山田詠美のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
なぜ今更山田詠美?と思ったけれど、好きな芸能人がお勧めしていたので読んでみました。
ダブル不倫のお話なのですが、夫婦が壊れていく様、ではなく、それによって夫婦の絆が浮かび上がってくるという・・・ある意味幸せな恋愛小説でした。
こんなに変わった価値観を共有できる彼らは特異かもしれないけれど、価値観が同じであれば究極にはここまでOKなのね、と面白く読みました。
ただ、30代女性の、「いい女っぷり」が押しつけがましくて、ちょっと辟易しました。
古い本を読んでいるので織り込み済みなのだけど、この時代ってこういう女性がトレンディドラマでも主人公だったな、と苦笑気味に読み終えました。。 -
Posted by ブクログ
まずタイトルに惹かれた。『血も涙もある』どういうことだろう?加えて意味深なカバー。よく見ると不気味なのだがそれよりもあらすじが気になり手に取った。そして、主人公が同世代の35歳の女性。これは読みたい!
山田詠美さんってどんな作風だっけ?というほど私にとってご無沙汰の作家さん。
登場人物は、料理研究家の沢口喜久江、夫の太郎、その不倫相手で沢口の助手を務める和泉桃子。章ごとに語り手が変わる。喜久江を尊敬し、太郎と不倫関係にあることとそれとは別次元の話であると考える桃子、夫の不倫を知りながら受け入れる喜久江、不倫をしながら妻を愛していると語る太郎。思考や言葉遣いが独特だが、ある種現代風で、読みやすい。誰かに共感できるわけではないが、こんな人もいるんだな、という、他人の心を覗きたくなるような心理に駆られてページをめくる手が止まらない。
平松洋子さんによる解説、「本作における料理」についての考察も秀逸なので最後まで読んでほしい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレいろいろなたとえでの恋愛感情の表現。
男女の考え方の差。無責任な言葉。
恋人、夫婦とは。
恋愛で悩んでいるときの友人のアドバイスと態度。
p16-16~p17-1
p20 役に立たない思いやり…
p82何でもない二人のルールはしっかり守られる。
チェスの駒は夏美は白とか、一浩が朝に食べるもの。
成生が思う夏美。
眼鏡。おれ専用。それかけないと見えない。
机を必要としない二人。
一浩と夏美。
夏美が帰ってきても仕事をする一浩、だが、眼鏡をかけない。一緒にこれまでのことをそばで語りたいと思う。恋の死について。
p88-5~8
p108-6~9
p123-9~12
p142-1~6
p147-9~14
p164知り尽くした先のはなし。
p172カジュアルよりも熱中する楽しみ。
p173「楽」という言葉
p174失うかもしれないという予感について
p180孤独について
p200-14~201良心と自分身勝手
p204喜べるのは何度まで?ピクニックだけでは、もういられない。
p214
p220主治医・私について一番詳しい人。それでも、彼は、私のすべてを知ることはできない。
p221置き忘れてきたものについて
p226
p234もう、お互いを無邪気におもしろがれない。そして、本来なら、そこから始めて行くべき関係を醸造するには、共有するものがなさすぎる、という二人の関係性。等々…。
20年以上前の小説。ドラマになったとか。
どんなふうになったかな?
ただ浮気してる、恋愛してる…自分勝手さだけが目につく、ギャーギャー騒いでるだけになってなければいいけどf(^_^; -
Posted by ブクログ
2000(平成12)年に単行本として刊行。
山田詠美さんがデビューした頃、高校生だった私は最近の日本文学事情を知ろうと雑誌なども読んでいて、確か山田さんが「文藝」の賞をとってデビューしたのだった。
当時批評家のあいだでは「流行歌のような気安い小説」といった批判があって、私も彼女の作を読んだときはあまり面白くなくも感じた。
今、本作を読んでみると、当時のバブル期のポストモダンが喧伝された時代状況を思い出すようだった。
子供の無い若い夫婦が、それぞれに更に若い相手と不倫するという話なのだが、文体が非常に軽やかで、繊細さも無くも無いけれども、あまり深みを感じさせられない。ここには「苦痛」がないのである。
バブリーなポストモダン期、確かに日本文化の言論界は苦痛に深入りすることなく、あくまでも軽やかさを売りにしようとしていた。山田詠美さんの文章に、そんな時代を感じた。
バブルがはじけ大量の失業者があふれ、貧苦にあえぐ民衆が大量に排出されて、あっけなくバブリーなポストモダンの「軽やかさ」は消えた。そんな苦痛の時代の到来は、たとえば桐野夏生さんの「苦痛の文学」にも顕れていると思う。
しかし今回本作を読んで、山田さんの「軽やかさ」を批判しようとは思わなかった。このような感性もまた、この世にあるべきであって、ラストの方で若い恋人と結局別れてしまうあたりは何となく切なく感じられ、良かった。深刻な苦痛とまではいかないような、皮膚のかすかな痛みのような感じだが、それもまた人生。このように軽やかに生きられたら、きっと人生は楽しいのかもしれない。
悪い作品ではなかった。