山田詠美のレビュー一覧

  • 血も涙もある(新潮文庫)

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    まずタイトルに惹かれた。『血も涙もある』どういうことだろう?加えて意味深なカバー。よく見ると不気味なのだがそれよりもあらすじが気になり手に取った。そして、主人公が同世代の35歳の女性。これは読みたい!
    山田詠美さんってどんな作風だっけ?というほど私にとってご無沙汰の作家さん。
    登場人物は、料理研究家の沢口喜久江、夫の太郎、その不倫相手で沢口の助手を務める和泉桃子。章ごとに語り手が変わる。喜久江を尊敬し、太郎と不倫関係にあることとそれとは別次元の話であると考える桃子、夫の不倫を知りながら受け入れる喜久江、不倫をしながら妻を愛していると語る太郎。思考や言葉遣いが独特だが、ある種現代風で、読みやすい

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    2023年11月05日
  • 血も涙もある(新潮文庫)

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    独特の言葉遣いのモノローグに最初は嫌気がさし、久しぶりに山田詠美の作品を読んだけどこんな感じだったっけ?という印象。
    慣れてしまえば読み進められた。

    桃子のモノローグ部分はイライラもしたけど共感するところも少しあって、喜久江のモノローグ部分は仕事も家庭も完璧な料理研究家、という自分が作り上げたイメージとは裏腹の心情に共感と哀しみを感じ、太郎のモノローグ部分は腹立つことばかりだった。

    結末というより、過程を楽しむ作品なのかも。

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    2023年11月01日
  • つみびと

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    実際にあった悲しい事件をもとにしたものなので、分かってはいたけれど一切救いはなくて読後感は辛い思いになった。

    地獄の歯車には抗えないものなのかな、人間って。大小なりとも皆あるんじゃないかな、負の歯車が。どこかしら錆びてたり、軋んでたり。でもきっとこの人たちの歯車はもうどうしようもなく壊れ切っていて回るたびに阿鼻叫喚を轟かせてたはずなのに。色々と深く考えてしまう、否応なしに考えさせられてしまう。

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    2023年09月19日
  • ファースト クラッシュ

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    直接的な心的描写が面白かった。
    でも、本当にこんな考えする人いる?という気持ちが強く、感情移入が一切出来ず、あまり引き込まれなかった。

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    2023年09月18日
  • 血も涙もある(新潮文庫)

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    不倫の真っ只中にいる3人の男女の視点切り替え方式が、なんだか法廷に立ったような感じで色々と自分なりの論理や言い分を遠回しにこちらに投げかけてくるようなものを感じて面白かった。
    ドロドロしていて、辛い。

    同じ女としては、奥さんである料理研究家の先生がどうか報われて欲しいと1ページ1ページずつ捲っていた。悲劇ではない不倫、だとしても、夫である男性はなんとも罪深いとも思える。桃子にしたって。立派な共犯関係であるのだから。
    そしてきっと桃子ちゃんはこれからも人の男を何食わぬ顔して掻っ攫って食い尽くすと思うな。誰と居ても。知らんけど。

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    2023年09月10日
  • つみびと

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    ネタバレ

    大阪で起こった幼児二人を部屋に置き去りにしたまま若い母親が放置して餓死した事件ーー
    ここから構想を得たフィクション作品、だが重すぎる。


    事件を起こしたのは娘 蓮音。
    厳格で真面目な父、でも家庭より自身の立場や理想を優先する。
    母の琴音は小さい子どもを置いて逃げた。
    父は仕事はすれども家のことはなにもしない。親の代わりに、小学生のころから幼い子二人の世話をした。
    歪みはじめる蓮音。自分を自分で大切にできない。

    母親 琴音。彼女もまた愛のない家庭だった。
    つねに暴力をふるう父親。それを耐える母、怒る兄、怯える自分…
    やっと父親から解放されて現れた継父から性的虐待…
    守ってくれるはずの母親も壊

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    2023年08月29日
  • 吉祥寺デイズ うまうま食べもの うしうしゴシップ

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    久しぶりの詠美さん。
    久しぶり過ぎてイメージとは違う感じ、エッセイだし。私はゴシップあんまり興味ないけど、そういうのに対する意見や細かいあれこれ、そこからの想像力は実際大事な部分もあるよなぁ。
    吉祥寺は身近だし、何だか勝手に親近感湧いて楽しめた。
    そして試したい事や読みたい本もまた増えた。詠美さんの本も読み返したくなる。

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    2023年08月19日
  • A2Z

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    中々感情移入出来なくて
    読むのに時間がかかりましたが
    読み進めるうちに
    こういう夫婦の形もありなのかもと思いはじめて
    モトサヤになって
    旦那さんが最後
    一番喜んでいる感じ
    何だか微笑ましい終わり方でした。。

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    2023年08月14日
  • つみびと

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    賢者の愛を読んだ時のことを思い出した。
    山田詠美は、感情の憎悪の部分を細かく描写するのが上手いなあと過去にも思ったんだっけ。
    一応フィクションだそうだが、数年前に取り立たされた事故(事件)だったし
    どこかで聞いた犯人の生い立ちだったし、
    なんなら東京の足◯とか兵庫の尼◯とかでよく見聞きするような生々しい内容だった。

    生い立ちが凄惨だった場合、そこから打破するのって難しい。親を反面教師に強い気持ちで勉学に励めればいいけど(琴音の兄、勝みたいに)
    どうしても負の連鎖は続くし、多くの人は脱却する術を知らない。「人生こんなもんだ」って嘆きながら同じような境遇の人と結婚して他の世界を知らないまま親にな

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    2023年08月10日
  • 姫君

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    短編集。
    癖のある登場人物が光っていた。私にはMENUの聖子、検温のおばあさんがとても魅力的でした。

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    2023年08月02日
  • つみびと

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    ヨハネによる福音の「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい」を思う。
    13年前、マンションに置き去りにされ、餓死した子どもたちがモチーフの物語。子どもたちの母・蓮音、母の母・琴音、そして子ども、語り手をかえながら、その日に至るまでが描かれるのだけれど、蓮音と琴音の物語は、どちらのそれを読んでいるのか曖昧になるくらい、ふしあわせの質が似ている。ぞんざいに扱われ、それを受け入れざるをえない暮らしからくるもの。蓮音が「つみびと」になり、琴音がならずに済んだのは、誰と出会えたのか、という違いだけ。
    子どもたちの命を消したのは、決して蓮音1人じゃない。
    これは小説だからも

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    2023年06月29日
  • A2Z

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    ネタバレ

    いろいろなたとえでの恋愛感情の表現。
    男女の考え方の差。無責任な言葉。
    恋人、夫婦とは。
    恋愛で悩んでいるときの友人のアドバイスと態度。

    p16-16~p17-1
    p20 役に立たない思いやり…
    p82何でもない二人のルールはしっかり守られる。
    チェスの駒は夏美は白とか、一浩が朝に食べるもの。
    成生が思う夏美。
    眼鏡。おれ専用。それかけないと見えない。
    机を必要としない二人。
    一浩と夏美。
    夏美が帰ってきても仕事をする一浩、だが、眼鏡をかけない。一緒にこれまでのことをそばで語りたいと思う。恋の死について。
    p88-5~8
    p108-6~9
    p123-9~12
    p142-1~6
    p147-9~

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    2023年06月24日
  • A2Z

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    ブク友様と、ドラマを見た友人に勧められて読んでみた!
    不倫には納得いかないから☆3つだけど、綺麗な小説だった。
    A〜Zにいくに連れて結末が気になる1冊!
    こんな風な純粋で(?)綺麗な恋愛したかったなあ\(^o^)/笑

    サクサク読めて読みやすいです!
    こちらの作品に出会わせてくださったブク友様に感謝(*´ω`*)

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    2023年06月17日
  • A2Z

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     2000(平成12)年に単行本として刊行。
     山田詠美さんがデビューした頃、高校生だった私は最近の日本文学事情を知ろうと雑誌なども読んでいて、確か山田さんが「文藝」の賞をとってデビューしたのだった。
     当時批評家のあいだでは「流行歌のような気安い小説」といった批判があって、私も彼女の作を読んだときはあまり面白くなくも感じた。
     今、本作を読んでみると、当時のバブル期のポストモダンが喧伝された時代状況を思い出すようだった。
     子供の無い若い夫婦が、それぞれに更に若い相手と不倫するという話なのだが、文体が非常に軽やかで、繊細さも無くも無いけれども、あまり深みを感じさせられない。ここには「苦痛」が

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    2023年06月17日
  • つみびと

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    誰を視点にするかで評価が変わってくる作品。母なのか、子なのか、そのまた子なのか。誰でもいいのなら他の人の行動が理解できないのだろう。血が連鎖しているとはいえ、全くの別人なのだから。
    ってのは建前で、伸夫がキモすぎた。

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    2023年06月09日
  • A2Z

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    夫婦だけど、お互いに恋人がいる不思議な話
    全体的におしゃれな雰囲気で、表現が難しくてわかりづらい。
    思ったことは、夫婦2人とも自分勝手だなぁってことくらい。旦那の愛人に1番同情した(笑)。
    恋愛って自分勝手なものなのかなぁとか思ったり思わなかったりした。

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    2023年06月04日
  • A2Z

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    胸が苦しい。私がどうしたらいいのかは相変わらず全くわからない。
    「会いたい優先順位は彼女が1番だったけど、失いたくない優先順位は、いつもナツだった」
    これかな。いちばん近い気持ちは。

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    2023年06月04日
  • 明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち

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    "人を賢くするのは、人生経験の数でなく、他人事をいかに自分ごととして置きかえられるかどうかの能力に掛かっているのではないかと思う"という言葉が印象的だった。人の一生の中で経験できることは限られている。だからこそ本や映画、ニュースなどで想像力を育む事が大切なことだと思った。
    大切な家族が突然亡くなってしまう。残された家族の受け止め方もそれぞれにちがう。自分ならばどう感じるのだろうか。

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    2023年05月21日
  • マグネット

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    ようやく分かった。僕は、山田詠美的な格好良さが苦手だ。多分、そういったら、山田詠美に「あなたは選ぶ側じゃない。選ばれる側よ」とか言われそうだ。遠くで眺めて満たされる「かっこよさ」なんだろうな。向き合ったら、逃げると思う。

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    2023年04月21日
  • 吉祥寺ドリーミン ~てくてく散歩・おずおずコロナ~

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    久々読んだ山田詠美さんのエッセイ、吉祥寺デイズがなかなか良かったので、吉祥寺ドリーミンも読んでみました。昔のブラックカルチャー満載の頃が好きだったので、たまに登場するアメリカがやはり嬉しい。あと食の表現が上手くて好きだけど、今回は食の表現が少なかったかな。

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    2023年04月14日