山田詠美のレビュー一覧
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夫に捨てられた妻(ママ)と、その息子、娘。
妻を病気で失った夫(マコパパ)と、幼い息子。
ママとマコパパが結婚し、五人の新たな家族を作る。
その時、四歳だった弟創太でさえ、家族を演じなくてはいけないことをわかっている。
アメリカン・アンティークで飾られた大きな家。
家の中を磨き、飾り、子どもたちには手作りの料理、おやつを食べさせる母親。
やがて、両親のもとに新しい子ども、千絵が生まれる。
子どもたちの必死な努力により、澄川家は美しい、完璧な家族に仕上がりつつあった。
ママの「特別な存在」であった長男澄生の死と、父の事業の不調で、一家は暗転する。
この小説は、構造的な面白さがある。
私が -
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久しぶりのエイミー。谷崎潤一郎「痴人の愛」へのオマージュ作品ということで、主人公である真由子が直巳を自分好みの男に育てていく話だと思って読み始めましたが、ちょっと想像とは違ってました。タイトルからして痴人の愛と対比してつけられているのでしょうが、じゃあ登場人物たちは一体誰が“ナオミ”で、誰が“ジョージ”だったのでしょうか。
当初はジョージ→真由子、ナオミ→直巳で読んでました。でもジョージとナオミの関係はこの二人にだけ当てはまるものではない。リョウ兄さまと百合、真由子父と百合、リョウ兄さまと真由子。そして最後まで読んで、真由子と百合もまたジョージとナオミだったのではないかと思いました。恐らく真由 -
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父と諒一という2人の愛する男たちを百合に奪われた真由子は、百合の息子の直巳を自分好みの男に調教して復讐しようとします。
山田詠美さんの作品も大好きでたくさん読んでいますが、
山田さんの作品は官能的でセンセーショナルな魅力も持ちつつ、それだけにとどまらない、物語の巧妙さとか、人生哲学も持ち合わせているから面白くて大好きです。
わたしが真由子だったらやっぱり百合に対して憎悪を持つと思う。
谷崎潤一郎の「痴人の愛」をなぞって、「ナオミ」と名付けられた百合の息子を使い、復讐しようとする気持ちもよく理解できる。
真由子は父と諒一と共にいた過去の自分はこの上なく幸せであったというけれど、
その時はきっ -
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著者の初期の短編3作を収録しています。
「ベッドタイムアイズ」は、黒人の脱走兵であるスプーンと、クラブの歌手である日本人女性キムの性愛をつづった作品です。二人が、引き離されることになるまでの時間を、身体を通じて溶けあっていく経過がえがかれています。
「指の戯れ」は、ルイ子のもとに、かつて気まぐれで交際したリロイ・ジョーンズが、有名ジャズ・ピアニストとして帰ってくる話。二人の関係は以前とはまったく異なっていながらも、過去のつながりを二人が以前とはべつのしかたでたどって結びついていく過程がえがかれます。
「ジェシーの背骨」は、リックを愛するココが、彼の一人息子であるジェシーの世話に振りまわさ -
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8編+番外編の連作小説集。とにかく登場人物のキャラクターが濃い。主人公の時田秀美君然り、そのお母さん然り、担任兼サッカー部顧問の桜井先生然り、とにかく会話の端々に面白さがついてくる。ぱっと見は面白いだけの小説なのかなと思っていたが、これがなんとも奥深い。思わず「うーん、なるほど」と思ってしまうことも多く、ある意味勉強になる。それぞれの短編がそれぞれの問題を投げかけてくるように思えるので、どの問題を自分なら一番真剣に考えるかというテーマで読み進めるのも面白いかもしれない。個人的には「雑音の順位」が印象に残っている。
この小説の発表が1991年だから、今から約30年前になるが、内容は全く色褪せ -
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本棚にあったからなんとなく読んでみた。
6つの短編小説にそれぞれ登場する男たちは順番に、鳶職、ゴミ収集車の作業員、ガソスタのバイト、引越し作業員、汚染水清掃員、火葬場の職員、とどれもビジネスっぽい頭脳系というよりは肉体労働を強いられるものでそういう職業には無頓着だったから新鮮だった。どの短編も個性があって読んでいて飽きない。
風味絶佳と春眠は特に印象的だった、いや海の庭もかも。どれもよかった。
今回この小説は旅先とかいろんな場所で読んでいたので、内容を思い出すと同時に読んでた周りの空気や景色も取り戻せるような気がしてなつき度が上がった。本はどこでも読めるから旅先で本を読むのは今まで少し抵抗 -
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表題作を含めた甘かったり切なかったりな6作品の恋愛小説短編集。2005年の谷崎潤一郎賞受賞作。
収録されている作品は恋愛小説ではあるが、主人公もしくは相手の男性の職業が、鳶職、清掃作業員、ガソリンスタンド店員、汚水槽洗浄員、引越し作業員、火葬場勤務と、作業服の似合うワークマン系。そして作品には必ず食べ物が絶妙に絡む。一筋縄ではいかないのが人生、特に恋愛は。
表題作は、70歳にして真っ赤なカマロに乗り孫には必ずグランマと呼ばせる祖母をもつ志郎。彼はガスステイション(ガソリンスタンド)で働き、職場には気になる同僚の女の子がいる。そんな恋愛にちょっと面倒なグランマがいい感じで絡んでくる。グランマの -
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一章ごとに読み進めていったが、直巳と真由子の関係、真由子と百合の関係がどうなって行くのかが気になり、物語に入り込めた。
父とSEXをし自殺に追いやり、大好きな人を奪った百合に対する憎しみは相当なものだと思うが、そんなことがあっても真由子が育てた直巳はある意味ではいびつに、ある意味では純粋に育ったように思う。最終的に百合の策略(百合は真由子の幸せのため直巳を差し出した場面は嫌な女というよりただただ可哀想な女性なんだと感じられた)により、真由子は身体が不自由になってしまい、ずっと直巳に介護されて過ごすのだろうが、真由子がどういう気持ちなのか、賢く尊い女性であるから、察するのが難しい。 -
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映画は柳楽優弥と沢尻エリカの共演。君の心がわかるよなんていう男についていく女を、黙って見守って、俺が幸せにしてやろうとか考えてることは、錯覚か、酔ってるしかない。恋なんて、上書き保存。次から次へと移り変わっていくのが人生だ。沢尻エリカは、松田翔太や高城剛、そのほかにもデザイナーなど、いくつもの恋を重ねてきた女性だから、風味絶佳に描かれる艶やかでキュートなイメージにぴったりなのだと思う。そういう恋ができる、もしくはそんな女と付き合うってことは、自由を失う覚悟がいるし、恋と愛の間を彷徨い続ける苦しみに耐えなければならない。幼さと大人、甘さと苦さ、いろんな想いを感じさせてくれる。
シュガー& -
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夫との離婚、妻との死別、それぞれの事情を抱えた二組の親子が家族となるべく東京郊外のアンティークな一軒家に移り住む。澄生と真澄の兄妹に創太が弟として加わり、その後千絵が生まれる。誰もがうらやむ素敵な家、凡庸で平和でそれ故にかけがえのない家族6人の幸せは、澄生が落雷に遭い亡くなった時に終わりを告げる。澄生を溺愛した母がアルコール依存症になり、家族の姿は一変した・・・
長女真澄、次男創太、次女千絵、それぞれの語りで描かれる家族の姿が辛く切ない。家族をまとめようと努力しいっぱいいっぱいの真澄、血がつながらないゆえに母の愛を痛いほど求める創太、唯一父母の血を引きながらどこか冷めた目で家族を見つめる千絵