あらすじ
山田詠美がコロナ禍を綴る最新傑作エッセイ。
山田詠美さんは本書について「あとがきに代えて」でこう綴っています。
≪この本では、新型コロナの感染が拡大する中でのあれこれを綴りました。と、同時に、日々の取るに足りない、けれども、私にとっての大事なトピックスも取り上げています。そこから生まれる喜怒哀楽は、大きなものでも些細なものでも、確実に私の一部を形作っている。大切な大切な欠片たち。≫
「言葉の小姑」を自認する著者の「怒り」は、想像力の欠片もない、安易に使われる言葉に向かいます。コロナ禍において跋扈した「東京アラート」や「特別な夏」「おうち」、さらには「コロナ禍」も俎上に載せ、「その言い回し、許さん!」と筆を揮うエッセイには胸がすくこと請け合いです。
もちろん美味しい食べものやお酒、夫婦での散歩など、不要不急の愉しい日常についてもたっぷりと!
女性セブンの大人気連載「日々甘露苦露」から、傑作エッセイ100編を厳選。前作『吉祥寺デイズ うまうま食べもの・うしうしゴシップ』(小学館文庫)に続いて、「親愛なる読者の皆さんへ(あとがきに代えて)」は謹製原稿用紙に綴った直筆です。そちらもぜひお楽しみに!
(底本 2021年12月発行作品)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
そうだよねえ!と思うことたくさん。
しかし色々強いなぁ
コロナで緊急事態宣言のときの話は、、、私もニュースやワイドショーのギャーギャーや家族全員お籠りで参っていたので、、、リアルタイムで読みたかったな。余計滅入ったかな笑
Posted by ブクログ
熱血ポンちゃんのシリーズを含め、今までで一番政治に関する話題が多いエッセイの気がした。まぁ、今一番、日本語がめちゃめちゃな業界だからな。
あと、栃木の山田家の近況を知れてよかった。
Posted by ブクログ
いつも、本や映画、漫画をたくさん取り上げて下さるので、それを知りたくて読んでいる感じです。
今回も読みたくなるものが何冊もありました。
エッセイの中では、芥川賞を逃した古市さんへのメッセージ、児童相談所建設に反対する地域住民への意見、オシャレになりすぎてラベルが読みにくい年寄り泣かせのドリンクへの苦言が特に良かったです。
Posted by ブクログ
久しぶりの著者のエッセイ。
コロナ禍下(正しくはね)旦那さんと吉祥寺界隈を仲良く散歩したり、ランチしてるそーな。
でも、相変わらず間違った言葉使いにはひと言物申す姿勢は作家故かいや、著者の美意識の高さ故だろう。
いい年した大人が”お父さん””お母さん”、自分の仕事をお仕事、おうち、お魚、”させて頂く”の違和感。まさに我が意を得たり。
それにしても、著者も還暦を過ぎたとは…。
でもかっこよさは健在。
超似てると本人も書いてた”浅川マキ”ググってみたらそくっりで笑った。
どんな辛い状況下でも、やはり人間は”言葉”に救われるのね。(自筆の可愛い字!のあとがきを読んでしみじみ思ったよ)
Posted by ブクログ
p198手書きの文字は気恥ずかしいです。でも、その恥を知ることが出来るからこそ、抑制が効く。書きたいことより書きたくないことの方が多い私という小説家を理解してくれる若手編集者が、ひとりでもいてくれる内はこのまま書き続けたいです。
Posted by ブクログ
「吉祥寺デイズ」に続いて、週刊誌に連載した身辺雑記をまとめたもの。パートナーの「ヒロちゃん」(以前読んだ本でこう呼んでた。いろいろ衝撃的だったから覚えてるのだ)とは変わらず仲睦まじく、ほのぼのとした生活の様子が伝わってくる。うーん、「ほのぼの」…エイミーにこんな形容をする日が来るとは!「ベッドタイムアイズ」は遠くなりにけり。
とは言え、エイミーの姐御ぶりは健在で、納得いかないことにむける舌鋒は鋭い。政治や世の中のあり方について、自分が経験したり目にしたりした具体的なことを取り上げて怒っている。繰り返し使われるのが「想像力がない」という言葉。自分とは違う境遇にいる人がどう感じるか、考えようともしない姿勢に著者は憤る。小説というものの役割の大事な一つが、その想像力を喚起することだという揺るぎない信念を感じる。
また、世に氾濫するヘンな言葉について再三怒っていて、ここにはすごーく共感した。著者は「間違っている」と指摘するのではなく「その言葉は嫌いだ」と言う。そう!そうなんだよねー。「大丈夫」とか「○○(しばしば「感謝」)しかない」とか、背中がむずむずする。あと、「他人に話すときに自分の親を『お父さんお母さん』と呼ぶヤツは大人とは認めん」というのにも大賛成。
うんうんと読んだ箇所をいくつか。
・「古き良き時代」という言い方は大嫌いだとある。「アメリカではある種の白人がよく使いますよね」「しかしね、その頃、黒人は奴隷だったんです。そして、日本では、ある種の女たちが、しいたげられていた。マッチョきわまりないワードだと思っています」ほんと、その通り。これも想像力の欠如だな。
・ちょっとテレビをつけると誰かが必ず言っていて辟易する「させていただく」。ここまで使われるには理由があるという、辞書編集者の指摘が紹介されている。敬語の基礎は動詞の尊敬形と謙譲形を使い分けることだけど、謙譲形がない動詞が大量にあり、そこで「させていただく」が大活躍することになるんだと。なるほどね~。それでも、「感動させていただいた」とかはやっぱりないわ。著者は「芸能人の『おつきあいさせていただいてます』は許さんよ」と言っているが、あれって最初に使ったのはダルビッシュだと思う(私調べ)。あんまり気持ち悪かったので忘れられないのだった。ちなみにお相手は紗栄子さん。
・世はコロナ。「ウイルスも恐ろしいけど、私は、そこから生まれる差別も同じように恐ろしいんです」とあって、ほんとにねと思う。著者は、エイズが世間に知られるようになった頃、差別された経験があると言う。「ベッドタイムアイズ」をもじって「ベッドタイムエイズ」と揶揄した知識人もいたそうな(誰だ?)。「人間は愚かで、それ故にいとおしいという意見もありますが、愚かさにも許せるものとそうでないものがあるのです」おっしゃるとおり。
・本書一番の啖呵は、ステイホームを呼びかけるため当時の安倍首相が優雅にご自宅でくつろぐ動画をアップしたことについてふれたくだり。
「泣く泣く店じまいを告げる紙をドアに張っている人たちの気持ちを想像出来ない国のトップって……私、あの動画を上げるのを提案した人の顔と名前を知りたいです。あと、緊急経済対策として『お肉券』や『お魚券』の交付というアイディアを出した人、誰なんだか教えて~~!!顔見せろや、こら」
Posted by ブクログ
詠美姉さんの嫌いな人がよく分かる本
うわー実名あげてそこまで言って大丈夫?
と思うけれど、エッセイだもんね
言葉のつかいかたが間違っていると厳しいのは作家のさがでしょう
すごく軽そうにみさせてすごく真面目で
このひとの書くテーマはいつもずっしり重い
好きです
Posted by ブクログ
山田詠美さんが同じ時代を生きている…!
と感慨深く。
言葉もありのまま。実名批判もありなのね、と。
思ったよりも歳上なのだな、というのは気付き。
Posted by ブクログ
久々読んだ山田詠美さんのエッセイ、吉祥寺デイズがなかなか良かったので、吉祥寺ドリーミンも読んでみました。昔のブラックカルチャー満載の頃が好きだったので、たまに登場するアメリカがやはり嬉しい。あと食の表現が上手くて好きだけど、今回は食の表現が少なかったかな。
Posted by ブクログ
うーん。何か主張が強いように感じました。
まあ、そこが面白いのですが、山田さんの小説の登場人物も多少気が強かったり、自信ありますよね。
でも、その自信が本作でも小説でも、スカッとする要素になっているのかもしれませんね
Posted by ブクログ
かなりズバズバと書いているエッセイでした。プロの作家さんなので、言葉使いのダメ出しが多々あり国語の授業を受けている感覚になりました。今作は吉祥寺の事が書かれており、共感できる風景が色々とありました。全体的に爽快で面白かったです。