山田詠美のレビュー一覧

  • ラビット病

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    お金持ちで天涯孤独のわがまま娘・ゆりと、米軍基地に勤める大らかな黒人男性・ロバちゃんの恋物語。
    雰囲気的にはポップなラブコメ。
    ゆりの巻き起こす事件(?)のせいかドタバタでハチャメチャだけど、結局はラブラブ。
    (“すあま”を育てる章はとくに可愛らしかった!)
    ゆりはわがままだけどいちいちキュートで魅力的。

    短編集のようなつくりで、さらっと読みやすい。
    でもその中には重苦しくない哲学がたっぷり詰まっていて…

    誰かを好きになると、相手のためを思って我慢したり、相手に合わせるために自制したり、嫌われたくないから良いところばかりを見せようとしたりする。
    でも本当はそうじゃなくて、お互いの違いを

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    2015年05月05日
  • 晩年の子供

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    高校の教科書に載っていた「ヒヨコの眼」が忘れられなくて購入。
    読書から離れてしまった学生時代、また始めようというきっかけになったとても大切な作品です。

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    2015年02月19日
  • ラビット病

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    人との接し方がわからずに天真爛漫で我がままなユリとそんなユリをとても愛しく思う黒人兵士のロバートの様子は、読んでいてとてもかわいらしくて胸キュンでした。人を大切に想うこと、家族となることに加えて、黒人差別問題も出てきて、いろいろと考えさせられる部分もありました。

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    2015年01月31日
  • 色彩の息子

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    山田詠美の小説にでてくる世界は今僕のいる空間とは別の世界である。
    その世界は、とても魅力的で官能的な世界、すぐそこにある。踏み出せば簡単に行けるんだと思う。

    行きたいけど行けない。
    それ以上の悦びがあることもわかっているのに…。
    そして又、心の内に棲んでいる何かを求めて彼女の本を読む。

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    2015年01月13日
  • ジェントルマン

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    ジェントルマンのタイトルと裏表紙の解説だけでは到底予想できない内容でした。
    ジェントルマンと言う響きをどこか胡散臭く、違和感を覚える主人公たち。ジェントルマンは紳士を示すが、ジェントルとは確か優しいという意味もあったと思う。
    そうちゃん、は表面上優しくて、誰にでも好かれる人気者だが、裏の顔はとても醜い。。。表で振る舞う善人の反動か、ユメの前では本来の悪の顔を見せる。
    主人公とその周りには同性愛や恋する者もいて切なさもあるが不快感や違和感もある。
    ラストはとても悲しい。。。人間性。モラル。愛の形。色々と読みごたえのある作品でした。

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    2014年10月21日
  • ジェントルマン

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    漱太郎の数々の卑劣な行為は女として到底受け入れがたく、嫌悪感だけが残った。彼を愛する男、夢生も翻弄され終には破綻してしまう。そして彼らに深くかかわる二人の女は一見脇役であるように思えたが、終盤クライマックスでその存在の凄みを知ることになる。哀しくて残酷で、滑稽で、まぎれもない悪夢なのだけど、沈美的で永遠の夢のようでもあって。。どちらかというと嫌な読後感の類。ただ、ここまで登場人物たちに感情移入できたのは、やはり作者の持つ魅力なんだと思う。例えば「人の行動に伏線なんかない。衝動しかないんだ。あと、運命しか…」こんな風にさらっと主人公に言わせる詠美節。相変わらず、洗練された文体は読み手の心と脳を大

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    2014年10月20日
  • ジェントルマン

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    完璧な漱太郎の本性を唯一知るユメ。そしてユメの漱太郎への究極愛。同性愛、レイプとハードな中に純愛がしっかり全編に感じられる。
    シゲの恋に落ちた感情や、ユメの漱太郎への「自分だけに優しい人がいい」「そして、自分だけに冷たい人がいい」思い。
    ラストの圭子の大事にしてきた思いも…。
    誰にも言えない想い。切ない。

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    2014年10月12日
  • マグネット

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    1番刺さったのはあとがき。
    「人との関係を作って行く時、必ず、後悔という事態に遭遇する。」

    泣いたのは、最後の資料。
    憧れたのはマグネットの由美子。
    好きなのはYO-YOの門田くん。

    しかし、性格的に近いのはアイロンの私かしら。
    (電車で何かが起きたことは無いけれど)

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    2014年09月02日
  • ジェントルマン

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    ネタバレ

    再読。この小説を表すのにどの言葉を選ぶかによって、印象がガラリと変わるなあとみんなのレビューを読みながら考えた。裏扉の「切なくも残酷なピカレスク恋愛小説」がピッタリでしょう。BLとかヤオイとかヤンデレとかサイコパスとか、そういうことじゃないから。山田詠美さんの描く恋愛の苦しさを長年愛でてきたが、またひとつ違う世界に足を踏み入れた気がする。表現も、以前の粘性の高い皮膚感覚的なものから、原色あふれる視覚的な要素が増えたと思う。まだまだ恋愛モノを書き続けてほしいです。

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    2014年08月28日
  • 姫君

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    変温動物であること。熱がさめ気付く。
    情熱の最中の意見の一致、ベッドにもぐり込む前の前戯に過ぎない。
    倦怠が忍び込む。
    この繰返し。あーあ、つまんない。

    検温が良かったかな。

    姫君も、良かった。そういう愛の形として。
    でも、卓袱台ひっくり返されるか読んでてヒヤヒヤでした。

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    2014年08月24日
  • 姫君

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    【本の内容】
    たとえ、自分が生と死の境に立っていようとも、人は恋をする。
    なぜなら…。
    傷を傷というふうにも表せない男女が魅かれあう姿を通して、人が人を求める気持ち、言葉にできない寂しさを描いた五篇を収録。
    人を愛することで初めて生ずる恐怖、“聖なる残酷”に彩られた、最高に贅沢な愛と死のシミュレーション。

    [ 目次 ]


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    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
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    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかか

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    2014年08月24日
  • 熱帯安楽椅子

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    半年ほど前に、バリ島に旅行が決まりバリ島が舞台の小説とあって手に取りました。
    今回、再び手にとったのは、巻末に収録された綿矢りささんと村田沙耶香さんの対談が読みたかったのと、バリ島から帰ってきてあのなんとも言えない気怠い熱さの国を山田詠美の手に寄ってどのようにエロティックに描かれてたのか、再び読みたくなったから。
    あの島を知らないで読むのと、知って読むのとではだいぶ違う。知ってるとより近づける。詠美さんのあの世界に。時代は違うにしろ、かなり鮮烈。
    始まりは肉体である。そしてなりゆきは心である。簡単に要約すれば失恋したビッチの南国での傷心物語でしかないのかもしれないけれど、とにかく丁寧で繊細。美

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    2014年07月29日
  • 姫君

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    ネタバレ

    姫君、の摩周と姫子の二人がかわいかった。特に石投げ云々と「ばかもの。」可愛いなーかわいいなーと思いながら読んだ。個人的にはあのまま戻って欲しかった、と思う。

    『そうか。不幸とは、他の人が決めることなのか。それじゃあ、幸福とは、まるで別物だ。それは、いつだって、自分の言葉でしか姿を現さない。』
    『ただのノイズのご馳走だ。』
    「この人のために、強烈に何かしてあげたいって思うのって、恥しいじゃない?身の程を知れとか、自分に突っ込んだりしなきゃやってらんない。」

    『情熱が死んだことが、つくづく嬉しかった。』
    「私は、死を隠し持ってますの」

    『あのさあ、信じて何年になる?その間じゅう、私は、あの男

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    2014年07月03日
  • 晩年の子供

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    そういえば私も子供の頃は、私はどうして今ここにいて、ここにいる私を私と自覚して生きているんだろう?なんて、当時はそんな言葉では考えなかったけど、そのように言葉になかなかできない疑問を抱きつつ生きてきたなぁ、ということを思い出した。山田詠美さんのこの少女達を主人公にした短編集は、少女が抱く生と死に対する疑問とか恐れ、愛や性についての戸惑いなど、繊細に豊かに書き出していて共感と好感を抱くことができた。少女時代というのはすぐに過ぎ去ってしまうものだけれど、少女のような感性は一生なくしたくない、と思えた。

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    2014年06月15日
  • ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨

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    場面転換にぎこちなさを感じるものの、
    力の漲った張りのある文章。

    "スプーンは私をかわいがるのがとてもうまい。
    ただし、それは私の体を、であって、心では決して、ない。"

    スプーンとは、なんてことない黒人のニックネームなのですがこのインパクト。
    確固たる才能。

    下品な言葉が続くものの、その奥にあるのは根源的な切なさだった。

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    2014年03月12日
  • 姫君

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    内田春菊先生の解説で山田詠美さんを発見して、春菊さんが尊敬してるって言ってたので気になってました。
    初 山田詠美先生です。
    文章の書き方がかなり壷ったので、他の作品も読み漁りたいと思います。
    短編なんですが、(MENU)(姫君)が良かったぁ~~(姫君)は最初読んでて・・うーん微妙~と思ったんだけどラストは切なくてよかった、短編で語り手が2人って新鮮だし。
    基本的に主人公に美人臭や特別臭が感じる類いの話があんまり好きじゃないんだけど、まったくうぜぇと感じさせないのがよいわ~~。
    危うげで繊細でセツナイ。まったりお酒飲みながら読むと自分に酔えると思います。

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    2014年03月01日
  • マグネット

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    10年前の作品と思えないぐらい、今の時代の若者にマッチしてると思う。
    罪を犯さない人っていうのは、現実問題いないような気がする。
    日常生活の中で、罪は日常と非日常の間にあるような気がして、私も日常を生きるのに疲れたとき、日常を憎んでしまったとき、罪にぶつかってしまうんではないかっていうのはある。
    罪についての短編集と最後のお話は義理の弟さんが病で死んでしまったことで描かれた短編集です。
    あとがきもハッとさせられました。
    大満足です。

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    2014年03月01日
  • ファッション ファッショ

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    山田詠美さんとピーコさんの対談
    二人のファッション談義ときっつい批判もいいんだけど、個人的には詠美さんを甘やかすピーコさんの構図が好きです笑

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    2014年02月12日
  • ファッション ファッショ マインド編

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    大好きな作家の山田詠美さんとテレビでよく見るけどイマイチ実態が謎だったピーコさんの対談
    内容は様々だけど、テーマはやっぱり美しさ
    ダサいマダムにならない、醜い若者にならないために必要なことが詰まってます
    応用の効く本で、私はバイトや対人関係に悩んだ時に読んでます
    これを読んでピーコさんが好きになりました
    過激な意見が多いから反発する人も居るでしょうが、それはそれで得るものがあるかと思います

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    2014年02月12日
  • 晩年の子供

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    ネタバレ

    一人称だからか、主人公の思考の海を共に渡って往く感覚が心地よい。特に「晩年の子供」は思考回路にシンクロしすぎて、主人公が悟った時は、神の啓示にも思えた。
    また「蝉」が印象的で、子供のときにしか味わえない罪の意識や、まったくの被保護者であったときのあの幸福感が甦って切なくなった。

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    2013年12月28日