山田詠美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1988年に『週刊現代』で連載されたエッセイをまとめた本です。
じつは長い間、著者の作品がちょっと苦手だったのですが、最近になって林真理子や田中康夫、森瑤子といった1980年代という時代を映した小説をまとめて読むことになり、著者が彼らと同じ時代に対してどのように切り結んでいたのかということがよく見えるようになったような気持ちになることができました。
確かに本書で語られているような著者の生き方には、「消費による革命」が実現した80年代という時代の感性と響き合うところがあったのも事実だろうと思います。しかし今から振り返ってみると、著者がそうした時代に適応するような生き方をしているのではなかった -
Posted by ブクログ
とあるコミュニティサイトの「小説に出てくる好きなカップル」というトピックで紹介されていた作品。
エキセントリックな女の子・ゆりと、彼女に振り回されるアメリカ軍人・ロバートが織り成す日々を綴った物語♪
とにかく行動が読めないゆりちゃんと、それに反応する純情なロバちゃん~という二人の掛け合いが面白かった!
正直ゆりちゃんの奇行は私の理解の範疇を越えることが多々あったけれども、それに付き合えるロバちゃんは度量が大きくて凄いなと思った。(゚∀゚;)ゞ
普段は我儘でタフなゆりちゃんだけど、実は天涯孤独な身の上ゆえに、どこか赤ちゃんみたいな無垢さもあって…自分の感情をうまく処理できなかったり、ロバちゃん -
Posted by ブクログ
「何だかよく分からないけれど哀しく、切なくなる」9つの短編集。
チャラ男との恋、SM女王様との恋、マンションの隣人との不倫…普通に見えない恋愛は、その実至るところに転がっている。特殊に見える立場の人間だって、普通に食事や排泄もすれば、普通に恋愛だってするのだということ。
そんな中、小さな頃事故で右手を失った渚子が姉の夫に恋をする「天国の右の手」と、性的に変わった抑圧を自分に課している友人の男がその抑圧によって失敗する様を見ている「高貴な腐食」がとくに好きだった。
人間はどうしようもない。表面を良く見せても根底にあるものが不意に表に出てしまうことがある。
そして似たような傷を感じで惹かれ合って -
Posted by ブクログ
恋人と同棲しながら、二人の冷え切った愛を見つめ直す日本人女性のココ。ただ見つめ合い、同じベッドで寝るだけでいいのに、決してココが望む愛を与えてくれない黒人男性である同棲相手のリックは、ココが与える愛を純粋に受け止められずに酒に逃げる毎日を送っていた。
恋人同士の愛、同性愛、家族愛等の多様な恋愛観を、主人公1人の目線からだけでなく、ココを取り巻く様々な人々を交えて語られている。私は愛情を求めるココの気持ちがよく分かったが、それを拒むリックの心情がよく分からなかった。そのリックからの目線でもココに対する愛が語られており、その気持ちは、ただ愛を与える事を求められ疎ましいという気持ちだけでない、歪