山田詠美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ息つく暇もなく一気に読んでしまった。途中でやめることがなぜか出来なかった。
漱太郎は人の姿をした悪魔だ。究極のエゴイスト。無邪気に残酷なことをする。けれども普段は世間体を身につけて、眉目秀麗、文武両道、誰にでも優しく親切なのだ。
そんなある時、彼の悪事を目の当たりにしたゲイの夢生は恋に落ちる。彼に惹かれ共犯者となり、圧倒的な支配下に身を置くことになる。
何十年も恋心を残酷に扱われていた夢生も気の毒(でもそれは自らそうしているので)だけど、シゲのことがほんとうに可哀想でショックで。
今は、すごい小説読んでしまったと改めて思っている。 -
Posted by ブクログ
短編5編を収録しています。
冒頭の「MENU」は、5歳で両親を亡くし、矢野家に引き取られた20歳の時紀(ときのり)の物語です。友人の麻子が、彼の義兄である聖一と交際を開始し、すこしずつ時紀の知っていた彼女から変わっていくのを見ることになります。その一方で、「自分が一番好き」という彼の考えに共感する義妹の聖子と濃密な関係がえがかれています。
表題作の「姫君」は、山本摩周というアーティスト志望の青年のもとに身を寄せることになった、姫子という誇り高い女性の物語。コミカルなテイストではじまりますが、しだいに摩周がカッコよく感じるようになっていきます。
テイストの異なる作品がたのしめる短編集ですが -
Posted by ブクログ
谷崎潤一郎の『痴人の愛』を下敷きにした作品。真由子は元親友・百合の息子に直巳と名付け、自分の思い通りに育てることで自分から幸せを奪った百合へ復讐する—という話。
真由子が溜めた幸せを根こそぎ奪った百合から、今度は息子の直巳を奪うことで復讐するのだが、復讐が成功しているかというとそうでもないと思う。生粋のお金持ちで円満家庭で育った者特有の鈍感さを持った真由子に、機能不全の成金家庭で育った百合はこれでもかと男の浅はかさを突き付ける。真由子が奪った気満々でいる直巳も、その名付けを百合からお願いされたあの時点で百合に"奪わせられていた"のではないか。百合という女の底知れなさは -
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Posted by ブクログ
作者の文体が好きだったが、久しくその作品群が目に止まらす、久しぶりに読んだ。その表現力は風味がある。
ただ、今回の短編集はなにか物足りない、むしろその文体が鼻をつき退屈までする始末。この短編たちにはストーリーがないことに気がつく。今ある状況を舐め尽くすかのように描写され、前半はいいが後半は想像がつく分、雑な読み方になってしまう。風味絶佳なキャラメルというより噛みすぎて味がなくなったガムのような印象です。
比較的好きなのが冒頭の「間食」、逆に「春眠」はどうにも受け入れ難い。
色々な職業の深いディテールは、その当事者でなければ知り得ないところまで描ききっており興味深く読めた。 -
購入済み
山田詠美さんの小説は、描写が繊細で独特であるためイヤらしさを感じない。
世間で言うところの不貞行為も含まれるが、なぜか自然に受け入れられる。
中身はある意味濃密だが、短編なのでサラッと読めた。
しかし短編であるためか、引き込まれて夢中になるという感じはなかった。