山田詠美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
なんと直木賞。直木賞も粋なことしてたんだねって驚きました。相変わらず、あとがきもステキ。あとがきも9つ目の短編として数えたいくらいに。「ひとりの男を愛すると三十枚の短編小説が書ける」のならば、この短編集は8人の男への愛が詰まっているということか。この短編集には愛すべき女たちと男たちが出てくるけれど、本当にみんな恋愛に身も心を濃密に捧げていて、その濃度にクラクラきてしまう。山田詠美の肉体に対する価値観とか、恋愛に対する姿勢とかの基本が全て詰まっている。正直、黒人だからどうだ、黒人の魂がどうだっていうのは私には全くわからないけれど。黒人にこだわる必要はないとも思う。山田詠美も黒人を描くのは、あくま
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Posted by ブクログ
「ヒンズーの黒砂糖」「ピンプオイル」「HER」「前夜祭」「個人の都合」「甘い砂。」「24・7」「口と手」「息を埋める」が収録。作者曰く、大人の不慮の事故を集めてみた短編集。そのなかで、私は「口と手」で起きた不慮の事故がとてつもなく好き。山田詠美の作品はどれも自分の日常とは縁がないようで、もちろん読んでいて悲しくなったり切なくなったりするわけだけど、映画を観ているような、憧れだったりする感情を抱くことが多々だった。でも、「口と手」は共感というか、自分の過去を思い返して痛くなるような気持ちを抱いた。そう、「裸で寝ることを始めたら、どのような経過を辿ろうとも、終わりに一歩近づく」のも、手と口の戯れが
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Posted by ブクログ
9編からなる短編集。タイトル、「o」が1つ多いんですけれど、1つ多くなると「クール」じゃなくて「クゥゥール」と読みたくなってしまううちは、20%モアどころか、とてつもなくクールからかけ離れた人間なんでしょう。最初に収録されている「唇から蝶」のエログロにはゾクゾクしました。もう、最初の一行から感動しました。比喩ではなく、本当に青虫っていうのがたまんない。それだけじゃなくって、青虫が蝶になる過程もたまんない。この話は数多くある山田さんの短編の中でもずっと忘れられない話になるでしょう。あと、カミカゼっていうアイテムを使ってくるところがまた「クール」というか・・。うちは居酒屋で飲むビールが一番好きダー