山田詠美のレビュー一覧
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久しぶりの著者のエッセイ。
コロナ禍下(正しくはね)旦那さんと吉祥寺界隈を仲良く散歩したり、ランチしてるそーな。
でも、相変わらず間違った言葉使いにはひと言物申す姿勢は作家故かいや、著者の美意識の高さ故だろう。
いい年した大人が”お父さん””お母さん”、自分の仕事をお仕事、おうち、お魚、”させて頂く”の違和感。まさに我が意を得たり。
それにしても、著者も還暦を過ぎたとは…。
でもかっこよさは健在。
超似てると本人も書いてた”浅川マキ”ググってみたらそくっりで笑った。
どんな辛い状況下でも、やはり人間は”言葉”に救われるのね。(自筆の可愛い字!のあとがきを読んでしみじみ思ったよ) -
Posted by ブクログ
「吉祥寺デイズ」に続いて、週刊誌に連載した身辺雑記をまとめたもの。パートナーの「ヒロちゃん」(以前読んだ本でこう呼んでた。いろいろ衝撃的だったから覚えてるのだ)とは変わらず仲睦まじく、ほのぼのとした生活の様子が伝わってくる。うーん、「ほのぼの」…エイミーにこんな形容をする日が来るとは!「ベッドタイムアイズ」は遠くなりにけり。
とは言え、エイミーの姐御ぶりは健在で、納得いかないことにむける舌鋒は鋭い。政治や世の中のあり方について、自分が経験したり目にしたりした具体的なことを取り上げて怒っている。繰り返し使われるのが「想像力がない」という言葉。自分とは違う境遇にいる人がどう感じるか、考えようとも -
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Posted by ブクログ
夫に捨てられた妻(ママ)と、その息子、娘。
妻を病気で失った夫(マコパパ)と、幼い息子。
ママとマコパパが結婚し、五人の新たな家族を作る。
その時、四歳だった弟創太でさえ、家族を演じなくてはいけないことをわかっている。
アメリカン・アンティークで飾られた大きな家。
家の中を磨き、飾り、子どもたちには手作りの料理、おやつを食べさせる母親。
やがて、両親のもとに新しい子ども、千絵が生まれる。
子どもたちの必死な努力により、澄川家は美しい、完璧な家族に仕上がりつつあった。
ママの「特別な存在」であった長男澄生の死と、父の事業の不調で、一家は暗転する。
この小説は、構造的な面白さがある。
私が -
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久しぶりのエイミー。谷崎潤一郎「痴人の愛」へのオマージュ作品ということで、主人公である真由子が直巳を自分好みの男に育てていく話だと思って読み始めましたが、ちょっと想像とは違ってました。タイトルからして痴人の愛と対比してつけられているのでしょうが、じゃあ登場人物たちは一体誰が“ナオミ”で、誰が“ジョージ”だったのでしょうか。
当初はジョージ→真由子、ナオミ→直巳で読んでました。でもジョージとナオミの関係はこの二人にだけ当てはまるものではない。リョウ兄さまと百合、真由子父と百合、リョウ兄さまと真由子。そして最後まで読んで、真由子と百合もまたジョージとナオミだったのではないかと思いました。恐らく真由 -
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父と諒一という2人の愛する男たちを百合に奪われた真由子は、百合の息子の直巳を自分好みの男に調教して復讐しようとします。
山田詠美さんの作品も大好きでたくさん読んでいますが、
山田さんの作品は官能的でセンセーショナルな魅力も持ちつつ、それだけにとどまらない、物語の巧妙さとか、人生哲学も持ち合わせているから面白くて大好きです。
わたしが真由子だったらやっぱり百合に対して憎悪を持つと思う。
谷崎潤一郎の「痴人の愛」をなぞって、「ナオミ」と名付けられた百合の息子を使い、復讐しようとする気持ちもよく理解できる。
真由子は父と諒一と共にいた過去の自分はこの上なく幸せであったというけれど、
その時はきっ -
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著者の初期の短編3作を収録しています。
「ベッドタイムアイズ」は、黒人の脱走兵であるスプーンと、クラブの歌手である日本人女性キムの性愛をつづった作品です。二人が、引き離されることになるまでの時間を、身体を通じて溶けあっていく経過がえがかれています。
「指の戯れ」は、ルイ子のもとに、かつて気まぐれで交際したリロイ・ジョーンズが、有名ジャズ・ピアニストとして帰ってくる話。二人の関係は以前とはまったく異なっていながらも、過去のつながりを二人が以前とはべつのしかたでたどって結びついていく過程がえがかれます。
「ジェシーの背骨」は、リックを愛するココが、彼の一人息子であるジェシーの世話に振りまわさ -
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8編+番外編の連作小説集。とにかく登場人物のキャラクターが濃い。主人公の時田秀美君然り、そのお母さん然り、担任兼サッカー部顧問の桜井先生然り、とにかく会話の端々に面白さがついてくる。ぱっと見は面白いだけの小説なのかなと思っていたが、これがなんとも奥深い。思わず「うーん、なるほど」と思ってしまうことも多く、ある意味勉強になる。それぞれの短編がそれぞれの問題を投げかけてくるように思えるので、どの問題を自分なら一番真剣に考えるかというテーマで読み進めるのも面白いかもしれない。個人的には「雑音の順位」が印象に残っている。
この小説の発表が1991年だから、今から約30年前になるが、内容は全く色褪せ