山田詠美のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
残酷なまでに美しい悪魔のような男と、その悪魔に魅せられて愛し従属した男の話。震えました。あの衝撃のラストは彼らにとったらメリーバッドエンドなのだろうか。漱太郎もユメなら仕方ないねって笑いそうな気もする。笑って犯した罪を告白する漱太郎と、それを許して受け入れるユメはある意味共犯者であり、そこで二人は唯一無二の相手として分かり合える、それは遥かに肉体関係を持つ事よりも深く結ばれている事なのだ。 殆どプラトニックでありながら、どんな関係よりも狂っていて歪んでいて背徳的。 これでおまえ、俺の奴隷だな、ユメ?という漱太郎の言葉が淫美な悪魔の囁きのようで恐ろしい(けど個人的に大好き)。
-
Posted by ブクログ
それぞれが違う形で前のパートナーをなくした男女が再婚し、お互いの連れ子合わせて三人と、新しく出来た一人の子どもで、合計六人の家族が出来上がった。
素敵な家に移り住み、家族仲も良好で、素晴らしいスタートを切る。それは幸せな人生づくりの完璧な再出発かと思われた。
しかし落雷が原因の長男の死をきっかけに、長男を溺愛していた母がアルコール依存症となり、一家の姿は激変する。
家族だからと言って何でも遠慮なしに振る舞って良いわけではなくて、むしろ家族だからこそお互いが少しずつ我慢をしたり役割を演じたりしてどうにか家族というものは形成されていく。
この本を読む以前から思っていたことが、この本を読んでますま -
Posted by ブクログ
大好きな山田詠美。
美しい文章。美しすぎて、溜め息が出る。
なのに、こんな終わり方はいやだ。
私は、このお話に出てくる人がきらい。圭子のことも、夢生のことも、路美のことも。
漱太郎のことは、もっときらい。
いやだ、いやだと思いつつ、私は多分、この本が好きだ。
好きよりも嫌いの方が、人を強く惹き付けるのかもね。
「欲しがれば欲しがるほど逃げて行くものが、この世の中にはたくさんある。」
本当にその通りで。
欲しがるのを辞めれたら、もっと簡単になるのに。
私が欲しくて欲しくてたまらないものは、いつの間にか遠くに行ってて、もう絶対に手に入らない。 -
Posted by ブクログ
[恋、奉り候]自ら「姫子」という源氏名を名乗りながらホームレス生活をし、拾った男の欲望の操縦に生きがいを見いだす女性の恋模様を描いた表題の「姫君」。欲望の視点から主人の女性を観察した「フィエスタ」を含む全5編の短編を収録した作品。理性とはとっくの昔に袂を分かった女性の内なる心情が描かれています。著者は、直木賞受賞作家でもある山田詠美。
「姫君」の鮮烈さが特に印象に残りました。一般の読者からすれば180°倒錯した恋の物語でありながら、それを読み進めるうちに次第に360°一回転して純情すぎるほど純情な恋の物語になってしまうところがなんとも不思議。その終わり方を気に入るかどうかは読者それぞれに依 -
Posted by ブクログ
「私はいく」=「私は恋人と寝床に入り幸福のきわみにまでのぼりつめ涙する」
「いく」という言葉が、快楽の絶頂を表す言葉なのは、この年になればわかるけど、これって不思議だよね。
同じように「死ぬ」という言葉も
ポルノ小説になんかよく使われたりするし、実際使う場合もあるんだろうけど。
日本語の絶頂感は、点であり、刹那的であり、快楽用語に死というイメージを使うのはいかにもであると山田さんは書いています。
日本語は、賢いぞ!
そのほかにも知性とセックスは両立するのか?
ブンタイって一体何なんだろう?
否定形の肯定?
作者独自のものの見方によって、日本語と日本ブンガクの現状につい -
Posted by ブクログ
愛の叫び。
ひしひしと叫びが伝わってくる作品です。
色々な種類の愛があり、
愛し合うのに、愛したはずなのに、
1つになれないもどかしさ、
諦めと、渇望の繰り返しのなかで、
傷付き傷付けられることを繰り返すなかで、
進み、変わり、学んでいく様子が描かれています。
身も心もくたくたのよれよれになって、
それでも死にきれない沸き上がる愛情は、
醜くもあり、浅ましくもあるけれど、
堪らなく愛しい想いを心の底から掬い上げてくれるはずです。
紛れもない現実が、この作品にはあります。
剥き出しの心が好きな方には特にオススメです。
ただし、
感傷的になりすぎないよう注意です。