山田詠美のレビュー一覧
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お金持ちで天涯孤独のわがまま娘・ゆりと、米軍基地に勤める大らかな黒人男性・ロバちゃんの恋物語。
雰囲気的にはポップなラブコメ。
ゆりの巻き起こす事件(?)のせいかドタバタでハチャメチャだけど、結局はラブラブ。
(“すあま”を育てる章はとくに可愛らしかった!)
ゆりはわがままだけどいちいちキュートで魅力的。
短編集のようなつくりで、さらっと読みやすい。
でもその中には重苦しくない哲学がたっぷり詰まっていて…
誰かを好きになると、相手のためを思って我慢したり、相手に合わせるために自制したり、嫌われたくないから良いところばかりを見せようとしたりする。
でも本当はそうじゃなくて、お互いの違いを -
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漱太郎の数々の卑劣な行為は女として到底受け入れがたく、嫌悪感だけが残った。彼を愛する男、夢生も翻弄され終には破綻してしまう。そして彼らに深くかかわる二人の女は一見脇役であるように思えたが、終盤クライマックスでその存在の凄みを知ることになる。哀しくて残酷で、滑稽で、まぎれもない悪夢なのだけど、沈美的で永遠の夢のようでもあって。。どちらかというと嫌な読後感の類。ただ、ここまで登場人物たちに感情移入できたのは、やはり作者の持つ魅力なんだと思う。例えば「人の行動に伏線なんかない。衝動しかないんだ。あと、運命しか…」こんな風にさらっと主人公に言わせる詠美節。相変わらず、洗練された文体は読み手の心と脳を大
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Posted by ブクログ
【本の内容】
たとえ、自分が生と死の境に立っていようとも、人は恋をする。
なぜなら…。
傷を傷というふうにも表せない男女が魅かれあう姿を通して、人が人を求める気持ち、言葉にできない寂しさを描いた五篇を収録。
人を愛することで初めて生ずる恐怖、“聖なる残酷”に彩られた、最高に贅沢な愛と死のシミュレーション。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかか -
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半年ほど前に、バリ島に旅行が決まりバリ島が舞台の小説とあって手に取りました。
今回、再び手にとったのは、巻末に収録された綿矢りささんと村田沙耶香さんの対談が読みたかったのと、バリ島から帰ってきてあのなんとも言えない気怠い熱さの国を山田詠美の手に寄ってどのようにエロティックに描かれてたのか、再び読みたくなったから。
あの島を知らないで読むのと、知って読むのとではだいぶ違う。知ってるとより近づける。詠美さんのあの世界に。時代は違うにしろ、かなり鮮烈。
始まりは肉体である。そしてなりゆきは心である。簡単に要約すれば失恋したビッチの南国での傷心物語でしかないのかもしれないけれど、とにかく丁寧で繊細。美 -
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ネタバレ姫君、の摩周と姫子の二人がかわいかった。特に石投げ云々と「ばかもの。」可愛いなーかわいいなーと思いながら読んだ。個人的にはあのまま戻って欲しかった、と思う。
『そうか。不幸とは、他の人が決めることなのか。それじゃあ、幸福とは、まるで別物だ。それは、いつだって、自分の言葉でしか姿を現さない。』
『ただのノイズのご馳走だ。』
「この人のために、強烈に何かしてあげたいって思うのって、恥しいじゃない?身の程を知れとか、自分に突っ込んだりしなきゃやってらんない。」
『情熱が死んだことが、つくづく嬉しかった。』
「私は、死を隠し持ってますの」
『あのさあ、信じて何年になる?その間じゅう、私は、あの男 -
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内田春菊先生の解説で山田詠美さんを発見して、春菊さんが尊敬してるって言ってたので気になってました。
初 山田詠美先生です。
文章の書き方がかなり壷ったので、他の作品も読み漁りたいと思います。
短編なんですが、(MENU)(姫君)が良かったぁ~~(姫君)は最初読んでて・・うーん微妙~と思ったんだけどラストは切なくてよかった、短編で語り手が2人って新鮮だし。
基本的に主人公に美人臭や特別臭が感じる類いの話があんまり好きじゃないんだけど、まったくうぜぇと感じさせないのがよいわ~~。
危うげで繊細でセツナイ。まったりお酒飲みながら読むと自分に酔えると思います。