山田詠美のレビュー一覧
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佐野洋子さんの『100万回生きたねこ』。インパクトの強い緑色の瞳をしたオスのトラ猫が表紙の絵本です。おそらく子どもの頃にも読んだことがあったと思うんですが内容はほとんど記憶になく、大人になって改めて読んでグッときました。
1977年に発売されて以来、今なお多くの人に読まれ続けている大ロングセラーであるこの絵本への、13人の作家によるトリビュート短篇集です。
佐野洋子さんの息子さんで絵本作家の広瀬弦さんや元旦那さまの谷川俊太郎さんも執筆されています。結構著名な作家陣ばかりですが、私は読むのは初めましてな作家さんが多かったですね。
どういうこと?と理解が追いつかないお話もあれば、ちょっと不思 -
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『痴人の愛』のオマージュ。
素質のある異性を育て上げて自分の理想に仕立て上げる試みは、『源氏物語』から何ら変わっちゃいない人類の憧れなのかもしれん。
何やかんやで優位に立つ百合は圧倒的だ。後天的に人を翻弄するしぐさを身につけたという意味では主人公と一緒だが、子供ながらに身につけるのと、復讐を期に意識的に身につけようとし始めた付け焼き刃な所作とだと、どうしても主人公は育ちの良さが出てしまう。それでも、家庭に入った痴女とキャリアウーマンの遊び人とだと、前者の方が社会的には良しとされるんだよな。
この本を通して過去の自分の行動思考に納得を与えている。罪深い。 -
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2010年に大阪で起きたネグレクトによる二児餓死事件をもとにした小説。
母親、祖母、子供たちの視点から繰り返し語られるので、それぞれの事情やその時の気持ちがすれ違う様子がわかり、苦しく、読むのが辛かったです。
今もどこかで助けを求められない母親や虐待に苦しんでいても声をあげられない子供達がいるかと思うと本当に辛いです。
母親一人が処罰され責められるけれど、一人の問題ではないということを理解し、助けを求めたり助けやすい社会の仕組みがもっとできることを願うばかりです。
家庭のことだから介入が難しいことも想像できるので、そのためにはどうすればいいのだろう。
この事件から12年経つけれど、同様のネ -
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山田詠美さんの作品はたしかもう10年以上前に読んだことがあるような気がする。
内容もほとんど覚えていないけれどこの独特な文章はぼんやりと記憶にある。新しいのにちょっと古い小説を読んでいるようだった。
不倫関係の2人とそれを眺める妻、3者の視点からユーモアを交えつつも淡々と語られる。話は展開して行くが、よくあるストーリーならポイントとなる出来事も淡々と語られて、全体としてはずっと穏やかさを保ったままとくに盛り上がることもなく終わりを向かえる。
3人はそれぞれとても人間らしかった。
それぞれ自分の信念に基づいて生きていた。自分らしく生きていた。でも気づけばキャラクターを背負っていた。すべて含め -
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ネタバレ料理研究家の妻とイラストレーターの夫、夫の不倫相手は妻の有能な助手。設定だけ見るとドロドロの三角関係を想像してしまうが、1人の男を取り合う妻と愛人の話では決してない。
桃子は、不倫相手の妻である喜久江を敬愛してやまないし、喜久江も桃子の有能さを認めている。夫とのことを知って心は揺れるが信頼関係は揺るがない。桃子も罪悪感に苛まれる様子はない。
不倫ものでありながら終始軽妙洒脱だし、3人が交互に語る構成は、山田詠美が声色を変えながらしゃべってるように感じるくらい、作者が全面に出ていて、そこも楽しかった。
そして最終的には二人に去られた夫、沢口が実は自分は弱虫なんだと嘆く情けなさ。逆に喜久江に