の人生の出来事や心情を細かいところまで描写していた。

    読むこっちには二人の母や彼女たちを歪めた周囲の人物たちに怒りを覚えたり、二人の母がなぜあのような目に合わなければならなかったのか、と想像させて悲しい気持ちをずっと感じさせる本だった。

    蓮音もその母は人生の途中まで確実に被害者であり、周囲の大人たちが守るべき対象だったのに、その施しを受けることができなかったがために、大人になってからその歪みに自分自身に苦しむことになり、その結果今度は自分の子供を見捨てたり、殺してしまう悪者になってしまった。本当に救いがない話だった。

    何より、彼女たちが完全な悪ではなく、心から自分の子供を愛していた時は存在していて、そのシーンを読んでいるときはこのまま進んでいてほしいと感じるほどの解像度の高い描写でその後の最悪の結果を読んで突き落とされる落差を感じた。

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    2026年07月28日
  • いただきますは、ふたりで。―恋と食のある10の風景―(新潮文庫nex)

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    食と恋のアンソロジーなんて、好きに決まってる。

    私の好きな料理家の方のコラムもあって、さらに嬉しい。やっぱり、奥田亜希子さんの小説が好きみたい。

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    2026年07月20日
  • タイニーストーリーズ

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    湿り気のある性愛も、山田詠美節が効けばこんなに軽やかな物語になるんですね。
    どの話の女も、とにかく女らしくて最高。

    特に「電信柱さん」が好きすぎる。
    電車でクスクスしちゃいました。

    自分は自分の恋愛しか知らないけれど、
    世の中にはいろんな形の恋が溢れていますね〜
    知らない恋を追体験出来てワクワクしました。

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    2026年07月09日
  • 24・7(トウェンティフォー・セブン)

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    9つの物語で構成される短編集に共通するのは、文章に色気を感じるという新しい体験。「エロい」ではない、「色気がある」が1番しっくりくる。

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    2026年06月25日
  • 4 Unique Girls 特別なあなたへの招待状

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    ネタバレ

    たくさん本を読んで色んな言い回しや表現を蓄えたからと言って、それが自分のものになるかどうかは別問題なんだなぁと改めて気付かされた。実感や体験を伴わない言葉はどんなに洒落ていても薄っぺらいだろうし、逆にどれだけ貴重な経験でもそれを豊かに語れる言葉を持たなければ十分に味わうことはできない。他人の目を気にしすぎて自分の言葉でしゃべる勇気が無くなってたなと反省。

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    2026年06月15日
  • 晩年の子供

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    ネタバレ

    再読。学生の頃、教科書か何かで読んだ『ひよこの眼』が衝撃で、家に帰ってすぐに調べて買ってもらった。山田詠美という作家を知ったのもこの本がきっかけだった。すでに何度か読み返しているが、その時々の自分の状態によって感じ方や理解度が全然違うので面白い。恋愛や生死について、その他諸々。子どもの頃にぼんやりと感じていたものを季節の細かい描写とともに丁寧に書き出してくれている。特に『ひよこの眼』と『晩年の子供』、『堤防』の話が好き。

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    2026年06月11日
  • 三頭の蝶の道

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    それぞれの作家道を極めた個性とアクの強い三人の女流作家を巡る物語。モデルが存在するようだけれど知識不足で彼女達の小説家としての評価は分からないが、小説家の業の熾烈さに唖然とする。人間として一番俗物ぽい高柳るり子の第二章が印象的だった。彼女に翻弄された男たちが哀れで面白くて、特に同僚作家の川津直太郎の告白が愚かで生々しくていじらしくて初々しくて、苦笑しつつ微笑ましく思った。

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    2026年06月10日
  • 賢者の愛

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    おもしろすぎてページを捲る手が止まらなかった(これをおもしろいと感じる俺の感性は大丈夫だろうか…)。

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    2026年07月25日
  • いただきますは、ふたりで。―恋と食のある10の風景―(新潮文庫nex)

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    食と恋にまつわるアンソロジー。ごはんの出てくる話が大好きなので、どれも楽しく読みました。
    なかでも一穂ミチさんの「わたしたちは平穏」、錦見映理子「くちうつし」がお気に入り。
    どちらも初めて読んだ作家さんだったので他の作品も読んでみたい

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    2026年05月30日
  • ぼくは勉強ができない

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    面白かった

    ぼくを取り巻く人々がとても良い
    お母さんもおじいちゃんも桃子さんも
    素敵

    大人になって初めて読んだけど
    この本を高校生の自分に教えてあげたい

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    2026年05月11日
  • いただきますは、ふたりで。―恋と食のある10の風景―(新潮文庫nex)

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    力のある女性作家の皆さんが恋と食に関する小説とは、贅沢な本だった!

    特に「ワタシノミカタ」と「SUMMER STREAMER」が良かった。「SUMMER STREAMER」では、70近い婦人が大ファンの大谷翔平さんのプレイを観たくて単身でアメリカに行く話。その中で、大谷選手はどんな人と結婚するのだろうかと。あれこれあげて、最後に一番悔しくない人は「彼の母親に似ている女性」とあり、まさしくその通りの女性と結婚していた。結婚発表より前に書かれた小説で見事言い当てていたので驚いた。大谷夫妻は素敵!嫌いと言う人はまずいないだろうな!

    この本を通して、いろんな作家さんを知ったので、読書が広がりそうで嬉しい!

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    2026年04月17日
  • つみびと

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    大阪の二児遺棄事件が基になっているこの作品。今も起こっている子供絡みの事件の事も重なって、胸が締め付けられるように苦しかった。
    虐待、ネグレクト…負の連鎖をどこまで遡れば「つみびと」が分かるのだろう。
    鬼母と呼ばれた蓮音も明らかに被害者でもある。その心の内を知れば知るほど、やり切れない気持ちになる。
    限界が来る前に誰かに助けを求められなかったのかと思うけど、そもそも人を頼ることを知らなければ、そういう選択肢が浮かばないのか…
    罪を犯したからといって、子どもの幸せを願っていなかった訳ではないということが、救いのような逆に辛いような複雑な気分。

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    2026年04月17日
  • 血も涙もある(新潮文庫)

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    必死で山田詠美を読んでいた20代。恋と仕事に削られていた。でも、大丈夫。私は意外にも、その恋をちゃんと生き延びる。

    再燃した「詠美熱」には、同窓会のような懐かしさがある。渇望していたのは、この濃密な生の手触りだ。

    お腹がすいた。分厚いパンにバターとはちみつをたっぷり塗って、今の自分を存分に甘やかしてあげよう。

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    2026年03月30日
  • ぼくは勉強ができない

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    大学生くらいの時にこの本を読んでいたら、社会の見え方も変わっていたかもしれない。
    同調圧力の強い日本で、波風立てずに過ごすことが、いつしか当たり前で1番幸せなんだと思い込んでいる自分がいる。時田秀美のように生きられる人がどれくらいいるだろうか。素直にかっこいいな、と思う。

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    2026年03月29日
  • いただきますは、ふたりで。―恋と食のある10の風景―(新潮文庫nex)

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    料理×小説(エッセイ)というと、なんとなく心温まるイメージで読み始めたら、ちょっと違ってびっくりする。
    すべてのお話に美味しそうな料理が出てくるけれど、どれもこれも「ほっこり」した美味しさとは毛色が異なる。
    この読後感は、どんな「後味」と言ったらよいのだろうか。
    でも、悪くない。すっぱい、からい、ほろ苦い……それもまた料理であり、人生なのだ。

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    2026年03月17日
  • 三頭の蝶の道

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    もう亡くなられた、大好きな作家さんを想って、涙がでる。こんなにあたたかい涙がでたのは久しぶりだ。
    これはフィクションであって、フィクションでない。小説を通して、作家を見つめ、作家を好きになることがある。わたしは山田詠美が大好きだ。

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    2026年03月16日
  • 三頭の蝶の道

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    ネタバレ

    20代、山田詠美を読みあさった。久しぶりに同氏のことを思い出して、この作品を読んでみた。山田詠美自身がモデルとなる山下路美の語りが、当時読んでいた作品を思い起こさせ、懐かしい気持ちになった。私は純文学と大衆文学の違いも分からない文学素人だけれど、作家という人種がどのように作品を作っていくのか、その頭の中が垣間見えて楽しかった。高柳氏の章では、現実世界での(リアルな人間関係においての)言動と、小説で書き表わされる内容は、同じ人の思考から発生するにも関わらず、こんなにも違うのかということに驚いた。小説を書くときは神の視点になれるけど(いわゆるメタ認知が発動するけど)、現実世界ではそうもいかない、ということなのか⋯ とにかく、人間の心理や行動の奥深さを考えさせられた。

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    2026年03月09日
  • 血も涙もある(新潮文庫)

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    久しぶりの山田詠美さま

    柚木麻子「BUTTER」を読んだ後にこちら

    BUTTERの主人公は、料理と愛情は別物、手の込んだ料理を家族に提供できるかは愛情によるのではなく手間をかける時間があるかどうかという感じのことを言っていたけれど
    血も涙もあるに出てくる料理家先生はそれとは反対の家族への愛の形としての家庭料理、古きよきお母さん像の体現のような人。美味しいスープを作ったらいい嫁をもらったなと思ってもらえるんじゃない?と言う人。

    それぞれの人にとっての人の倫的なものがあってそこから逸れたら不倫。

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    2026年03月01日