山田詠美のレビュー一覧

  • ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨

    購入済み

    濃密で空しい未知の体験

    『ベッドタイムアイズ』について。
    心の結びつきでなく、空疎であっても、
    低次元、知性の放棄のようにみえて、
    破天荒、暴力的な、粗野な魅力を
    これほど濃密に描写されると
    強い存在感にひょっとして
    自分の生活はパワー不足のような
    気もしてくる。
    未知の世界の陶酔的な魅力と、
    自分にしっかりと何かを
    掴んでいられない状況、
    刹那的、無力で危うい様子を
    拡大解釈すると
    人生の危うさを感じてしまう。
    入ってみたい、避けていたい、
    そういう二重の意味での
    外の世界だ。

    #アツい #切ない #カッコいい

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    2022年03月27日
  • トラッシュ

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    ネタバレ

    読みごたえがありました。
    それは本が分厚いからというのではなく、内容がヘヴィーだったから。
    こんなにこんなに言葉を尽して他人と話したり自省したりするってことが、日本人はあまりないのではないだろうか。
    けれどアメリカでの評価は掘り込みが浅い、だったそうだ。
    欧米の恋愛は、または人間関係は、それほどにヘヴィーなのか。

    愛している男・リックとの生活に疲れ果てている女・ココ。
    ココはただ、リックを愛しているだけだ。
    愛を伝える。
    彼のために献身する。
    二人の時間を楽しみたい。
    しかし、そんなココの態度が、リックを追いつめる。

    黒人として生まれ、幸せだったと思うことなく大人になったリックは、愛情というものがわからない。
    いつも目に見えるものをしか信じない。
    ココが何を望んでいるか、薄々わかっているけれど、ぞれはリックにとってとても怖いこと。
    だって愛なんて見えないから。

    リックの息子ジェシーは、幼い頃から父母の喧嘩を見て育ち、大人を信じることができない。
    だけど、大人に面倒を見てもらわなければならない子どもであるという自覚はある。
    つまりとても賢い少年なので、ココに懐かない。
    ここにとってもジェシーは邪魔だ。
    なのに、何で親でもない自分ばかりがジェシーの面倒を見なくてはならないのか。

    そういう鬱屈から始まる物語。
    リックはココと対峙することができず、毎晩酒を飲みに出かけてしまう。

    ”世の中の父親は、おやすみを毎日聞く義務を持たないのである。それは母親の義務だ。そして、ジェシーは、その母親ととうに離ればなれになっていたのだ。”


    人種差別や、性的マイノリティに対する偏見など、頭ではわかっていても現実にはいろいろある。

    ”人間の社会は、思うよりもはるかに生理的なものに支配されていると、ココは、いつも考えるのだ。”

    リックといても幸せになれないのなら、リックに幸せを与えることができないのなら、別れた方がいいのではないかとココは思う。
    だけど、できない。
    愛しているから。
    しかし彼女の周囲では、愛し合っているのに不倫をしたり、気持ちが覚めたらさっさと次の人に乗り換えたりする人も多い。
    ココは優しすぎるのだが、それは彼女の長所であり、短所でもある。

    ”何気ない顔をして、人よりも先に幸福を手にする人間。そういう人は、他人を憎んだりもせずに、いつも暖かい雰囲気を漂わせている。”
    これはなかなか鋭い指摘だ。

    ”人間関係の中で、被害者である人間は加害者でもあるんだ。そのことの解らない人間は、愚かだよ。”
    これは難しい問題。
    いじめの被害者や虐待されている子どもに言うことはできないけれど、自分自身に対しては、絶対的被害者であることを免罪符にはしたくないと思う。

    読みながらウクライナとロシアのことをちょっと考えた。
    絶対的な被害者も絶対的な加害者もなくて、どちらにも言い分はあるという立場で話を聞かないと、何かを間違えてしまうのではないか。
    関係性の中にある、というのは、そういうことだと思う。

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    2022年03月08日
  • ジェントルマン

    匿名

    購入済み

    読むのやめられない!

    まず、韓国人なので日本語がとても下手な点、ご了承ください。 学生時代から山田詠美さんのすごいファンです。韓国で出版された本はすべて購入して読んできました。 まだ出版されていない本まで、このように原書で購入して読むほど、熱烈なファンです。
    (いや、ただのファンよりも、もうマニアに近いだと思います!!)
    彼女の影響を受けて、今、文章を書く仕事をしているのだから、これ以上言うまでもないでしょう。
    本作品の「ジェントルマン」のオノ·ヨーコとジョン·レノンの写真は私も普段から大好きでしたので、本を開いてすぐに「あっ!」と嬉しかったです。もう、その瞬間から完全に気が浮かれて、すらすらと読み進めました。
    それで、何時間もじっと座ってすっかり没入して読んだ後、最後のページを閉じる時、全身に鳥肌が立ちました。
    個人的に山田詠美さんの他の作品である「姫子」の収録短編「メニュー」がすごく好きなんですけど、あの主人公のような、山田詠美さんが描くどこか歪んだ男キャラが、私、ずっと前から大好きなので、本作品の漱太郎にもすっかり惚れ込んで、とても楽しく読みました。
    (もちろん、夢生のことも、圭子のことも、シゲのことも、その他の全キャラのことが好きなんです。)
    余韻が長く残りそうですね。
    紙の本も所蔵したいです。
    この本のすべてが好きでした。
    ありがとうございました。

    #泣ける #ドロドロ #切ない

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    2022年02月17日
  • 愛してるよ、愛してるぜ

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    10代の頃から山田詠美さんのファン。
    久しぶりに読んだ安部譲二さんとの対談集は、とてもチャーミングで、「人としての可愛げ」って、この先ずっと大事にしていきたいテーマだな〜と思いました。
    新年1冊目に読むものとして最高でした。
    朗らかな気持ちに。

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    2022年01月02日
  • A2Z

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    恋の賞味期限.既婚者の恋。
    なんか【既婚者】【夫婦】【不倫】に対しての今までの自分の固定観念がペシャンコになった(笑)こんな夫婦…とゆうか男女関係いいな(^_-)
    「あの子はひと晩だけでは味わい尽くせない」
    「二人でいる時にどうして二人だけのことを楽しめないの?」
    「もしもここが訪れるのではなく、帰るための部屋になったとしたら?」
    「会いたい優先順位は彼女が一番だったけど、失いたくない優先順位は、いつもナツだった」

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    2021年12月12日
  • ぼくは勉強ができない

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    周りに何を言われても自分の意見を持ち続ける強さがとても良い。
    まわりの大人たちがこれまで培ってきた偏見や彼らの言う常識を「そういうものなのか」とありのまま受け入れる方が多数派であり簡単であり大人になった時に大変な思いをしなくて済む方法なのかもしれない。でもそのまわりの常識や偏見に対して疑問を持つことこそが人生を豊かにする秘訣であり、本当の意味での成長なんじゃないかなと思う。
    中学生か高校生の間に読んでおきたかった。今のその歳の子たちに強くお勧めしたい。
    そして自分自身も繰り返し読みたいです。

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    2021年10月09日
  • A2Z

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    始まり方も好きだけど終わり方も好きです。

    私はバカラのエキノックスにジョニーゴールド入れて飲みたい。

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    2021年11月03日
  • 賢者の愛

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    普段小説を読まない自分には中々新鮮な文章だった。ドロドロの人間関係の中で、実は…が最後に見えたのが非常に面白かった。

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    2021年07月09日
  • ぼくは勉強ができない

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    ネタバレ

    父親のいない子供は不幸だとか、高校生の交際は不純異性交遊だとか、大人たちが思い込んでいる偏見になぜを突きつけてくる時田秀美くん。勉強ができることが大きな価値基準になっている世の中で、僕は勉強ができないが女にはモテる、と言い切れるその価値観の相対化がすごく良い。1日25時間の人間の体内リズムを24時間に調整できなくて、常に1時間の時差ぼけを抱えていたという自殺した片山くんの話が印象的。桜井先生が理解があって良い先生だった。

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    2021年05月05日
  • 風味絶佳

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    あーえいみさんの小説だ。
    一つ読み終えるごとに顔を上げて感傷に浸る。なかなか言葉にできない。作り上げてきた私の薄っぺらい価値観。えぐられてぐちゃぐちゃに掻き回されていく感じ。この複雑な愉悦(光悦、恍惚?)に陥るお決まりパターン。うっとりする。


    1番すきなのは「アトリエ」。あーちゃんが私のようで驚いた。私だってつじつまが合わない。納得がいく酷い過去を持ち合わせない。ほんとうはないもないのに、心の中が重くて仕方ない。この世界に生まれた、人間として命をもった。生きているだけなのに。運命を全うしているだけなのに。なぜかいつも辛い。逃げ出したい生まれ変わりたい。そんな毎日。どんくさくて社会不適合者なところもそっくりだ。
    しかし1つ違うところがある。あーちゃんはゆんちゃんを愛している。私はもう17年も生きていているのに。誰も愛していない。まずは人を愛せるようになるところから、だなあ。
    私も手足が冷たい。季節や時間帯に関係なく。血液が騒ぎ出して皮膚表面まで昇っていく感覚。体がぽかぽかしてる。あの人と生きている実感がほてりを冷まさない。そう感じてしまう人。私を一部分にしてくれる人。掴みたいと思った。
    だけど分からない。似ているはずなのに。あーちゃんは何を思っていたのだろう…。あれは自分のでっち上げじゃなかったの。悲劇のヒロインのおとぎ話じゃなかったの?今の私には分からない。いつか自分で考えて分かる日がくるといいな。


    1つだけ刺さらなかったのは「海の庭」。思いは同じなのに、2年も何年も関係をはっきりさせない若くない2人。なにちんたらしてんねん!これだけ風味を感じられなかった。いやらしさが分からない!いつかに読み返す頃はこの感想が変わっているのだろうか。



    主人公に感情移入してしまった「春眠」。複雑すぎる!章ちゃんは2人を受け入れられる日が来るのだろうか。来るとしたら、章ちゃんは別人だろう。私も痛いところをつかれた。嘘をついてカッコつけてしまうところが章ちゃんと同じ。素直って素敵だよね、カッコつけるの控えよ。妹のキャラクターが好き。あなたの味方だよ。何があっても。それってなんて幸せなんだろう。今の私にはそう心から思える人がいない。

    月九ドラマじゃ放送できないような、ねちねちした愛の形がすき。そうキャラメルのよう。本から目をあげると、世界は一層色をもって鮮やかに映る。私の世界の彩度をあげる。えいみさんに出会えてよかった。
    「風味絶佳」の"風味"とは食べ物に限定されない。人生とは人それぞれ十人十色の風味がある。その妙味。まさに絶佳。


    風味絶佳な人生に仕立てたい。

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    2021年03月26日
  • 晩年の子供

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    完璧な短編集。どの話も忘れることのできない衝撃な内容になっている。子供の頃の夏休みは特別だったことを、ぼんやりと思い出させてくれる。
    私自身はこんなに晩年の子供ではなかった。
    でもなんとなくだけど、色々なことを、こうやって考えたことがあったんじゃないかな?
    子供の頃の夏を想うと、懐かしくて胸が痛む。でも心地良い痛み。こうやって当時の夏を慈しめるのも大人の醍醐味なんだなあ。

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    2020年10月19日
  • 快楽の動詞

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    ネタバレ

    手にとった時の薄さを裏切る、内容の濃さ。
    久々に「これは面白い」と感じながら読み進めました。

    個人的なお気に入りは、文体たちの話。
    文体の擬人化という発想はもちろん、軽快に進む擬人化達の会話に、ふふっと笑いながら読みました。

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    2020年08月31日
  • 色彩の息子

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    エイミーはいい女も病んだ女もウブな男の子も病んだ男の子も書き分けるからすごい。わたしも仔羊の塊を焼きたくなったし、大丈夫な理由として、「だって、詩人だろ?」って言われたい。

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    2020年06月18日
  • 賢者の愛

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    直巳に出会う前の真里子は私のようで、出会った後の真里子は小田さんのよう。わたしも強い感情があれば小田さんのようになれるのかな。百合への不快感がすごい。文面だけでオエッてなっちゃう。「マユちゃんの言ってること、全然解んない」という幼少期の直巳に、「解りなさい」という真里子がいい女だった、わたしもいつか言いたい。あとヴェルレーヌが読みたくなった。

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    2020年06月18日
  • ラビット病

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    素直なおんなのこってかわいいなーー!他の作品と毛色は違うけれど、ゆりちゃんもめちゃめちゃいい女。みみみみみみ!

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    2020年06月18日
  • 愛してるよ、愛してるぜ

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    2020年19作品目。
    途中、さんざん、2ページに一度は大笑いしたのに、安部さんの「おわりに」を読んで泣いてしまった。
    こんなにおもしろくてチャーミングな人がもういないなんて。
    山田さんとの対談、もっと読みたかった。

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    2020年05月10日
  • A2Z

    購入済み

    パートナー以外の人に恋することはある。
    結婚していてもそういうことは現実としてあると思う。
    相手を大切に思う気持ち、自分を大事にする気持ちを考えさせられた。
    不倫のお話だが素敵な小説だった。
    出てくる人たちの素の心が上手く書かれていて好きな本でした。

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    2020年07月11日
  • 風味絶佳

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    恋愛小説はちょっと苦手だけど、これは比較的読みやすかった。印象に残ったのは「春眠」。章造の気持ちを考えると…だけど、こんな愛の形があってもいいんじゃないかな。

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    2020年04月07日
  • 賢者の愛

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    真夜中、一気に読んでしまった。
    山田詠美の小説の中で「僕は勉強ができない」と同じくらい好きな小説になった。

    好きな人を取られ、敬愛する父をも取られ、精神が崩壊してもおかしくないような仕打ち。
    それでも彼女は強く生きていた。取る側になる、罪を犯さない復讐。これ以上美しい復讐はないと思う。できないけど。

    どうして?と思うところは、解説を読んだら全て納得できた。真由子自身、彼をその程度の男だと無意識のうちに分かっていて、本当によかった。

    敬愛している人でも、あることに於いては俗物だったりする。気づけたら少し落ち込んで、次に行けばいい。そう思わせてくれる小説。とても好きでした。

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    2020年01月01日
  • 明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち

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    山田詠美2作目。
    前作よりエイミーエイミーしてなくて家族愛中心だけど相変わらずドロドロしてる。
    よくもまあこんな話と文章が書けるよな、近くにいても怖くてきっと友達になれない。そろそろ禁断症状でそう、次の作品読まなきゃ。

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    2019年09月24日