山田詠美のレビュー一覧

  • 明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち

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    ネタバレ

    ある家族の話
    作品としての設定は、少しありがちかなと感じた部分もあった。母親が愛する息子を失い、精神疾患に罹り酒に溺れたり、そんな母親が子供に癇癪を起こして激昂したりなど、崩壊しつつある家庭の描写をするから仕様がないことだと思うが、にしてもありがちだと思ってしまった。
    そして澄川澄生(すみかわすみお)という名前や雷に打たれ死んだという、死者の斬新な設定に少し疑念が残ったのもある。
    ただ、ほか残された家族の一人称視点の話や、節々に現れる山田詠美さんの綴る文章には心打たれるものがあった。大切な人が亡くなった人、大切じゃない人が亡くなった人、それを俯瞰する人、人の死が与える影響は計り知れない。

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    2025年12月08日
  • ファースト クラッシュ

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    久々も久々に山田詠美さんの作品。
    10代に出会った頃の衝撃を思い出した。
    いつも衝撃と言葉と文学、そして恋という感情を教えてくれる。
    そう、恋愛のど真ん中なのに、けして恋愛だけではないのが山田詠美さんだった。
    かっこよくて大人な大人を教えてくれる。
    20代でも、もっと読んでおけば良かったなぁ。

    解説も良かったので、文庫で読んで良かった。

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    2025年12月04日
  • 三頭の蝶の道

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    山田詠美だからかけたというか、書くのを許されてる空気感というか、なんかそんな感じでその世代の人たちをよく知らなくても面白かった。いい意味でドラマみたいで。

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    2025年11月18日
  • いただきますは、ふたりで。―恋と食のある10の風景―(新潮文庫nex)

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    料理と恋愛にまつわる短編集。
    料理が絡むからか、どれも一定大人の恋愛ストーリー。

    一穂ミチのエピは不思議な色気を感じる作品。地味女かと思わせといてなかなかやりおる男女だわ。
    古内一絵作品はこの人の根底にあるものが伝わるので嫌いじゃない。
    君島彼方の作品は性的マイノリティの葛藤がいい具合に滲み出ていてこれも好き。
    奥田亜希子のズルい男とそれをわかってて演じた女の話も結構好き。転がされてるようで転がす女は勝ち組だな、って思う。

    ということでどれもなかなか思いを馳せることの出来る味わい深い短編集でした。

    カレー食べたくなるよ

    2025.11.11
    204

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    2025年11月11日
  • 三頭の蝶の道

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    ネタバレ

    昭和の香りがするような…
    詠美先生の過ごしてきた当時の文壇と呼ばれる世界の生きづらさや人間関係などりあるすきて魔窟を恐るおそる覗き込んでいるようで落ち着かない。何に対してなのかわからず恥ずかしくなるほど。

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    2025年11月04日
  • ぼくは勉強ができない

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    曽根ちゃんのおすすめ
    全面的にずっとせっくすの話をしているのがなんかおもろい。別にエロいとか下品とかではない、当たり前のように出てくるのは好感だけど、頻度多め。
    私は勉強ができる人が好きだが、考えたうえで勉強より女にモテることのほうがいいと判断する、片親育ちで達観してる少年のキャラは好き。

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    2025年11月04日
  • いただきますは、ふたりで。―恋と食のある10の風景―(新潮文庫nex)

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    食卓を囲む恋人たちの物語。
    こう書くと、幸せな話のように感じるかもしれないけれど、そんなおめでたい話ばかりではない。
    食欲は人間の二大欲求の一つだから。その上に立つ物語はそれはそれは濃いものでなければ成り立たない。人間の生と欲が濃密に描かれた短編集。

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    2025年10月15日
  • 熱帯安楽椅子

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    愛しすぎてしまった男を吹っ切るために訪れたバリ島。自分を見つめる熱帯の男たちの視線や耳の聞こえない少年との出会いによって、いつの間にか失っていたものを自分の肉体に取り戻していく。

    好きな人と別れた時の、心臓が痛くて悲しい気持ちをこんなにも美しい言葉で表現して文学作品へと昇華させてしまう文才に惚れ惚れする。
    そして耳の聞こえない少年、トニの無垢な愛情のこもった瞳に傷が癒されていく様子にもうっとり。
    バリ島の熱気や雨や砂や波を肌に感じられる作品だった。

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    2025年10月09日
  • いただきますは、ふたりで。―恋と食のある10の風景―(新潮文庫nex)

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    一穂ミチ目当てで手にとる。あと巻末の山田詠美のエッセイ 「恩讐の彼方のトマトサラダ」も。
    さすが山田詠美!この短い短いエッセイの中にユーモアの中にちゃんと彼女らしい美学が語られている。
    今まで振られたことはないって、「男と別れるのは、相手が逮捕されるか、強制送還されるか、死ぬか、のどれかなんで」ってすごい。
    原田ひ香の小説、(夏のカレー)初めて読んだけどこの60歳過ぎたしーちゃんと冴子の好き同士だったのに結婚には至らず40年にも渡る出会いから邂逅を経て別れまで(冴子の死)せつないラブストーリーだった。
    恋、片思い、両思い、愛、婚約、浮気、裏切り、不倫、
    恋愛に関することは”結婚”以外全部(冴子

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    2025年09月30日
  • ファースト クラッシュ

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    ネタバレ

    裕福な家庭の3姉妹の元に突然現れた父の愛人の息子・力。
    力に魅了される3姉妹とその母。

    全く違う性格の女達が1人の男性に惹かれていく様子がそれぞれの視点から描かれている。
    これが恋だとは認めていないものの、詩に出会って恋だと気づく瞬間がこれまで読んだ恋愛小説とは違う感じだった。

    ラストは意外な結末で、予想外にキュンとできてよかった。

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    2025年09月29日
  • いただきますは、ふたりで。―恋と食のある10の風景―(新潮文庫nex)

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    食べるとき
    誰と食べるかは、私たちにとって
    とても大切なことではないかなと感じる

    誰とどこで、なにを食べるのか
    1人で食べた時にふわっと思い出す
    大切な記憶。
    それが恋する人ならなおさら。
    様々な作家さんのひとつひとつの物語の中に
    表れる料理と誰かの想い。

    思わずいいなぁと声が漏れてしまう
    一冊でした

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    2025年09月28日
  • いただきますは、ふたりで。―恋と食のある10の風景―(新潮文庫nex)

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    ぽかぽかした。
    男の魅力という点で、高身長というのは外せないんだな。

    おいしいものは好きなひとと食べたらもっとおいしい、みたいな言説がありふれているせいで、一人でケーキを買って食べるという楽しみをやめてしまったのだ。いつになったら食べられるんだろうな。責任をとってくれ。

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    2025年09月27日
  • ぼくは勉強ができない

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    まるでエッセイを読んでるようだった。

    勉強が出来ないと謳っている主人公の秀美は、勉強が出来なくても頭は悪くない。勉強が出来ないが故に、本でなく経験から学び、自分の頭で考える。

    父親のいない自分はなぜ可哀想と思われなければならないのか。なぜ高校生が恋愛をしたら不純異性交流と言われてしまうのか?

    疑問を周りの大人に問う訳だが、教師のような常識人には疎まれる訳だ。

    1991年の作品であるため、出てくる大人は少し頭でっかちな感じもあるが、魅力に溢れている。その大人たちに躊躇なく疑問をぶつける秀美はもっと魅力的だと感じた。。

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    2025年09月10日
  • いただきますは、ふたりで。―恋と食のある10の風景―(新潮文庫nex)

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    恋と食にまつわる短編小説。スキマ時間や寝る前のひとときに読みたいなと思って手に取った本。
    古内一絵さんの「ワタシノミカタ」、奥田亜希子さんの「白と悪党」、ぼる塾田辺智加さんの「初恋と食事」がよかった。また同じ作家さんの違う本を読んでみたくなった。
    田辺さんのエッセイ好きです。恋愛って頑張って、背伸びして付き合う時期があってもいいけど、いつかやっぱりボロが出るから、自然体でいかないと、長続きしないなと思った。でもあの経験があるから、今につながっているのかなと思うと、応援したくなりました。

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    2025年08月30日
  • 賢者の愛

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    ドラマを何年か前に見たことあって、原作があると知ったので読んでみた。
    ドラマではうろ覚えだったけど、原作はやはり恐ろしさが尋常じゃなかった。
    真由子の視点からしか描かれないから百合が悪者みたいになってるけど(たしかに泥棒猫だけど)、幼い真由子は無意識にずっと百合を傷つけてたんだろうなと思う。
    他の方の投稿で、百合が真由子を育てたのだ、とあって、思わず唸った。

    最後の場面も含めて結構ドラマが忠実だった。
    中山美穂さん、高岡早紀さん、竜星涼で想像しながら読んだ、めちゃくちゃぴったりな配役。完璧。
    痴人の愛読んだことないからよく分からんけど、読んでみたくなった。

    山田詠美さん「ぼくは勉強ができな

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    2025年08月28日
  • つみびと

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    何がきっかけだったのか、誰が一番悪いのか……そんなふうに一言で片付けられる話ではない。
    小さな選択が積み重なり、結果として大きな事件になってしまったのだと思う。

    その「小さな選択」をより良い方向へ導くには、やはり良い人との関わりが欠かせないのではないだろうか。
    けれど、その「良い人との出会い」自体が、生まれ育った環境によって大きく左右されてしまうのかもしれない。
    では、自分を俯瞰できる力さえあれば、どんな環境にあっても正しい選択ができるのだろうか。

    一見、遠い話のように感じられるけれど、決して他人事ではない。
    むしろ他人事で終わらせてしまう社会であってほしくない。

    もちろん自分に何ができ

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    2025年08月23日
  • 風味絶佳

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    鳶見習い、ゴミ収集員、引っ越し作業員など、肉体労働についている男と女の恋愛模様六編。描かれているのは、のっぴきならなくなった恋愛の真っただ中で、揺れ動く感情、のような。『間食』で、十五歳年上の不動産屋勤務の女と暮らす若い鳶見習いは、彼女との出会いを思い出し、考える。「一緒に住もうと言われてその気になった。大切にしてあげる。そう言われた。嬉しかった。彼女が嬉しがらせたいのは彼女自身だったのだと気づいたのは、ずい分、後のことだ。」彼は同時に大学生の花とも付き合って、いちゃいちゃしている。「悲し涙が嬉し涙に変わるのを見届けるほど、冥利に尽きるものがあるもんか、と彼は、自分のほうこそ泣きたくなる。この

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    2025年08月16日
  • ぼくは勉強ができない

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    読みやすい。
    時差ぼけの話しはあまりわからやかった。
    気分が少しスッキリする気がする。
    真里がいい。特に最後。

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    2025年08月15日
  • 晩年の子供

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    どうして山田詠美さんの書く女の子の目を通すと、世界がこんなに瑞々しく見えるのだろう。
    物語の地の文が好きすぎて読んでいると心地良くてフワフワしてくる。

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    2025年08月12日
  • ぼくは勉強ができない

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    大人が作った価値観や偏見に疑問を持ち立ち向かう姿は読んでいてスカッとした。大学に行かないとロクな大人にならない。という人はいるけど、勉強できなくてもかっこいい大人になれ。と言う大人は確かに少ないなと思った。学生もだけど、大人も考えさせられる作品。読んでいて思ったのは、今の承認欲求や他者からの需要を満たしてナンボの考えが蔓延している現在、中々、自分軸を持って考え行動していくことはなかなか難しいなと。ただ、常識やルールに対して、自分の中でこれはどう言うことか?と自問自答することは大切と思うので、その思考する習慣はつけたいと思う。

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    2025年07月15日