山田詠美のレビュー一覧
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支配する事で支配されるという真実。
支配されていることで、実は相手を支配している。
姫子は摩周を支配していたけど、そうすることで摩周に支配されてた。
摩周は姫子に支配されてたけど、それは同時に姫子を支配することになってた。
二人の関係はこのことに気づかない時はうまくいってた。
だけど、ある日気づいてしまった。
自分の立場がすこしずつ変わっていくことを。
怖くなった姫子は摩周の元を去った。
立場を変えるきっかけを作ってしまった摩周は後悔した。
離れてみて、相手の存在の大きさに気づく。
自分の立場や存在が変わってしまっても、姫子には摩周が必要だったし、摩周には姫子が必要だ -
Posted by ブクログ
9つのお話が入った短編集。
「おれ、今日人を殺してきちゃった」
もし、自分の愛する人にそう告げられたら。
自分の愛する人は、ださくてもボロボロでも、どんな状態でも愛しくて、
例え彼が人を殺したとしても、その事も女心をつかむのかもしれない。
愛する人に愛を囁かれるように、そう告げられた黒木。
彼は、自分の彼女を名字で呼ぶ。それが彼の(ちっぽけな)主義。
「順子に悪かったな。」
愛する人から出てきたこの言葉が全てを終わらせた。
だって私の名前は、黒木みどり。
人を殺したこと、ずっと外に出ずお風呂の無い部屋で二人で過ごすこと、愛する人をかくまうこと、全て許せたはずなのに。。。 -
Posted by ブクログ
力のある女性作家の皆さんが恋と食に関する小説とは、贅沢な本だった!
特に「ワタシノミカタ」と「SUMMER STREAMER」が良かった。「SUMMER STREAMER」では、70近い婦人が大ファンの大谷翔平さんのプレイを観たくて単身でアメリカに行く話。その中で、大谷選手はどんな人と結婚するのだろうかと。あれこれあげて、最後に一番悔しくない人は「彼の母親に似ている女性」とあり、まさしくその通りの女性と結婚していた。結婚発表より前に書かれた小説で見事言い当てていたので驚いた。大谷夫妻は素敵!嫌いと言う人はまずいないだろうな!
この本を通して、いろんな作家さんを知ったので、読書が広がりそうで -
Posted by ブクログ
大阪の二児遺棄事件が基になっているこの作品。今も起こっている子供絡みの事件の事も重なって、胸が締め付けられるように苦しかった。
虐待、ネグレクト…負の連鎖をどこまで遡れば「つみびと」が分かるのだろう。
鬼母と呼ばれた蓮音も明らかに被害者でもある。その心の内を知れば知るほど、やり切れない気持ちになる。
限界が来る前に誰かに助けを求められなかったのかと思うけど、そもそも人を頼ることを知らなければ、そういう選択肢が浮かばないのか…
罪を犯したからといって、子どもの幸せを願っていなかった訳ではないということが、救いのような逆に辛いような複雑な気分。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ20代、山田詠美を読みあさった。久しぶりに同氏のことを思い出して、この作品を読んでみた。山田詠美自身がモデルとなる山下路美の語りが、当時読んでいた作品を思い起こさせ、懐かしい気持ちになった。私は純文学と大衆文学の違いも分からない文学素人だけれど、作家という人種がどのように作品を作っていくのか、その頭の中が垣間見えて楽しかった。高柳氏の章では、現実世界での(リアルな人間関係においての)言動と、小説で書き表わされる内容は、同じ人の思考から発生するにも関わらず、こんなにも違うのかということに驚いた。小説を書くときは神の視点になれるけど(いわゆるメタ認知が発動するけど)、現実世界ではそうもいかない、と