山田詠美のレビュー一覧

  • 賢者の愛
    父と諒一という2人の愛する男たちを百合に奪われた真由子は、百合の息子の直巳を自分好みの男に調教して復讐しようとします。
    山田詠美さんの作品も大好きでたくさん読んでいますが、
    山田さんの作品は官能的でセンセーショナルな魅力も持ちつつ、それだけにとどまらない、物語の巧妙さとか、人生哲学も持ち合わせている...続きを読む
  • ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨
    著者の初期の短編3作を収録しています。

    「ベッドタイムアイズ」は、黒人の脱走兵であるスプーンと、クラブの歌手である日本人女性キムの性愛をつづった作品です。二人が、引き離されることになるまでの時間を、身体を通じて溶けあっていく経過がえがかれています。

    「指の戯れ」は、ルイ子のもとに、かつて気まぐれ...続きを読む
  • 明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち
    大事な人の突然の死を受け止められるか、突然じゃなければ準備をできるの。失くして受け止められないくらい繋がりを育み大事な人となれるか。重いテーマだけど色々考えたい。
  • ぼくは勉強ができない
     8編+番外編の連作小説集。とにかく登場人物のキャラクターが濃い。主人公の時田秀美君然り、そのお母さん然り、担任兼サッカー部顧問の桜井先生然り、とにかく会話の端々に面白さがついてくる。ぱっと見は面白いだけの小説なのかなと思っていたが、これがなんとも奥深い。思わず「うーん、なるほど」と思ってしまうこと...続きを読む
  • タイニーストーリーズ
    裏表紙あらすじの「宝石箱のような」という表現がぴったりな一冊!まさに!ドキドキする言葉選びばかり。どれも違う輝きで、この話が好きと選べない。
    おもしろい長編を読み終えたときのおもしろかったー!という充足感とはまた違う満足感と、もう一度読みたいと思えるお話ばかりで、手元に置いておいて読み返したいなと思...続きを読む
  • 風味絶佳
    全部ちょっと後味が悪くてふわっとした終わり方をしていてて、最初のページに戻って「こういうことだったのかな」ともう一回考えて、料理して何かを作っているときに味を試してる作業に似ている気がした
  • 風味絶佳
    本棚にあったからなんとなく読んでみた。

    6つの短編小説にそれぞれ登場する男たちは順番に、鳶職、ゴミ収集車の作業員、ガソスタのバイト、引越し作業員、汚染水清掃員、火葬場の職員、とどれもビジネスっぽい頭脳系というよりは肉体労働を強いられるものでそういう職業には無頓着だったから新鮮だった。どの短編も個性...続きを読む
  • 風味絶佳
    表題作を含めた甘かったり切なかったりな6作品の恋愛小説短編集。2005年の谷崎潤一郎賞受賞作。
    収録されている作品は恋愛小説ではあるが、主人公もしくは相手の男性の職業が、鳶職、清掃作業員、ガソリンスタンド店員、汚水槽洗浄員、引越し作業員、火葬場勤務と、作業服の似合うワークマン系。そして作品には必ず食...続きを読む
  • 晩年の子供
    昔「ひよこの眼」を読んで、胸が苦しくなるこの本を散々迷って買った。どの話も凄く考えさせられ、時に死について考えてしまう本だった。
  • ぼくは勉強ができない
    普段全く読書をしない、してこなかった私だけど
    あるとても魅力的なポッドキャスターがこの本について話していたのをきっかけに読書を始めた。

    「あなたの高尚な悩み」の植草くんのお話は笑えたし
    「番外編・眠れる分度器」の三角定規の話はとても良い言葉だった。

    これから色々な本を読んで、またもう一度読み直し...続きを読む
  • 愛してるよ、愛してるぜ
    読者の悩み相談に山田詠美と安部譲二が答えるという風を装った対談集。(悩みにはほぼ答えてない)お二人の一風変わった結婚生活がのぞき見える。お二人の仲の良さと自由奔放さにうらやましくなる。安部さんの逝去と詠美さんの喪失感に悲しくなる。解説の宇垣美里さんが山田詠美さんの小説で形作られていると知って、よく知...続きを読む
  • ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨
    言葉や世間体では表せない愛の物語もあるんだなだと思った。山田詠美さんのデビュー作ってこんなんなったんだ!驚いたー。
  • 賢者の愛
     一章ごとに読み進めていったが、直巳と真由子の関係、真由子と百合の関係がどうなって行くのかが気になり、物語に入り込めた。
     父とSEXをし自殺に追いやり、大好きな人を奪った百合に対する憎しみは相当なものだと思うが、そんなことがあっても真由子が育てた直巳はある意味ではいびつに、ある意味では純粋に育った...続きを読む
  • 風味絶佳
    2012年に読んだものを再読。

    こんなに味わいのある話だったなんて…。
    あの頃は映画のイメージに引っ張られてしまって、
    本当の意味が見えていなかったんだな…。

    やはり山田詠美先生の小説は素敵です。
  • 風味絶佳
    何回読んでもまた読みたくなる。
    簡単に感想なんて書けないから、
    いつもそのままにしてる。
    表紙を見るたびに甘い香りが漂っている気がしてしまいます。
  • 風味絶佳
    映画は柳楽優弥と沢尻エリカの共演。君の心がわかるよなんていう男についていく女を、黙って見守って、俺が幸せにしてやろうとか考えてることは、錯覚か、酔ってるしかない。恋なんて、上書き保存。次から次へと移り変わっていくのが人生だ。沢尻エリカは、松田翔太や高城剛、そのほかにもデザイナーなど、いくつもの恋を重...続きを読む
  • 明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち
    夫との離婚、妻との死別、それぞれの事情を抱えた二組の親子が家族となるべく東京郊外のアンティークな一軒家に移り住む。澄生と真澄の兄妹に創太が弟として加わり、その後千絵が生まれる。誰もがうらやむ素敵な家、凡庸で平和でそれ故にかけがえのない家族6人の幸せは、澄生が落雷に遭い亡くなった時に終わりを告げる。澄...続きを読む
  • 24・7(トウェンティフォー・セブン)
    山田詠美さんの著者曰く大人の男と女の不慮の事故を描いた恋愛短編集ですね。本書に描かれる男女の愛は自由恋愛という感じでオンリーユーではなく不貞行為も含んでいますが、でもそれ程に自堕落ではなく筋は通っていてエロティックでもイヤらしくもなく心理描写が中心ですので艶っぽい性愛描写を期待された方にはやや物足り...続きを読む
  • 賢者の愛
    愛や幸せは与えられるもの?
    奪うもの?作り上げるもの?
    .
    生まれた時から
    その人の本質というものは
    基本的に変わらない。
    きっとそう。
    育ちや環境や人間関係など
    いろんな事がその人生に影響を与えたとしても。
    .
    「ちょうだいお化け」いるよね。
    あと「マネっこお化け」も。
    こーゆーのって
    女の子特有...続きを読む
  • 風味絶佳
     「4U」に比べて、暗いアンハッピーエンドな小説が多いようだ。
     「アトリエ」では、ゆんちゃん(裕二)あーちゃん(麻子)と睦み合う夫婦が、妊娠と共に妻の神経症に夫も巻き込まれてゆく。
     「風味絶佳」では、アメリカかぶれの祖母に見守られながら、青年が見事に恋人に振られる。
     「間食」では、年上の加代に...続きを読む