山田詠美のレビュー一覧

  • 4U ヨンユー

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    ネタバレ

     慕い合う男女(稀には病的な女性も登場する)を描いて、穏やかで、心を衝く場面がある。
     我が儘そうな(と言って悪ければ異端者だった)彼女が、風格を帯びた1因は、恋愛短編小説のアンソロジー「せつない話」(1989年、光文社・刊、既読)、続編(1997年、光文社・刊)を編んだ事が大きいと思う。多くの小説を読み込み、アンソロジー(おもに女性作家の)を編んで、女性作家の姐御になったのかも知れない。
     当時は結婚生活も落ち着いていたようだ。

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    2019年08月07日
  • マグネット

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     いきなりだが、性行為を中心とする、男女の性の有り様について、品格と機知を伴って、9編は描かれる。ただし1人称小説が多い。
     山田詠美を「短編小説の名手」と評価する、評論家が現れたことも肯ける。
     黒人男性との性行為を描いて出発したイメージの強い、山田詠美の作家としての成長を読む思いである。ネタバレを書いていられないので、関心を持つ方へはご1読を薦める。もっとも、もっと荒々しい世界を描き続ける作品を期待する、僕もいた。
     彼女を見直して、後期の小説をもっと読みたい思いがする。

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    2019年07月07日
  • 明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち

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    数年ぶりに読み返したらあらすじボヤッとしか覚えてなく新鮮に読めて、すごく良かった
    うまいの一言に尽きる。小説って技術が要るけど、これ見よがしだったり、奇をてらいすぎるものが技術と評価されるのでは無い。無駄のない適切な言葉のチョイス、感情の機微に敏感な描写こそがそうなのだ、と再認識させられる

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    2018年07月09日
  • ジェントルマン

    購入済み

    ため息がでた。

    失恋の真っ只中に読んだからか、美しい話だと思った。

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    2018年05月28日
  • マグネット

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    はじめて読んだ山田詠美さんの本。
    描かれているのは恋愛と罪の意識。
    どれも都会っぽいおしゃれさとロマンチックさが詰め込まれているかんじがして、なるほどこれが山田詠美かと思いました。笑
    歯が浮くようなセリフを堂々と言う登場人物にすこしドキドキしたり(外国っぽい!)泣きそうになる切ないお話もあったり。
    特に忘れられないのは「熱いジャズの焼き菓子」と「瞳の致死量」 ダントツで好きだった。

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    2018年03月06日
  • 晩年の子供

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    内容は作り物にしても、その中で情緒をこれほど豊かに表現できる著者の表現力に対して、惹かれた。幼い頃の情緒は、それが何ものなのかをまだ知らず表現も出来ない内に時間の経過を経て簡単に流れてしまう。大人になってからは意識したって立ち止まることさえできない類のもの。しかしそれは大人にとっては小さいが、子どもにとっては重大なもの。
    この本ではそれを文章で的確に表現しており、更に著者の高い感受性でより広げられていると感じた。子どもの目線ではあるが経験豊富な死に面したご老人の思考も感じさせる文章に、少し混乱させられる。

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    2018年03月04日
  • 賢者の愛

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    これでこそ、楽しみにしていた甲斐があるというものである。
    やっと文庫化された。やっと。WOWOWでドラマ化された際に見た、あの耽美的な世界に憧れて、もうこの何年も思い出すたびに文庫が出てはいやしないかとヤキモキしていたのだ。
    そして、その甲斐はあった。良作、名作である。そしてこの何かの理屈を掴みかけ、しかしそれを本当に掴んで読み解くことなどできないという無力感がかえって心地よい。

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    2018年03月03日
  • 晩年の子供

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    子供の目で森羅万象をしっかりと捉えている。痛々しくも確かな作品。自分の幼少時代を振り返らずにはいられない作品。

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    2017年09月24日
  • 女性作家が選ぶ太宰治

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    読んだことのある作品もそうでない作品もあったけれど全体を通して楽しかった。
    やっぱり太宰治が好きだなぁと。

    女生徒、恥は読んだことのあった作品。好きな作品は何度読んでも楽しめるし、何度だって読みたくなる。
    そのうちまた読みたい。

    古典風、秋風記。今回初めて読んだ作品の中ではこの2篇が私の中でベスト。2度、3度と読み込んでいきたい。

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    2017年07月13日
  • 色彩の息子

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    小さなお盆の上には、鍋焼きうどんが乗っていた。化粧の匂いをぷんぷんさせてね。
    この女ときたら、親父が戻るまで、まったく隙のない化粧をして、待ってるんだ。本当に好きもんだよ。
    冗談じゃねえ。
    死んじまえばいいんだ。
    (陽ざしの刺青/声の血/顔色の悪い魚/高貴なしみ/病室の皮/草木の笑い/白熱電球の嘘/ヴァセリンの記憶/雲の出産/埋葬のしあげ/黒子の刻印/蜘蛛の指輪)

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    2017年02月08日
  • 晩年の子供

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    きりっとしまった短篇集。
    あとがきによると、子どものころ過ごした地方都市で感じたことを書いているらしいが、こんな当時の切ない気持ちを書けるなんて・・・。
    「桔梗」「花火」にグッときました。

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    2016年11月23日
  • ジェントルマン

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    残酷なまでに美しい悪魔のような男と、その悪魔に魅せられて愛し従属した男の話。震えました。あの衝撃のラストは彼らにとったらメリーバッドエンドなのだろうか。漱太郎もユメなら仕方ないねって笑いそうな気もする。笑って犯した罪を告白する漱太郎と、それを許して受け入れるユメはある意味共犯者であり、そこで二人は唯一無二の相手として分かり合える、それは遥かに肉体関係を持つ事よりも深く結ばれている事なのだ。 殆どプラトニックでありながら、どんな関係よりも狂っていて歪んでいて背徳的。 これでおまえ、俺の奴隷だな、ユメ?という漱太郎の言葉が淫美な悪魔の囁きのようで恐ろしい(けど個人的に大好き)。

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    2016年05月02日
  • 明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち

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    それぞれが違う形で前のパートナーをなくした男女が再婚し、お互いの連れ子合わせて三人と、新しく出来た一人の子どもで、合計六人の家族が出来上がった。
    素敵な家に移り住み、家族仲も良好で、素晴らしいスタートを切る。それは幸せな人生づくりの完璧な再出発かと思われた。
    しかし落雷が原因の長男の死をきっかけに、長男を溺愛していた母がアルコール依存症となり、一家の姿は激変する。

    家族だからと言って何でも遠慮なしに振る舞って良いわけではなくて、むしろ家族だからこそお互いが少しずつ我慢をしたり役割を演じたりしてどうにか家族というものは形成されていく。
    この本を読む以前から思っていたことが、この本を読んでますます深まったように思う。

    突然不在になってしまった長男の存在が、長きに渡って家族たちに影響を与え続ける。
    見える形で壊れてしまった母親はある意味では一番幸せで、あまりにも出来過ぎたヒーローのような存在だった長男の夭逝は、兄弟たちを様々な形で苦しめる。家族内でも、そして学校でも。
    人間は必ずいつか死ぬのだから、死というものは全く特別なものではない。だけど幼い頃に兄をなくしてそれぞれに苦しんだ兄弟たちは、死に対して偏った思いを抱くようになっていく。

    大切な人の死を、時間をかけて昇華して、自分を取り戻していくということ。
    それを放棄してしまった母親に振り回され続けた家族が、長い時間の後にした選択は、けして前向きではなく切なく見えたけれど、それが長い時間をかけて流れ着いた場所なのだと思った。出来うる限りの、最良の選択。
    そして最後のページで驚きが。

    長女、次男、次女、そしてみんな。という視点で綴られた四章の短編連作。
    長男の死や家族に対するそれぞれの思いと苦しみ。人間の黒い面や綺麗事では済まされない部分もたくさん描かれていて、山田詠美さんの小説の中に垣間見える哲学は今回も健在。
    「かわいそうという言葉は、言われる側に言ってもらいたい人を選ぶ権利がある。決して自分のプライドを傷付けない、と信じている人にだけ言われたい」という次男の言葉が印象的だった。
    上から目線ではなく心から人を「かわいそう」と思える人は、果たしてどれくらいいるのだろう。

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    2015年10月28日
  • 晩年の子供

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    何年も前に読みかけて放置してたのを手にとった。たまたま夏に。夏に読んで良かった。山田詠美の幼少期から思春期を主人公・テーマにした本はとてもいい。子供のダークな部分がピリッと入ってるのがいい。女の子はこうして男の子よりも早くオトナになってゆくんだなぁ。「花火」「桔梗」「海の方の子」「迷子」「ひよこの眼」が好きなお話し。

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    2015年09月07日
  • ジェントルマン

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    大好きな山田詠美。
    美しい文章。美しすぎて、溜め息が出る。

    なのに、こんな終わり方はいやだ。
    私は、このお話に出てくる人がきらい。圭子のことも、夢生のことも、路美のことも。
    漱太郎のことは、もっときらい。

    いやだ、いやだと思いつつ、私は多分、この本が好きだ。
    好きよりも嫌いの方が、人を強く惹き付けるのかもね。


    「欲しがれば欲しがるほど逃げて行くものが、この世の中にはたくさんある。」
    本当にその通りで。
    欲しがるのを辞めれたら、もっと簡単になるのに。
    私が欲しくて欲しくてたまらないものは、いつの間にか遠くに行ってて、もう絶対に手に入らない。

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    2014年12月09日
  • 晩年の子供

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    なんと評価したらよいか。
    いろんな場面で衝撃的な小説。
    少女から見た男と女の世界、死に対する思い、客観的に見る自分。
    その時代の少女時代の山田詠美の感性は、通常の人の何十倍も研ぎ澄まされていた。
    普通では見過し忘れていくものまでもが記憶されていた。
    全ての短編が心に残るが、「花火」は、特に記憶に残る物語。
    二十八で人を本当に愛し、終わりがこないように演技する、女としての能力(感性)。女性の謎。

    男と女、恋、愛、性について山田詠美は書き手として表現している。
    読んでいて飽きない。
    山田詠美、もっと読んでみたい。

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    2014年08月21日
  • 晩年の子供

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    詠美さんの子供の話はよいなぁ。ほとんどが同級生よりも大人びた子供が主人公だけど、感情の無秩序な動きやら特有の感覚やらが、やっぱり子供なんだと感じさせて
    記憶ではなく感覚でなつかしさ切なさを思い出す。

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    2014年06月12日
  • 姫君

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    [恋、奉り候]自ら「姫子」という源氏名を名乗りながらホームレス生活をし、拾った男の欲望の操縦に生きがいを見いだす女性の恋模様を描いた表題の「姫君」。欲望の視点から主人の女性を観察した「フィエスタ」を含む全5編の短編を収録した作品。理性とはとっくの昔に袂を分かった女性の内なる心情が描かれています。著者は、直木賞受賞作家でもある山田詠美。


    「姫君」の鮮烈さが特に印象に残りました。一般の読者からすれば180°倒錯した恋の物語でありながら、それを読み進めるうちに次第に360°一回転して純情すぎるほど純情な恋の物語になってしまうところがなんとも不思議。その終わり方を気に入るかどうかは読者それぞれに依るところと思うのですが、諧謔性も含まれた恋に焦がれさせてくれる短編として非常に秀逸だと思います。


    山田詠美さんの作品を始めて手に取ったのですが、用いられる表現が時として強烈というところにも興味が持てました。普通に考えていたらこんな言葉出てこないだろうし、逆に出てきたら変な感じになっちゃうだろと思いながら、その強烈な言葉のイメージに絡めとられてみるのも一興かもしれません。

    〜春は、唇が、溶けやすい。〜

    ホワイトデーですか、そうですか☆5つ

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    2014年03月14日
  • 120%COOOL

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    独特な雰囲気がある、大好きな短編集になりました。
    どれも好きですが、ガリレオの餌は終りが好きです。
    120%Coolの雰囲気も大好きです。
    最初にある作者の言葉「幸か不幸か、いまだに、私は20パーセントモアを求めて右往左往している」が、なぜかとても印象的でした。

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    2013年10月28日
  • 姫君

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    人を想うことで生じてしまう、
    相手を失ってしまうのではないかという不安。
    ともすれば、己の現実的な判断など、
    微塵にも砕かれてしまうのではないのかという不安。
    愛を自覚すればするほどに、
    逃れられない不安が付き纏い、
    底知れぬ恐怖となる。
    ただし。
    その恐怖を失った瞬間には、
    もはやその相手を愛してなどいないのだろうこと、
    少なくとも私にとってはそうであろうことを、
    気づかされた一冊。

    抱きしめているつもりで、本当は抱きしめられていた。
    抱きしめられていたつもりで、本当は抱きしめていた。

    深く、鈍く突き刺さる。

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    2013年09月20日