恋をしたい、と思わせてくれる作品です。
山田詠美さんの小説は友人から勧められていてA to Zが気に入ったので開拓しようと思っていました。
ニューヨークで繰り広げられる恋愛模様を主にココ視点から書かれたものです。
ココはジャパニーズという風に描写がたまにあるけれど、ココを含めて誰もそのことを気にしていないというのが、実は一番印象的でした。
彼女がアルコールに溺れるリックとの終わりからランディと新しく始めるまでを描いていて、そのなかに何人もの人の葛藤、心情の揺れがみずみずしく描かれています。特にジェシーの成長ぶりに心打たれました。最初はぎすぎすしていたココとの関係が最後「家族だ」と言い切ってしまうまでに関係を変えた二人。ココは素直に受け入れられなかったみたいなのはなぜだったんだろう。
実をいうとあまり彼らのしゃべり方が好きではなかったです。会話は特に英語で読んでみたいと思ってしまった。「君が恋しいよ」が私はやっぱり"I miss you" の方がしっくりくる。直訳するとそうなのはよくわかってるけど、多分"恋しい"には違う意味が含まれている気がする。
一番心に残ったのは実はリックの言葉でビーズの件です。人間ってそうやって大事な記憶を反芻することで、一粒一粒の(ビーズより私は)真珠にして首にかけておく様子が目に浮かびます。年月が経つにつれて、それは長くなっていくし、多分だから二重にも三重にもしなくてはならなくなるのかもしれない。それが辛い記憶でできた真珠でも人生の経験を吸い込んだそれは美しいんじゃないだろうか。そしてその首飾りが長ければ長いだけ、それは人を内側から輝かせるのではないだろうか。この本で誰かが言っていたように、人は不幸があって初めて幸せを感じるから。きっと幸せだけの首飾りは光らないのかもしれない。そんなことを感じました。
その他にも、「愛の言葉を言い出した方が、その重みの分だけ不幸になる」というのも印象的でした。そうなのかな。未だ信じたくないな。