あらすじ
「母が首を吊ったのを見つけた時、ぼくが、まだ五歳だったのは幸せなことだ。十歳だったら泣きわめいていただろうし、十五歳だったら心の病気にかかってた。今だったらどうだろう。きっと笑ってた。二十歳。もう、ぼくは、人が、おかしくなくても笑うということを知っている」(本文より)。人が人を求める気持ち、コトバにできない寂しさを描いた短篇集。人を愛することで初めてうまれる恐怖、そんな“聖なる残酷”に彩られた、忘れがたい物語。
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Posted by ブクログ
何度読んだか分からないけど、何度読んでも泣かされる
あまりにも特別な一冊。
ラストで泣くのではなく、二人が愛しいというか切ないというかで
しょっぱなから感情を揺さぶられまくるので危険です。
干からびてしまうので要ポカリ。
これからもきっと何度も読み返します。
Posted by ブクログ
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昼間に読んでよかったかもしれない。
ずっしり重かった。
麻子のトキを大切に想う故に聖一と結婚を選ぶのか。。
トキは麻子を憎いって気持ちは愛情の裏返し。
トキの心情を変化に苦しくなる作品。
聖子との異様な関係がトキの拠り所なのかな。
麻子を一番傷つける存在になれない事を知った
こういう感情よく文書にして表現できるよね、すごい。。
Posted by ブクログ
姫君、の摩周と姫子の二人がかわいかった。特に石投げ云々と「ばかもの。」可愛いなーかわいいなーと思いながら読んだ。個人的にはあのまま戻って欲しかった、と思う。
『そうか。不幸とは、他の人が決めることなのか。それじゃあ、幸福とは、まるで別物だ。それは、いつだって、自分の言葉でしか姿を現さない。』
『ただのノイズのご馳走だ。』
「この人のために、強烈に何かしてあげたいって思うのって、恥しいじゃない?身の程を知れとか、自分に突っ込んだりしなきゃやってらんない。」
『情熱が死んだことが、つくづく嬉しかった。』
「私は、死を隠し持ってますの」
『あのさあ、信じて何年になる?その間じゅう、私は、あの男にかまけなくてはならない。』
『けっ、プライドプライドプライド、天敵なんだよ、プライド。』
「じゃあ、自信を持ちなさい」
「そ、それは、何もするなということですね」
「お願いですお願いですお願いですってお願いしてんじゃねえか」
『うい奴。可愛がって、可愛がって、可愛がり過ぎて、粉々にしてしまいたい。』
『愛と思いやりが一緒になって自分に向けられると後ずさりしてしまいたくなるのだ。恐怖を感じると言っても良い。』
「石、投げたいのなら、おれになげればいいでしょう?怒りなら、おれにぶつければいいでしょう?」
「だって、あんたのこと怒ったわけじゃないもん。あんたに石投げたいわけじゃないもん」
「いえ、良い人だなあ、とか思って。あ、割った皿、弁償しますから、すいませんでした」
『こういう良い人のために、少なくとも皿洗いぐらいは、しっかりとやろう。』
『声に出さないで尋ねてごらん。彼女は、かつて、こう言った筈だ。それなら、おれは、あなたに、これをあげる。』
『彼女は、今、おれを猛烈に寂しくさせている。それは、いい。けれども、自分が彼女を寂しくさせているのだとしたら?耐えられない。』
『自分をジャンクと呼ぶなんて、頭がどうかしてしまったんじゃないのか。でも、あそこにあったごみたち、どれも皆、丁寧に手入れされていた。結局、わたくしもそうされたくてうずうずしていたくせに。』
『馬鹿になれる程人を好きになれるのは素晴らしい。』
『妻も妻なら、夫も夫だ。つまり、ある時期、この二人は同類だったのだ。私の両親は、私を作成したとき、二人共、馬鹿だったのである。』
「人生狂わせる人間は希少価値。」
「と、いうか、あらかじめ狂った人生を空にプレゼントした。感謝するように」
『人生なんか最初から狂ってる、そう思うと、この先、あらゆることを受け止めるのが容易になる。』