山田詠美のレビュー一覧
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ネタバレひよこの眼が読みたくて読んだ。何度か読んだことがあったが、何度読んでも最後の一文の余韻がすごい。「私は、こう尋ねてみたい衝動に駆られてしまい、慌てる。もしや、あなたは、死というものを見詰めているのではありませんか、と。」確かに、「うれしい悲鳴をげてくれ」の「顔色」に似ている。死相というものは本当に出ているのか、だとすればとても恐ろしい。でも、死相の存在を恋と勘違いしてしまい、最後の最後に気づいてしまう切なさが、ひよこの眼にはあって、それがとてもよかった。正確な文章は思い出せないが、最後の一文の余韻が印象的な小説でよかったのは、これ以外だとサガンの「悲しみよ、こんにちは」と江國香織の「デューク」
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Posted by ブクログ
子供ながらに死期を悟り、晩年を迎えてしまった、と思い込む少女のお話が表題作の短編集。
何よりもまず、晩年の子供という言葉のチョイスが素晴らしいと思う。まるでMr.Childrenのような、正反対の言葉同士を掛け合わせたことで生まれる不思議な魅力を持った言葉に感じられてならない。
表題作は表題作で好きだけれども、『海の方の子』が1番好きだと思った。これは高校生の頃、授業でもやった記憶がある。その頃からこの主人公・久美子の気持ちがよくわかると思っていた。偽善というものは、自分に酔っている人間がする行いでしかない。見抜ける人には見抜かれているものなんだよ、と、突き付けられる感じが、痛くて、だけど -
Posted by ブクログ
表題作を含む短編集。この中では、『MENU』が1番山田詠美さんっぽくて好きです。
『MENU』は親の自殺で人生を斜に構えた姿勢でしか捉えられなくなった青年と、彼の血の繋がらない妹を軸にした話なんだけど、この妹がとにかくエイミーワールドな女性!笑
「地球を失くす方法知ってる?抱き合って目を閉じるの」
という妹の言葉にグッときた。というのも、これはT.M.Revolutionの『AQUA LOVERS~DEEP into the night』という曲の世界観によく似ていると思ったから。私はいわゆる西オタ(西川貴教ファン)であり、かつ浅倉大介&井上秋緒という彼の楽曲の多くを作曲・作詞している2