我孫子武丸のレビュー一覧
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うーん、またしても一番の大ネタがわかっちゃった。とはいっても最初の人物紹介で犯人がわかっちゃっている以上、これしか方法はないんだろうけど。俺としてはどちらかというとシリトリ殺人の方が意表を突かれた。途中で便乗殺人をはさんだり、ロリコン加藤を登場させたり、はずし方もうまい。
椎名俊夫が慎二のことを知ったあとは、「セブン」みたいなサスペンスになるというのもありだと思ったんだけどな。安孫子武丸のようなパリパリの本格推理作家が本格推理とサスペンスの融合した小説を書いたというのはあまりないようだから、面白いものになると思うんだけど。ジャンルは違うけど、「殺人鬼」という成功例もあることだし。ひょっとす -
Posted by ブクログ
やっぱり安孫子武丸は、大ネタ一発っていうよりも、子ネタを連発するってタイプなんだなあ。コーヒーに入れた青酸カリによる毒殺、墜落できない状況での墜落死、謎の旅客機爆破、自然死した人間に突き刺されたナイフと、それぞれに不可解な謎があってシチュエーションとしてはよく考えてあると思うんだけど、本格としてはちょっと俺にはパズル的すぎて物足りない。どうしても「あー、びっくりしたなー」っていうよりは、「よくできました」って感じになっちゃう。それぞれの事件の関連と題名の意味についてのセンスは好きだけど。ただ、この結末だと最初の作者からの挑戦のようなものは余分な気がするなあ。こういうのってメタとしては中途半端
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Posted by ブクログ
ネタバレ最後のどんでん返しに呆然としてしまった。とんでもない叙述トリックを見たという読後感。
犯人側視点と捜索側視点、それに加え犯人の家族視点が並行して進んでいく。犯人の殺害描写や殺害理由などがあまりに凄惨で生々しいため、読者側の私としては犯人が分かっている分、捜索側に早く真相にたどり着いてくれ、正直もう読み進めたくないという気持ちで読んでしまう。複数視点同時進行形式なので、他のミステリに比べ謎が少なく、中盤まではただただ犯人の気持ち悪さに不快な気持ちになっていただけだったが、最後に読者が完全に騙されていたことが分かった時にこの作品の真骨頂を感じた。 -
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「え?え?え〜!」率直な感想と云うより反応!
著書でも出てくる「叙述トリック」まさに完璧にハマってしまう。
特に心に残る?う〜ん印象に残る、短編が
・切断にいたる病
・怪談にいたる病
この我孫子武丸著、「殺戮にいたる病」を読んだ時の様な衝撃を感じる。
この短編2作は「世にも奇妙な物語」的世界観で進行していく不思議な物語。
正直、次の展開が気になり、ついつい一気読み!しかし読後、冒頭の「え?え?え〜!」と反応してしまい、もう一度読み直す、この感覚は非常に良かった!
我孫子武丸ワールドと背筋ワールド、それぞれでも更に読みたくなる!
正直不思議な感想!
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ネタバレ刑事の長男を持つ三兄妹が探偵役となった昭和の香り漂うユーモアミステリ。今の時代に読むとどこか牧歌的かつ、よく言えばユーモラス、悪く言えば80年代特有の弛緩した空気感の小説で、この辺は正直好みが分かれるところである。それに反して8の字屋敷で起こる殺人事件は異形かつ、論理的なありえなさが際立っており、ユーモアな雰囲気に反して謎は本格らしい硬派さに満ちている。
しかしながら、妹の最初の推理である刑事共犯説のほうが真相よりも予想外だっただけにインパクト面で真相より劣っているのが少し残念だった。そして謎めいていた一番目の殺人の鏡を使ったトリックより、二番目の殺人のオートロックの扉に磔のようになって射抜 -
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著名な作家さんが多く、絶対面白い!と思って購入したけど、期待が空回りしてしまった。
冒頭の我孫子武丸さん、自分で自分の作品のアンソロジーに参加しているだけあって一番らしい作品でした。
『●●にいたる病』という題名だけで、あとはテーマを絞らず作者ごとにお任せオファーだったのかな?『殺戮~』ってエログロがテーマだと思っていたんだけど…我孫子さん以外はそれぞれの分野で書いてる。
アンソロジーだからこれでいいのかな?
もう少しテーマ絞った上で、オリジナル作品が読みたかったなとも思った。
個人的には、歌野晶午さんの作品が一番引き込まれて良かったです。
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我孫子武丸さんデビュー35周年記念ということで、殺戮にいたる病からタイトルをとった各作家さんによるオマージュ的オムニバス。
まえがきでご本人が書かれているように、編集者さんのアイデアありきのものなので、作家さんごとにタイトルは共通しているものの、テイストが全く異なり…。
正直、我孫子武丸さんご自身がいちばん力が入っていないような…。
その中でも背筋さんは、モキュメンタリー作家さんと受け取られていますが、普通の物語もうまくまとまっているし、
八樹純さんのは別の著作を読めばしっかりその世界観を楽しめるらしいです。
とはいえ、ラストに行くまでは、淡々と読んでおりましたが、
歌野晶午さんよ。
さ