あらすじ
恋をしてから、小説が書けなくなった「私」。自分を甘やかしたい。横になる寝台が欲しいのだ。そう言った私に、男友達はバリ島行きの航空券を手配してくれた。暑い国で休んでおいで。行っておいで、あの熱帯の安楽椅子に。そこで出会った男たちと愛しあううち、私の中にバリ島の熱が染み込んでゆく。豊潤で濃密な愛の物語。
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Posted by ブクログ
愛しすぎてしまった男を吹っ切るために訪れたバリ島。自分を見つめる熱帯の男たちの視線や耳の聞こえない少年との出会いによって、いつの間にか失っていたものを自分の肉体に取り戻していく。
好きな人と別れた時の、心臓が痛くて悲しい気持ちをこんなにも美しい言葉で表現して文学作品へと昇華させてしまう文才に惚れ惚れする。
そして耳の聞こえない少年、トニの無垢な愛情のこもった瞳に傷が癒されていく様子にもうっとり。
バリ島の熱気や雨や砂や波を肌に感じられる作品だった。
Posted by ブクログ
「始まりは肉体であるーーそしてなりゆきは心である」
甘美といえば容易い。官能的で主人公が貪るように男性を求める。そして主人公の性愛を男性は娼婦のようではなく1人の女性として感受する。私は誰のものでもない、それは私は誰のものであるということと同義。主人公の強さ。
Posted by ブクログ
半年ほど前に、バリ島に旅行が決まりバリ島が舞台の小説とあって手に取りました。
今回、再び手にとったのは、巻末に収録された綿矢りささんと村田沙耶香さんの対談が読みたかったのと、バリ島から帰ってきてあのなんとも言えない気怠い熱さの国を山田詠美の手に寄ってどのようにエロティックに描かれてたのか、再び読みたくなったから。
あの島を知らないで読むのと、知って読むのとではだいぶ違う。知ってるとより近づける。詠美さんのあの世界に。時代は違うにしろ、かなり鮮烈。
始まりは肉体である。そしてなりゆきは心である。簡単に要約すれば失恋したビッチの南国での傷心物語でしかないのかもしれないけれど、とにかく丁寧で繊細。美しいからたまんない。
憧れちゃうなぁ。こうなれたらいかにいいだろうか、と。いまでも、憧れちゃうなぁ。
Posted by ブクログ
うーん、よく分かりませんでした!
性的描写がとても芸術的で美しかったという意外は、うーん、という感じです。
結局どういうことなんだろう。
恋愛に疲れた女性が、熱帯の国で遊んで、それで帰ってくる話?
まあよく分からないのが芸術だったりしますからね。
私は、嫌いじゃ無いです。よく分からなかったというのも、立派な感想だと思うので!