山田詠美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
アマプラでドラマ化する+山田詠美さんに少し関心があったということもあり、本作を手に取りました。大人の恋をテーマにした本作ではありましたが、やってることの割にはスッキリしてる印象を受けました。しかしあくまで、不倫小説なので、人には勧めにくいといった点で少し評価が低くなったかなと。
本作の1番の魅力は、本作の随所に胸にグサっとくるようなフレーズが散りばめられていることのように感じました。なんというか、共感できることもあるし、胸の中に刺さってたトゲが取れるような感覚もあるみたいな感じですかね。
特に本作で太字で表されてる26種類の英単語はなかなかおしゃれなセレクトで個人的にオススメなポイントです -
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Posted by ブクログ
大人だけに許される不慮の事故というなの恋を描いた短編集。
山田詠美氏の文章の美しさ、妖艶さ、純粋さによって登場人物達の生き様は眩しく目に映る。男達を虜にできる自陣に漲っているようで底知れぬ欲望と純粋な心を感じられる表現と物語にいつも心が動かされる。
恋の一場面、一つの事象を表す言葉がとても好きだ。誰も寄せ付けないような、でもとても魅せられる言葉にしばしばノックアウトしてしまう。
ただ官能的なだけではなく、高貴なような、粗野なような、そんなところへと連れていってくれる作品だ。
「彼との囁き合いで空気を揺らす、私は、タヒチのこの島に来て以来、そんなことだけで毎日を過ごしている。(甘い砂。) -
Posted by ブクログ
再読。ハードカバーの時、一回読んでた。
何度読んでも、父親の愛人の子として高見沢家に引き取られ、みなしごとして憐れみをかけられながら、成長するリキの魅力的なことといったら、そりゃあ家中の女性たち、母、長女の麗子、次女の咲也、三女の薫子、お手伝いのタカさんまでも、それぞれのアプローチの仕方で近づき、振り回されていく。
リキは憐れみよりも憎しみ罵倒されたほうがまだ良かったんだね。
それが高見沢家では唯一、母のだったんね。
ラストは犬同士の薫子との結ばれる感じで終わる。
中年に近い歳になってるふたりだけど、それだけに年月が必要だったんだね。
ファースト・クラッシュは初恋の意。
初恋は砕けるものだから -
Posted by ブクログ
職場への電車通勤中に気軽に読める本が欲しくて買ったんだけど、これが大当たり。
詠美さんの小説はたぶん数冊しか読んでないんだけど、周りに囚われず自由に生きていくことを作品の中でとても意識的に表現されている方だと認識している。
このエッセイ集でも、食べ物や料理の話を中心に、まるで自由気ままな彼女が本の中なら飛び出してきそうな小気味よい日常風景、世間を騒がせた出来事に対する切れ味鋭い意見表明など、厳選された100篇が収録されている。
一篇一篇は短いんだけど、時折はっとさせられる一文もあって、それがまた印象に残るんだよな。例えば冷凍食品より手作りのお弁当でしょ、みたいな世間の風潮に対しては、
「手をか -
Posted by ブクログ
すっきりと完結、読後感がいい。
その立場にならないと分からない心理描写なんだろうなと思う。
以下、気に入ったフレーズ。
•大人の女なんかじゃない。一浩が大人の男じゃないように。演技する必要のない密室の中で、大人たちは、いつだって子供に戻る。問題は、その密室を用意してくれる人間が側にいてくれるかどうかだ。一浩は、もう私にそれを与えてくれない。そして、私も彼に与えてあげることが出来ない。その方法が解らない。何故なら、お互いのみっともなさを、私たちは、もう、いとおしがれないからだ。その姿に出会うのが、特別の機会ではなくなった時、私たちは、共有していた密室を失ったのだ。
•会いたい優先順位は彼女