山田詠美のレビュー一覧
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久々の山田詠美。エイミー。僕は勉強ができない、は何度も読んだ。ほかにも、瑞々しくて本能に忠実でちょっと大人な恋の話を、若い頃はドギマギしながら読んだ。綺麗なだけじゃない人と人との関わりの中で生まれる感情、登場人物のそういった感情や考えを、赤裸々にあっけらかんと語るその文章は健在。
ファーストクラッシュとは、初恋のこと。物語は、資産家の三姉妹が住む家族のもとに、父親の愛人の息子が引き取られてやってきた当時の日々を、三姉妹それぞれの一人称で語られる3章からなる話。彼女たちのファーストクラッシュの相手は全員、そのもらい子の男の子。だけれどもそこは山田詠美、甘酸っぱくてウフフな初恋ではない。三人三様 -
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「恋と食」 がテーマの、小説新潮に掲載された短編を収録したアンソロジー。甘やかで幸せなだけのお話が一編もなくて逆に楽しめた。
一穂ミチさんは、淡白な味を好む淡白そうに見えるカップルのまったく淡白ではない情念のお話。言われてみればポン酢ってしびしびしてるかも。
古内さんは、計算だけではないけど計算も働かざるを得ない大人の恋愛の話。旨味調味料はハマると駄目になる気がして避けて生きてます。
君嶋さんはこの中で最もオーソドックスな恋愛小説。キュンとします。
錦見さんの短編は語り手が料理上手なだけあって一番美味しそうな料理が登場した。不思議なお話で、恋愛だったの??という感想。
奥田さんは毒親を捨てる -
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好きなバンドのボーカルがオススメしてたから読んだ。
だから山田詠美って「僕は勉強ができない」しか知らない。
でもおもしろかった!!めちゃくちゃ恋愛してきた人なんだな。快活で気持ちのいい人だった。
特に芥川賞選評がおもしろかった!
読んできた小説もちょくちょくあったので、「えー!結構辛口!!あんなおもしろかったのに!プロの視点ってほんと広いな!!」と思ったり、「すごいストレートに褒めてもらってる!やったー!」というものもあった。たのし!!
以下は好きな言葉たち
「性愛やら情熱やらを通り越したところで、ひとりの人間に惚れてしまうことは、弱味だ。」
「人間、生きていれば、困難も失敗も多々あり -
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ネタバレ題名や表紙などから、お洒落で退廃的なニューヨークが舞台の村上龍っぽい作品を想像したが、実際は繊細な心を描いた愛の話で、第1部後半から世界観にガッツリ引き込まれた。
特に離婚をした親の恋愛に振り回される子供の心情が印象的であった。親が恋愛にかまけている時に子供が感じる、自分のことを親が見てくれていないという孤独感。それに年齢的にも経済的にも親元から逃げられない社会的弱者としての境遇も重なり、とても切ない気持ちになった。
本作は多少長い印象はあるが、一見やばそうな登場人物それぞれの背景がしっかり深掘られ、最終的には全員に共感でき、読後感も良かった。最近は失われつつある、他人を思い遣る気持ちの尊 -
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山田詠美さんの日常的なことから芥川賞の選評もあり盛り沢山のエッセイ集。
ボリュームがあり読み終えるまでに時間がかかってしまいました。
交友関係も広くて、安部譲二さんお話や、入院している森瑤子さんの病院に向かった時のお話はグッときました。
山田さんは水キムチを自ら作り食べているそうで、水キムチなる物を初めての知りました。
巻末に書かれていた『美しい無駄が文化を創ると信じている。美しくて、役に立たないと思われるものに、あえて、手間をかけること。そういった行為こそが文化だと思うし、贅沢だと感じる。』から『美しい無駄』は素敵な言葉だと思いました。 -
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限りなく5に近い4ね。
今は亡き文豪たちとの交流が著者独特のユーモアとセンスで描かれていて何度でも読みたい。(水上勉、田辺聖子、森瑤子、安部譲二、河野多恵子、野坂昭如)
これから出てくる新人作家さんたちは到底逢えないんだものね。
その意味では銀座の文壇バーで交流なんて最後の年代なのかもね。
いいなぁ。もっといっぱいいっぱい書き残してほしい。
著者が20代で生意気盛りだった頃の作家さんたちとのエピソード。そんな著者を温かく本気で付き合ってくれた度量の深い先輩小説家。
芥川賞の評価の文も好き。
著者が褒める小説は無条件で読みたくなる。
井上荒野の「切羽へ」これは読んでみなくては。
書かないことで表 -
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出版社で働く35歳の森下夏美。ある時同業者の夫から浮気を告白されてしまう。そんな夫に対し嫌悪感を抱く夏美だが、自分自身も10も年下の男と浮気をしてしまい...
ただ単に「不倫」をテーマにしたものではなく、根本的にはもちろんあるのだが、同業者の夫婦であるためお互いをさらにライバル視したり、不倫はしたが結局一番失いたくないのは結構相手など新たに気付くこともある。一夫多妻制やその逆もまたしかり、最近よく聞くがこういう夫婦もあるんだなと多少一夫多妻などに理解ができた。個人的には「不倫」に対し、不倫字体が悪いのではなく、これだけでなくパートナーにこそこそ隠しながらするのがすごくダサくて嫌悪感がある -
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身を置く環境は大事だと思った
琴音も蓮音も、音吉や笹谷も、
それぞれ育った環境が分岐点になっているのだろうが、
みんな素直で真面目な人という印象を受けた
蓮音だけが鬼と呼ばれ非難され重い刑を受けたが、
「つみびと」は決して蓮音だけじゃないよね、と思った
育児放棄や赤ちゃんの遺体遺棄事件で逮捕される女性達が頭をよぎった
「逃げる」と「放り出す」は似て非なるものだと気付いた
色々な視点から糸を撚り合わせるように話が進んでいき、とても惹き込まれた
山田詠美って後味の悪い気持ちになると思ってばかりいたけど、
それと同時に読みやすいんだなと思った