山田詠美のレビュー一覧
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恋人と同棲しながら、二人の冷え切った愛を見つめ直す日本人女性のココ。ただ見つめ合い、同じベッドで寝るだけでいいのに、決してココが望む愛を与えてくれない黒人男性である同棲相手のリックは、ココが与える愛を純粋に受け止められずに酒に逃げる毎日を送っていた。
恋人同士の愛、同性愛、家族愛等の多様な恋愛観を、主人公1人の目線からだけでなく、ココを取り巻く様々な人々を交えて語られている。私は愛情を求めるココの気持ちがよく分かったが、それを拒むリックの心情がよく分からなかった。そのリックからの目線でもココに対する愛が語られており、その気持ちは、ただ愛を与える事を求められ疎ましいという気持ちだけでない、歪 -
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新潮文庫から出ているこの本がずっと気になっていた。
2年くらい前かな?私の一行フェアで、多部ちゃんがこの小説の「いやになるほどの自分があるの?」という一行を挙げていたんだよね。そのとき私は本屋でバイトしていて、毎日のようにその帯を見ながら「買おうかな~どうしようかな~」と悩んでいて、結局買わないままこれだけの月日が経ってしまった。
しかし!
この間本屋で、文春文庫から出ているこの小説を発見。しかも解説を大好きな綿矢りさが書いているじゃありませんか!そして即買い。
時田秀美という男子高校生は達観しているというか俯瞰しているというか、なんとも言えない色気をもった不思議な青年(少年…ではない、よね -
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お金持ちで天涯孤独のわがまま娘・ゆりと、米軍基地に勤める大らかな黒人男性・ロバちゃんの恋物語。
雰囲気的にはポップなラブコメ。
ゆりの巻き起こす事件(?)のせいかドタバタでハチャメチャだけど、結局はラブラブ。
(“すあま”を育てる章はとくに可愛らしかった!)
ゆりはわがままだけどいちいちキュートで魅力的。
短編集のようなつくりで、さらっと読みやすい。
でもその中には重苦しくない哲学がたっぷり詰まっていて…
誰かを好きになると、相手のためを思って我慢したり、相手に合わせるために自制したり、嫌われたくないから良いところばかりを見せようとしたりする。
でも本当はそうじゃなくて、お互いの違いを -
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漱太郎の数々の卑劣な行為は女として到底受け入れがたく、嫌悪感だけが残った。彼を愛する男、夢生も翻弄され終には破綻してしまう。そして彼らに深くかかわる二人の女は一見脇役であるように思えたが、終盤クライマックスでその存在の凄みを知ることになる。哀しくて残酷で、滑稽で、まぎれもない悪夢なのだけど、沈美的で永遠の夢のようでもあって。。どちらかというと嫌な読後感の類。ただ、ここまで登場人物たちに感情移入できたのは、やはり作者の持つ魅力なんだと思う。例えば「人の行動に伏線なんかない。衝動しかないんだ。あと、運命しか…」こんな風にさらっと主人公に言わせる詠美節。相変わらず、洗練された文体は読み手の心と脳を大
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【本の内容】
たとえ、自分が生と死の境に立っていようとも、人は恋をする。
なぜなら…。
傷を傷というふうにも表せない男女が魅かれあう姿を通して、人が人を求める気持ち、言葉にできない寂しさを描いた五篇を収録。
人を愛することで初めて生ずる恐怖、“聖なる残酷”に彩られた、最高に贅沢な愛と死のシミュレーション。
[ 目次 ]
[ POP ]
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☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかか