【感想・ネタバレ】トラッシュのレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2022年08月02日

こんな酒浸りの男とはさっさと別れないとダメだ、いやでもこの人を捨てていったらこの連れ子はどうなるのだ、いやでも自分の子じゃない、母親は別にいる、でもでも…ここまで単純ではないけれど、葛藤。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年03月08日

読みごたえがありました。
それは本が分厚いからというのではなく、内容がヘヴィーだったから。
こんなにこんなに言葉を尽して他人と話したり自省したりするってことが、日本人はあまりないのではないだろうか。
けれどアメリカでの評価は掘り込みが浅い、だったそうだ。
欧米の恋愛は、または人間関係は、それほどにヘ...続きを読むヴィーなのか。

愛している男・リックとの生活に疲れ果てている女・ココ。
ココはただ、リックを愛しているだけだ。
愛を伝える。
彼のために献身する。
二人の時間を楽しみたい。
しかし、そんなココの態度が、リックを追いつめる。

黒人として生まれ、幸せだったと思うことなく大人になったリックは、愛情というものがわからない。
いつも目に見えるものをしか信じない。
ココが何を望んでいるか、薄々わかっているけれど、ぞれはリックにとってとても怖いこと。
だって愛なんて見えないから。

リックの息子ジェシーは、幼い頃から父母の喧嘩を見て育ち、大人を信じることができない。
だけど、大人に面倒を見てもらわなければならない子どもであるという自覚はある。
つまりとても賢い少年なので、ココに懐かない。
ここにとってもジェシーは邪魔だ。
なのに、何で親でもない自分ばかりがジェシーの面倒を見なくてはならないのか。

そういう鬱屈から始まる物語。
リックはココと対峙することができず、毎晩酒を飲みに出かけてしまう。

”世の中の父親は、おやすみを毎日聞く義務を持たないのである。それは母親の義務だ。そして、ジェシーは、その母親ととうに離ればなれになっていたのだ。”


人種差別や、性的マイノリティに対する偏見など、頭ではわかっていても現実にはいろいろある。

”人間の社会は、思うよりもはるかに生理的なものに支配されていると、ココは、いつも考えるのだ。”

リックといても幸せになれないのなら、リックに幸せを与えることができないのなら、別れた方がいいのではないかとココは思う。
だけど、できない。
愛しているから。
しかし彼女の周囲では、愛し合っているのに不倫をしたり、気持ちが覚めたらさっさと次の人に乗り換えたりする人も多い。
ココは優しすぎるのだが、それは彼女の長所であり、短所でもある。

”何気ない顔をして、人よりも先に幸福を手にする人間。そういう人は、他人を憎んだりもせずに、いつも暖かい雰囲気を漂わせている。”
これはなかなか鋭い指摘だ。

”人間関係の中で、被害者である人間は加害者でもあるんだ。そのことの解らない人間は、愚かだよ。”
これは難しい問題。
いじめの被害者や虐待されている子どもに言うことはできないけれど、自分自身に対しては、絶対的被害者であることを免罪符にはしたくないと思う。

読みながらウクライナとロシアのことをちょっと考えた。
絶対的な被害者も絶対的な加害者もなくて、どちらにも言い分はあるという立場で話を聞かないと、何かを間違えてしまうのではないか。
関係性の中にある、というのは、そういうことだと思う。

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Posted by ブクログ 2012年01月13日

愛の叫び。
ひしひしと叫びが伝わってくる作品です。
色々な種類の愛があり、
愛し合うのに、愛したはずなのに、
1つになれないもどかしさ、
諦めと、渇望の繰り返しのなかで、
傷付き傷付けられることを繰り返すなかで、
進み、変わり、学んでいく様子が描かれています。
身も心もくたくたのよれよれになって、
...続きを読むそれでも死にきれない沸き上がる愛情は、
醜くもあり、浅ましくもあるけれど、
堪らなく愛しい想いを心の底から掬い上げてくれるはずです。
紛れもない現実が、この作品にはあります。
剥き出しの心が好きな方には特にオススメです。
ただし、
感傷的になりすぎないよう注意です。

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Posted by ブクログ 2011年06月27日

人を愛する甘美さも切なさも味わえる本。どうしようもないことが、一番愛おしい。舞台のニューヨークの空気も、本当にシビれます。

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Posted by ブクログ 2011年02月16日

折に触れ、何度も本棚から発掘しては読み返します。高校、大学、フリーター、社会人。ヒロインであるココを見上げていた私が、いつか追いつき、追い越していくこの不思議。
どうしようもない黒人の中年男に恋するオリエンタルのココ。男の息子や前妻との話、そして別れ、新しい恋。みんなみんな、どうしようもなく「生きて...続きを読む」います。結婚や愛や死や、そういう人生における重要なものの価値観を、私に問い直してくれる本です。読むたびに感動する部分が違う。そして、必ず泣いてしまう。
長さを感じさせない、ずっしりしっかりとした本です。出会えたことを誇りに思う。

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Posted by ブクログ 2010年09月13日

山田詠美にはまるきっかけになった1冊。
これも100回以上は読んでいる。

この本を読んで、人はこんなにも人を愛せるのかと思った。
そして、その愛し方は人によってそんなに違うのかと。
ココのように全身全霊で人を愛することは素敵だ。
でも、人は大人になるにつれてそんな愛し方をしなくなる。
その思いが断...続きを読むち切られてしまったときに傷つかないように。
でも、ココは全身全霊で人を愛す。
いつまでもココのような愛し方が出来たら素敵だと思う。

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Posted by ブクログ 2010年08月24日

助けてもらった本。答えがたくさんかいてある。ご本人にサインも頂いちゃいました。吉祥寺のkukuって高山みなみさんのいらっしゃったお店で。

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Posted by ブクログ 2013年05月01日

圧倒された。凄かった。山田詠美は、多感な中高生を主人公とする作品と、黒人社会をテーマにする作品の2つにわかれる。「僕は勉強が〜」が前者のベスト作品だとすると、これは後者のベスト。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

すきですきでたまらない作品。
ココとジェシーの関係がなんだかこそばゆくてもどかしくて、
それからリックはとてもいたいけで、
一章の終わりは何度読んでも涙が止まりません。

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Posted by ブクログ 2015年12月13日

何年も前に読んで、時々恋愛で考え事する時に部分的に読んでた。甘美でおしゃれな恋愛モノの中に、時にぐっさりくることがある。ゲイのバッキーの恋愛に対する考え方がすき。
2015.12.13

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Posted by ブクログ 2015年09月01日

恋人と同棲しながら、二人の冷え切った愛を見つめ直す日本人女性のココ。ただ見つめ合い、同じベッドで寝るだけでいいのに、決してココが望む愛を与えてくれない黒人男性である同棲相手のリックは、ココが与える愛を純粋に受け止められずに酒に逃げる毎日を送っていた。

恋人同士の愛、同性愛、家族愛等の多様な恋愛観...続きを読むを、主人公1人の目線からだけでなく、ココを取り巻く様々な人々を交えて語られている。私は愛情を求めるココの気持ちがよく分かったが、それを拒むリックの心情がよく分からなかった。そのリックからの目線でもココに対する愛が語られており、その気持ちは、ただ愛を与える事を求められ疎ましいという気持ちだけでない、歪な愛情があった。
この一冊で、恋愛に対し多種多様な目線で見つめられる。


【好きな小説内での言葉】
・求めているように語りながら、実は、求められることを切望している
・愛の言葉を言い出した方が、その重みの分だけ不幸になる。
・その瞬間、彼は初めて女の体の上で「愛している」と呟いた。
・憎んで憎んで、そして愛し抜いてやる。
・すべてを忘れることから始めなくては、どうしようもなかった。

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Posted by ブクログ 2015年06月19日

リックの不器用な愛し方が凄く切なくて苦しい
でも個人的に凄く好きな本◎
読んでて途中で苦しくなってどうしようもなく悲しく泣きたくなるけどそれでも必死にもがいてぶつかっていく大人と子供達。
切ないのにただ切ないだけでなく温かみのある本◎
それぞれの登場人物に親近感が持てる^ ^

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Posted by ブクログ 2015年05月06日

恋愛の切なさや疲れや愛しさが、マンガや映画のように直接的に感じられる小説で、懸命に愛憎を交わす登場人物たちのことを、最後にはなんだか愛しく思いました。また、スタイリッシュさが先へ先へと読ませる作品です。

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Posted by ブクログ 2011年02月21日

94年2月。発売日に買った。
私が読んだ山田詠美で、時々思い出すのはこの話かな。
ダメDV男とそんなダメ男を愛する・・・ココ?
NYの話だよ。
ほんとに上手くいかなくって、なのになんで?別れられないの?なぜ愛してしまうの?という女性っぽい話、だったはず。
そいいう人間の悲しさ?軽薄で軽く、...続きを読む衝動的なことを裏返してクールに悲しんでるけど、そんなダメな遺伝子や本能を愛してるって話だっけ?
なんか恥ずかしいね。恋愛小説なんだよ。
当時は、村上龍や山田詠美、刺激の多いセックスがいっぱい出てくる小説がほんと流行ってた。
今もかな。
この話、虫みたいな人間とそのいとなみがいとおしいって、それが私の感想なんだ。時々思い出すから、気に入ってるんだと思う。

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Posted by ブクログ 2011年01月15日

 ニューヨークに暮らす日本人ココの恋愛を描いた小説。ココは子どものいる黒人男性リックと同棲していたが、新しい恋人を作り、リックの元を去る。しかし、リックの思い出は消えない。トラッシュとして捨てることが出来ない。人間が弱くて、悲しくて、愛おしい存在だと思える一冊。

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Posted by ブクログ 2010年03月26日

久しく恋愛小説から離れていました。 大人の恋愛事情に振り回されるジェシーと、愛しているという現実に正面から向き合うことのできないリックの親子がとても痛々しかった。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

山田さんの世界観の中のニューヨークどっぷり。
解説が宮本輝さんなのだが、この解説もなんかすごい。
高校生の頃、夢中になって宮本輝読んだなぁ。。。
どちらも言葉を紡ぐって感じなんだよなぁ。

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Posted by ブクログ 2009年10月24日

なんていうんだろう、非常に微妙な場所をついた作品だと思う。けっこう好き。腑に落ちないこともない、ていうような。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

「ジェシーの背骨」のココとジェシーがとても気に入った組み合わせだったのでその続編と知って大変昂奮した記憶があります。結論として恋じゃない男女関係というのは、燃える。ロマンがある。彼女らはその境界線を愛していける素敵な二人です。「ぼくは勉強ができない」ほどトントントン、と纏められてある話ではないんです...続きを読むが、勘違いかもですが作者の産みの苦しみを感じました。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

山田詠美で1番好きかも…長いけど、平気だし、恋愛小説が嫌いだけど、彼女の書く恋愛だけは大丈夫!好きなのです。

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Posted by ブクログ 2020年12月16日

懐かしい。昔の私の恋愛バイブルとも呼べる作品だった。でも、今読むと主人公や彼女を取り巻く人間の価値観がハッキリしすぎていて、押し付けがましく感じてしまった。もう今の私にはしんどいなあ。

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Posted by ブクログ 2020年01月14日

多分舞台はNYで、黒人の彼氏リックと、リックの前妻との間の息子ジェシーと住んでるココの物語。

個人的にはココがいろんな場面で幼稚に思えた。
なんのかんのと言っても結局子持ち&バツイチ男性と付き合う覚悟が足らなかったのでは?
私は女だけど、ココのような女性とは仲良くなれないなあと思った次第。

会話...続きを読むで進むので読みやすかった。

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Posted by ブクログ 2011年11月03日

山田詠美さんの文体はほんと独特でたまらなく好きだなぁと改めて感じさせてくれた本。
ココはきっと山田詠美さんそのものをイメージさせる。そんな女。

トラッシュを読まれるのでしたら
絶対にジェシーの背骨を読んでからのがおすすめです。
成長したジェシーに感動する。
リックとココ、そしてジェシーの...続きを読む奇妙な生活。

ココのしおあわせがにじみ出ている
チューインガムもおすすめです***

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2011年07月22日

恋をしたい、と思わせてくれる作品です。
山田詠美さんの小説は友人から勧められていてA to Zが気に入ったので開拓しようと思っていました。
ニューヨークで繰り広げられる恋愛模様を主にココ視点から書かれたものです。
ココはジャパニーズという風に描写がたまにあるけれど、ココを含めて誰もそのことを気にして...続きを読むいないというのが、実は一番印象的でした。
彼女がアルコールに溺れるリックとの終わりからランディと新しく始めるまでを描いていて、そのなかに何人もの人の葛藤、心情の揺れがみずみずしく描かれています。特にジェシーの成長ぶりに心打たれました。最初はぎすぎすしていたココとの関係が最後「家族だ」と言い切ってしまうまでに関係を変えた二人。ココは素直に受け入れられなかったみたいなのはなぜだったんだろう。

実をいうとあまり彼らのしゃべり方が好きではなかったです。会話は特に英語で読んでみたいと思ってしまった。「君が恋しいよ」が私はやっぱり"I miss you" の方がしっくりくる。直訳するとそうなのはよくわかってるけど、多分"恋しい"には違う意味が含まれている気がする。



一番心に残ったのは実はリックの言葉でビーズの件です。人間ってそうやって大事な記憶を反芻することで、一粒一粒の(ビーズより私は)真珠にして首にかけておく様子が目に浮かびます。年月が経つにつれて、それは長くなっていくし、多分だから二重にも三重にもしなくてはならなくなるのかもしれない。それが辛い記憶でできた真珠でも人生の経験を吸い込んだそれは美しいんじゃないだろうか。そしてその首飾りが長ければ長いだけ、それは人を内側から輝かせるのではないだろうか。この本で誰かが言っていたように、人は不幸があって初めて幸せを感じるから。きっと幸せだけの首飾りは光らないのかもしれない。そんなことを感じました。

その他にも、「愛の言葉を言い出した方が、その重みの分だけ不幸になる」というのも印象的でした。そうなのかな。未だ信じたくないな。

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Posted by ブクログ 2011年03月21日

恋をした時、こんなに何かを
考えていたのだろうか。
衝動だけで、動いていたと思ってたけど、
もしかしたら、こんなに理由があったかのかもしれない。
思い出に理由はいくらでもつけれるのだけど。

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Posted by ブクログ 2011年01月08日

『私は彼が死んだことは、どうも思わないの。だって会ったこともない他人だもの。私が泣いているのは、貴方が彼が死んで、傷ついて悲しんでいるからよ。あなたが大事だから泣いてるの』がすごく印象に残ってる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年02月17日

読んだのはずいぶん前・・・うーん独身のときだったような。
さんざんイライラしながら読み進めて、最後めっちゃ泣いたような記憶がありますが・・・もう内容ほとんど覚えていない・・・

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Posted by ブクログ 2010年03月07日

久し振りに恋愛小説を読んだ。
世界に入り込める様になるまで大分時間が掛かり、
読み始めから読み終わりまでかなり経ってしまった…。

山田詠美の小説の中にはときどき、
自分の語彙力では言い表すことのできない感情を、
ずばり言い当てられているような文章がある。
この本にも、そんな箇所がいくつかあったなあ...続きを読む
全体としては、まぁまぁでも、
その部分だけで、惹き付けられてしまう。
その部分のために、読む、といっても間違いではないと思う。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

よく覚えていない。。山田詠美の恋愛モノの典型、と思った記憶が。山田詠美のぐっとくる心理描写はすごいと思うが、恋愛モノより少年少女モノのほうが共感できるんだよね…なぜか。

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Posted by ブクログ 2020年07月15日

人間の終わりは死ぬことなんかじゃないよ。自分を嫌いになることだよ。いったん嫌いになったら、好きになるのは難しいよ。それは他人に対してとおんなじなの。ひとつの体に二つの心が棲んでるんだ。ネガティヴとポジティヴ。解る?ココ、ネガティヴがひとりの人間を占領し始めた時点で、色々なことが終わりに向かって動き始...続きを読むめるんだ。(p.135)

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