あらすじ
「母が首を吊ったのを見つけた時、ぼくが、まだ五歳だったのは幸せなことだ。十歳だったら泣きわめいていただろうし、十五歳だったら心の病気にかかってた。今だったらどうだろう。きっと笑ってた。二十歳。もう、ぼくは、人が、おかしくなくても笑うということを知っている」(本文より)。人が人を求める気持ち、コトバにできない寂しさを描いた短篇集。人を愛することで初めてうまれる恐怖、そんな“聖なる残酷”に彩られた、忘れがたい物語。
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[恋、奉り候]自ら「姫子」という源氏名を名乗りながらホームレス生活をし、拾った男の欲望の操縦に生きがいを見いだす女性の恋模様を描いた表題の「姫君」。欲望の視点から主人の女性を観察した「フィエスタ」を含む全5編の短編を収録した作品。理性とはとっくの昔に袂を分かった女性の内なる心情が描かれています。著者は、直木賞受賞作家でもある山田詠美。
「姫君」の鮮烈さが特に印象に残りました。一般の読者からすれば180°倒錯した恋の物語でありながら、それを読み進めるうちに次第に360°一回転して純情すぎるほど純情な恋の物語になってしまうところがなんとも不思議。その終わり方を気に入るかどうかは読者それぞれに依るところと思うのですが、諧謔性も含まれた恋に焦がれさせてくれる短編として非常に秀逸だと思います。
山田詠美さんの作品を始めて手に取ったのですが、用いられる表現が時として強烈というところにも興味が持てました。普通に考えていたらこんな言葉出てこないだろうし、逆に出てきたら変な感じになっちゃうだろと思いながら、その強烈な言葉のイメージに絡めとられてみるのも一興かもしれません。
〜春は、唇が、溶けやすい。〜
ホワイトデーですか、そうですか☆5つ
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人を想うことで生じてしまう、
相手を失ってしまうのではないかという不安。
ともすれば、己の現実的な判断など、
微塵にも砕かれてしまうのではないのかという不安。
愛を自覚すればするほどに、
逃れられない不安が付き纏い、
底知れぬ恐怖となる。
ただし。
その恐怖を失った瞬間には、
もはやその相手を愛してなどいないのだろうこと、
少なくとも私にとってはそうであろうことを、
気づかされた一冊。
抱きしめているつもりで、本当は抱きしめられていた。
抱きしめられていたつもりで、本当は抱きしめていた。
深く、鈍く突き刺さる。
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はじめて山田詠美さんの作品にふれて、ガッツリ惚れるきっかけになった本。
特に姫君の姫、
MENUの聖子には強烈に惹かれた。
生まれてはじめて、本の中の人物に本気の憧れを抱いたと思う。
読み手の腕をぐわしって掴んでひっぱりこんでくようなプロローグがだいすき。
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高校生の時に読んだ感想としては「ふしだらな!」だったけど、何だか気に入って何度も読み返してしまう1冊。
特にMENUは素晴らしい。あの手紙を真似して、その時々の好きなものと嫌いなものを列挙する日記をつけていた。
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何度読んだか分からないけど、何度読んでも泣かされる
あまりにも特別な一冊。
ラストで泣くのではなく、二人が愛しいというか切ないというかで
しょっぱなから感情を揺さぶられまくるので危険です。
干からびてしまうので要ポカリ。
これからもきっと何度も読み返します。
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支配する事で支配されるという真実。
支配されていることで、実は相手を支配している。
姫子は摩周を支配していたけど、そうすることで摩周に支配されてた。
摩周は姫子に支配されてたけど、それは同時に姫子を支配することになってた。
二人の関係はこのことに気づかない時はうまくいってた。
だけど、ある日気づいてしまった。
自分の立場がすこしずつ変わっていくことを。
怖くなった姫子は摩周の元を去った。
立場を変えるきっかけを作ってしまった摩周は後悔した。
離れてみて、相手の存在の大きさに気づく。
自分の立場や存在が変わってしまっても、姫子には摩周が必要だったし、摩周には姫子が必要だった。
姫子の為にがんばる摩周、姫子を失った悲しみを感じれるのは世界中で自分ひとりであると喜ぶ摩周、姫子を失って一人10ccの蛋白質をだす摩周。
私には摩周がとても愛しく、魅力的に感じる。
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menu
昼間に読んでよかったかもしれない。
ずっしり重かった。
麻子のトキを大切に想う故に聖一と結婚を選ぶのか。。
トキは麻子を憎いって気持ちは愛情の裏返し。
トキの心情を変化に苦しくなる作品。
聖子との異様な関係がトキの拠り所なのかな。
麻子を一番傷つける存在になれない事を知った
こういう感情よく文書にして表現できるよね、すごい。。
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変温動物であること。熱がさめ気付く。
情熱の最中の意見の一致、ベッドにもぐり込む前の前戯に過ぎない。
倦怠が忍び込む。
この繰返し。あーあ、つまんない。
検温が良かったかな。
姫君も、良かった。そういう愛の形として。
でも、卓袱台ひっくり返されるか読んでてヒヤヒヤでした。
Posted by ブクログ
【本の内容】
たとえ、自分が生と死の境に立っていようとも、人は恋をする。
なぜなら…。
傷を傷というふうにも表せない男女が魅かれあう姿を通して、人が人を求める気持ち、言葉にできない寂しさを描いた五篇を収録。
人を愛することで初めて生ずる恐怖、“聖なる残酷”に彩られた、最高に贅沢な愛と死のシミュレーション。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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姫君、の摩周と姫子の二人がかわいかった。特に石投げ云々と「ばかもの。」可愛いなーかわいいなーと思いながら読んだ。個人的にはあのまま戻って欲しかった、と思う。
『そうか。不幸とは、他の人が決めることなのか。それじゃあ、幸福とは、まるで別物だ。それは、いつだって、自分の言葉でしか姿を現さない。』
『ただのノイズのご馳走だ。』
「この人のために、強烈に何かしてあげたいって思うのって、恥しいじゃない?身の程を知れとか、自分に突っ込んだりしなきゃやってらんない。」
『情熱が死んだことが、つくづく嬉しかった。』
「私は、死を隠し持ってますの」
『あのさあ、信じて何年になる?その間じゅう、私は、あの男にかまけなくてはならない。』
『けっ、プライドプライドプライド、天敵なんだよ、プライド。』
「じゃあ、自信を持ちなさい」
「そ、それは、何もするなということですね」
「お願いですお願いですお願いですってお願いしてんじゃねえか」
『うい奴。可愛がって、可愛がって、可愛がり過ぎて、粉々にしてしまいたい。』
『愛と思いやりが一緒になって自分に向けられると後ずさりしてしまいたくなるのだ。恐怖を感じると言っても良い。』
「石、投げたいのなら、おれになげればいいでしょう?怒りなら、おれにぶつければいいでしょう?」
「だって、あんたのこと怒ったわけじゃないもん。あんたに石投げたいわけじゃないもん」
「いえ、良い人だなあ、とか思って。あ、割った皿、弁償しますから、すいませんでした」
『こういう良い人のために、少なくとも皿洗いぐらいは、しっかりとやろう。』
『声に出さないで尋ねてごらん。彼女は、かつて、こう言った筈だ。それなら、おれは、あなたに、これをあげる。』
『彼女は、今、おれを猛烈に寂しくさせている。それは、いい。けれども、自分が彼女を寂しくさせているのだとしたら?耐えられない。』
『自分をジャンクと呼ぶなんて、頭がどうかしてしまったんじゃないのか。でも、あそこにあったごみたち、どれも皆、丁寧に手入れされていた。結局、わたくしもそうされたくてうずうずしていたくせに。』
『馬鹿になれる程人を好きになれるのは素晴らしい。』
『妻も妻なら、夫も夫だ。つまり、ある時期、この二人は同類だったのだ。私の両親は、私を作成したとき、二人共、馬鹿だったのである。』
「人生狂わせる人間は希少価値。」
「と、いうか、あらかじめ狂った人生を空にプレゼントした。感謝するように」
『人生なんか最初から狂ってる、そう思うと、この先、あらゆることを受け止めるのが容易になる。』
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内田春菊先生の解説で山田詠美さんを発見して、春菊さんが尊敬してるって言ってたので気になってました。
初 山田詠美先生です。
文章の書き方がかなり壷ったので、他の作品も読み漁りたいと思います。
短編なんですが、(MENU)(姫君)が良かったぁ~~(姫君)は最初読んでて・・うーん微妙~と思ったんだけどラストは切なくてよかった、短編で語り手が2人って新鮮だし。
基本的に主人公に美人臭や特別臭が感じる類いの話があんまり好きじゃないんだけど、まったくうぜぇと感じさせないのがよいわ~~。
危うげで繊細でセツナイ。まったりお酒飲みながら読むと自分に酔えると思います。
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言葉の一つ一つを反芻したくなる。短編集だけど内容はずっしりで得した気分。また解説の金原ひとみさんの文章がいいんだよなあ…。何回も読み直したい本!
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■愛すること(愛することを受け入れること)で永遠に戻れないところに行ったり、何かを永久に喪ったりすることは、確かにある。それが怖くて仕方がなかったり、やみつきになってしまったり、受け入れたいのに受け入れがたかったりする。かように人間のこころは矛盾に満ちているが、しかしそれでももがいたり目をそむけたりする不器用な登場人物たちが妙にかわいく、いとおしく思えてきてしまう。
■「姫君」はすごい作品だと思った。映画にしたらすごくまとまりがよく、映える作品になると思ったけれども、なってなかった…。
摩周が、わたしの知っているひとによく似ていて、読み進めていて集中できない箇所が多々あった。涙も出たりした。
■「フィエスタ」は、わかるわかる!!と思わず大笑いしながら読めた。全体的に重苦しい短篇ばかりのなか、食休み的なライトなあかるさがあったと思う。
ひとから好かれたい、愛されたいと熱望する人間ほど、その対象から働きかけてもらうことしか考えないというのは正論だと思う。そして自分から動きださずにいつまでも満たされず、そうすると今度は悲劇の主人公に自分を仕立てあげる。……自戒も込めての皮肉。
■「シャンプー」が一番最後というのは構成の妙。最後にやわらかい筆致とかすかにこれからの未来展望がみえてくるところで終わっているので、「姫君」のヘヴィな読後感が緩和されている。
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5つの作品のうち、いまいちばんぐわんとつかまれたのは、『検温』。
どの作品をとっても、生温かい息づかいで周りがくぐもり、真綿で首を絞められるような、やるせない気分になったのだけど(絞められる、はさすがに言い過ぎか…)、中でもこの主人公(そういえば名前がない)のなんともいやらしい感覚に近いものを感じてしまうのだ…
ああ、いやだなあと思いつつ、地味に私の中での詠美ベスト5に入りそうな作品。春にもう一度読もう。
Posted by ブクログ
『そうか。不幸とは、他の人が決めることなのか。それじゃあ、幸福とは、まるで別物だ。それは、いつだって、自分の言葉でしか姿を表わさない。』
『女のオーガズムの表情は、まるで天国で罰を受けているみたいだ。』
『人に必要とされてしまったら、死ぬ自由する手に入れることが出来ないのを教えてくれた。そして、ある人間を必要としてしまったら、その人の自由を奪ってしまうことも。』
『自分を差し置いてひとりの人間を愛せるのは、そのために、他のすべての人々を破棄出来る奴だけだ。』
『解ってた。解ってたけど抵抗出来なかった』
『なんで? 気持良かった?』
『良かった』
『じゃ、仕方ねえな。気持良いこと止めるのって難しいもんな』
『関係を作るにしても壊すにしても、それを容易にするために、セックスを有効利用しているのだ。快感の最たるものは、嫌悪の最たるものでもあるという法則を駆使して。』
『聖子の体をきつく抱き締めて目を閉じた。本当だ。まるで、この世に自分しか存在していないみたいだ。腕の中の柔かい生き物が、自分の一部分のように思える。』
『贈り物 ー トキ兄は、誰かのセックスがくれた聖子への贈り物』
『ありがと。これで、私、永遠に必要とされるわ』
『ねえ、知ってる? 特部な人と共有する過去を秘密って言うんだよ』
『恋は何故自分を変温動物に変えるのか。答えは出ていない。好き好き好き。会いたい会いたい会いたい。平熱である今は馬鹿みたいと思うが、そう感じている最中に、心頭なんか滅却しないね。』
『鼓膜にたらされた、ほんの少しの言葉たちによって、わたくしの耳は、いまだ炎症を起こしたままだ。』
『けれども、彼は、不幸せがらいつも手始めに幸せという餌を差し出すのを知っている。』
『自分が彼女を寂しくさせているのだとしたら? 耐えられない。一番寂しくさせたくない人のことを、かけがえのないと呼ぶのではなかったか。』
『つまんない。森羅万象って、誰かと作る自分だけの逸話がないと、ほんと、つまんない。』
『わたくしは、もうとうに、自分が弱虫であるのに気付いている。支配することを目論む者は、いつだって、それを隠しているものだ。隠し切れなくなった時に、側に残ってくれる人。その人が一番、恐い。愛していた筈の孤独をあっと言う間に無意味に変えるその人が。』
『そこには、月よりも正確な道標が、ぽつりと輝いている。』
『私の周囲の男子たちと来たら、大人ぶるか、悪ぶるか、引きこもるかで自分自身を分類するような奴らばかりだったから、何の思惑もなさそうな彼の様子は、新しく出会った生き物のように思えた。』
『男女交際を始めた娘に何かアドバイスとかそういうのはないんですか?』
『何なの、それ? 避妊しなさいとかそういうこと? ぼく、空に性教育なんてすると嫌だよ』
『そんなの期待してないよ。だいたいコンドームの使い方ぐらい知ってる ー ていうか、問題は、コンドームを使わない部分の話だよ』
『やっぱ重荷じゃん。私が出来てなら人生狂っちゃったんじゃん』
『人生を狂わせる人間は希少価値。ついでに言うなら、重荷がなかったら、あんな高いビルには登れない。言ってる意味解る?』
『それ、すごく良い考えだね。じゃあさ、じゃあさ、お母様もおとうも、私の人生狂わせたんだね』
『と、いうか、あらかじめ狂った人生を空にプレゼントした。感謝するように』
『ラブリー!!』
『おもしろいことになって来た。人生なんか最初から狂ってる。そう思うと、この先、あらゆることを受け止めるのが容易になる。人は、狂った人生を物語の中でしか楽しまないものだけど、実は、私だってその主人公になれるのだ。』
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すごくエネルギッシュで、繊細な物語が詰まった作品。
特に表題作の『姫君』はこんなにスパイシーで、こんなに苦くて、こんなに甘い恋があるのかと言うくらい、素晴らしい物語でした。
読む、と言うより魅せられる、という感覚に酔いしれました。
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久しぶりに大好きな山田詠美さんの本を手に取った。5編の短編集。
●MENU
5歳で母が自殺した時紀
伯母に伯父、その息子聖一、娘聖子。
時紀の仲良しの女麻子
山田詠美さんらしい毒々しい恋愛模様に鳥肌たつ。すごくすき。
●検温
――恋は何故自分を変音動物に変えるのか
山田詠美さんらしい表現。
愛を語らせるのは山田詠美さんがいちばん美しくそして恐ろしいと想わせる短編
●フィエスタ
――キスが濡れたものであることを。ロマンスの頂点ではなく、セックスの準備体操であることを。
●姫君
表題作であるこの作品は素晴らしい。姫子という原始名。ホステスも風俗もやっていない、世界のための原始名。だけど貧乏。姫子を拾った摩周。摩周は中央線に誇りを持っている。山田詠美さんの作品、無銭優雅でも中央線を推していたことを思い出した。
これは素晴らしい作品。すごくすき。山田詠美さんらしい
摩周の姫子への歌
ぼくの宝箱の中に棲む
秘密の宝石
きらきらと輝きを増してゆく
そのブリリアントな横顔
そんないとおしいきみのために
僕の愛は歌を奏でる
永遠に 永遠に
あたしもハーモニカがほしくなった
●シャンプー
――ぼくにとって人生を狂わせた人は今まで四人居る
離婚した妻、結婚するきっかけになった娘、空。
……そしてぼくの両親
これにはインパクトがあった
あとがきで詠美さんがのべている。恐ろしいもの
あたしもおなじく死、そして愛が怖い。詠美さんがおとうとさんを亡くしていたなんて知らなかった
40歳以上年上の男と、数年前20歳以上年下の男と付き合ったことのある山田詠美さんを尊敬する
そして金原ひとみの解説もまた良い
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山田詠美の物語って
すごく好きか
ちょっと苦手な作品に
分かれるイメージやけど
この本は価値観
押しつけられてる感じが
全然しなくて
読みやすかった(*^^*)
どの主人公も
自分とはあんまり似てなくて
でも恋愛中の姿には
わかる!って共感することが
いっぱいでわくわくした★
「シャンプー」が好き!
あとがきの
人との出会いが大好物っていうの
すごくわかるし
瑞穂もそうでありたい!
この姿勢大事にしたいな?
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「MENU」はすごく難解な話だと思う。2回目にしてやっとアウトラインがつかめてきた感じはするんだけど、本質的な何かをつかみきれてない。時紀と聖子。それから麻子。時紀は麻子に対してどんな感情をもってたんだろう。
いちばん印象に残るのは「姫君」。ハーモニカをこっそり練習する姫子を抱きしめたいと思う摩周がすき。ただ姫子が死んでしまう必要性はなかったんじゃないかとも思う。この2人、好きだからそう思ってしまうのかもですが。
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短編5編を収録しています。
冒頭の「MENU」は、5歳で両親を亡くし、矢野家に引き取られた20歳の時紀(ときのり)の物語です。友人の麻子が、彼の義兄である聖一と交際を開始し、すこしずつ時紀の知っていた彼女から変わっていくのを見ることになります。その一方で、「自分が一番好き」という彼の考えに共感する義妹の聖子と濃密な関係がえがかれています。
表題作の「姫君」は、山本摩周というアーティスト志望の青年のもとに身を寄せることになった、姫子という誇り高い女性の物語。コミカルなテイストではじまりますが、しだいに摩周がカッコよく感じるようになっていきます。
テイストの異なる作品がたのしめる短編集ですが、やはり著者らしい雰囲気の話が印象にのこっているように思います。
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表題作を含む短編集。この中では、『MENU』が1番山田詠美さんっぽくて好きです。
『MENU』は親の自殺で人生を斜に構えた姿勢でしか捉えられなくなった青年と、彼の血の繋がらない妹を軸にした話なんだけど、この妹がとにかくエイミーワールドな女性!笑
「地球を失くす方法知ってる?抱き合って目を閉じるの」
という妹の言葉にグッときた。というのも、これはT.M.Revolutionの『AQUA LOVERS~DEEP into the night』という曲の世界観によく似ていると思ったから。私はいわゆる西オタ(西川貴教ファン)であり、かつ浅倉大介&井上秋緒という彼の楽曲の多くを作曲・作詞している2人のファンであり、この妹の台詞はまさにこの曲がよく似合うものだと感じたからだ。
というわけで、西川貴教ファンの方がいたら、ぜひこちらもご一読いただきたい。
Posted by ブクログ
MENUが凄く良かったなあ。最低なはずなんだけど、なんか引き込まれるような。聖子が切ない。
山田詠美さんもなかなかいいなと思って来た今日この頃。
Posted by ブクログ
2014/7/27
すごく女性的な話だと感じた。自分の力不足なのか男だからなのか気持ちがわからずむずむずした。どれも読みやすかったけど。
もう少しこの人の他の本も読んでみよう。
検温のおばあさんにはぞっとした。
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今回この本を選んだ理由は、何年も前に同著者「僕は勉強ができない」を読んで、面白いと思ったので、他の本も読んでみようと思ったからだ。
「MENU」は主人公のセリフ、性格の悪さがわたしの好みだったので、読んでいて楽しかった。俺様体質なのだがその性格の悪さを悪いとは思っていない、歪んだ考え方に惹かれた。妹とのとてもじゃないが歓迎されない関係も、ふたり特有のものでワクワクした。結末に少し唖然としたが、全体として読んでいてとても楽しかった。
しかし、その他の話は、キャラクターたちの感情が抽象的、突発的すぎてあまり理解できず感情移入できなかった。「この話の流れでこんなこと思うの?」とか「この分に込められた気持ちはどいうい意味だ?」などと思う箇所がたくさんあった。この本の話に共通していることが男女の愛なのだが、形は様々だが人を好きになる気持ち、愛する気持ちがこの本に描かれたキャラクターたちの気持ちだとすると、わたしがまだまだ本当の愛とやらを知らないだけなのかも知れないが…。解説でも述べられていたとおり、何度も読んだり何年後かに読み返すとわかる部分は多くなっているかも。また数年たったら読み直してみたい。
男女の恋愛の毒々しい部分や人間の本音が好きな大人の人にはオススメの本(たぶん若い子には理解出来ない気持ちが描かれているので)。爽やかな恋愛の話を読みたい人には嫌われる本かも。
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あのオシャレ文体!
好きな人にはたまらないだろう。
私はどちらかと言えば苦手で、暫く読んでなかったけど最近また手に取る山田作品。
MENUはこんなメンツに関わりたくない!と心から思わされた作品。
Posted by ブクログ
ママに貰って読んだ。彼女は山田詠美が好きみたい。でも中学生になったばかりのわたしが読むような内容ではなかったかもなあなんてぼんやりとしか思い出せない。もう一回読みたいな。