山田詠美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
残酷なまでに美しい悪魔のような男と、その悪魔に魅せられて愛し従属した男の話。震えました。あの衝撃のラストは彼らにとったらメリーバッドエンドなのだろうか。漱太郎もユメなら仕方ないねって笑いそうな気もする。笑って犯した罪を告白する漱太郎と、それを許して受け入れるユメはある意味共犯者であり、そこで二人は唯一無二の相手として分かり合える、それは遥かに肉体関係を持つ事よりも深く結ばれている事なのだ。 殆どプラトニックでありながら、どんな関係よりも狂っていて歪んでいて背徳的。 これでおまえ、俺の奴隷だな、ユメ?という漱太郎の言葉が淫美な悪魔の囁きのようで恐ろしい(けど個人的に大好き)。
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Posted by ブクログ
それぞれが違う形で前のパートナーをなくした男女が再婚し、お互いの連れ子合わせて三人と、新しく出来た一人の子どもで、合計六人の家族が出来上がった。
素敵な家に移り住み、家族仲も良好で、素晴らしいスタートを切る。それは幸せな人生づくりの完璧な再出発かと思われた。
しかし落雷が原因の長男の死をきっかけに、長男を溺愛していた母がアルコール依存症となり、一家の姿は激変する。
家族だからと言って何でも遠慮なしに振る舞って良いわけではなくて、むしろ家族だからこそお互いが少しずつ我慢をしたり役割を演じたりしてどうにか家族というものは形成されていく。
この本を読む以前から思っていたことが、この本を読んでますます深まったように思う。
突然不在になってしまった長男の存在が、長きに渡って家族たちに影響を与え続ける。
見える形で壊れてしまった母親はある意味では一番幸せで、あまりにも出来過ぎたヒーローのような存在だった長男の夭逝は、兄弟たちを様々な形で苦しめる。家族内でも、そして学校でも。
人間は必ずいつか死ぬのだから、死というものは全く特別なものではない。だけど幼い頃に兄をなくしてそれぞれに苦しんだ兄弟たちは、死に対して偏った思いを抱くようになっていく。
大切な人の死を、時間をかけて昇華して、自分を取り戻していくということ。
それを放棄してしまった母親に振り回され続けた家族が、長い時間の後にした選択は、けして前向きではなく切なく見えたけれど、それが長い時間をかけて流れ着いた場所なのだと思った。出来うる限りの、最良の選択。
そして最後のページで驚きが。
長女、次男、次女、そしてみんな。という視点で綴られた四章の短編連作。
長男の死や家族に対するそれぞれの思いと苦しみ。人間の黒い面や綺麗事では済まされない部分もたくさん描かれていて、山田詠美さんの小説の中に垣間見える哲学は今回も健在。
「かわいそうという言葉は、言われる側に言ってもらいたい人を選ぶ権利がある。決して自分のプライドを傷付けない、と信じている人にだけ言われたい」という次男の言葉が印象的だった。
上から目線ではなく心から人を「かわいそう」と思える人は、果たしてどれくらいいるのだろう。 -
Posted by ブクログ
大好きな山田詠美。
美しい文章。美しすぎて、溜め息が出る。
なのに、こんな終わり方はいやだ。
私は、このお話に出てくる人がきらい。圭子のことも、夢生のことも、路美のことも。
漱太郎のことは、もっときらい。
いやだ、いやだと思いつつ、私は多分、この本が好きだ。
好きよりも嫌いの方が、人を強く惹き付けるのかもね。
「欲しがれば欲しがるほど逃げて行くものが、この世の中にはたくさんある。」
本当にその通りで。
欲しがるのを辞めれたら、もっと簡単になるのに。
私が欲しくて欲しくてたまらないものは、いつの間にか遠くに行ってて、もう絶対に手に入らない。 -
Posted by ブクログ
[恋、奉り候]自ら「姫子」という源氏名を名乗りながらホームレス生活をし、拾った男の欲望の操縦に生きがいを見いだす女性の恋模様を描いた表題の「姫君」。欲望の視点から主人の女性を観察した「フィエスタ」を含む全5編の短編を収録した作品。理性とはとっくの昔に袂を分かった女性の内なる心情が描かれています。著者は、直木賞受賞作家でもある山田詠美。
「姫君」の鮮烈さが特に印象に残りました。一般の読者からすれば180°倒錯した恋の物語でありながら、それを読み進めるうちに次第に360°一回転して純情すぎるほど純情な恋の物語になってしまうところがなんとも不思議。その終わり方を気に入るかどうかは読者それぞれに依るところと思うのですが、諧謔性も含まれた恋に焦がれさせてくれる短編として非常に秀逸だと思います。
山田詠美さんの作品を始めて手に取ったのですが、用いられる表現が時として強烈というところにも興味が持てました。普通に考えていたらこんな言葉出てこないだろうし、逆に出てきたら変な感じになっちゃうだろと思いながら、その強烈な言葉のイメージに絡めとられてみるのも一興かもしれません。
〜春は、唇が、溶けやすい。〜
ホワイトデーですか、そうですか☆5つ