我孫子武丸のレビュー一覧
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速水警部補とミステリマニアの弟と妹が活躍する、速水三兄妹シリーズの三作目です。
ミッシングリンクをテーマに、犯人側と警察側の視点がほぼ交互に切り替わり、物語が展開します。
冒頭に犯人の名前が明かされ、倒叙系ミステリの雰囲気もあるのですが、ただそれだけで終わらないところも面白く、意外性を持つ真相解明まで楽しませていただきました。
ただ、この真相は賛否両論ありそうですね。
読む人の捉え方によって、評価が大きく変わるように思います。
新たなキャラクターも登場し、これから更に面白くなりそうだと思えるだけに、新作が発表されないのが残念ですね。
デビュー当時のシリーズものだけに、ここで終了というこ -
Posted by ブクログ
読書録「8の殺人」3
著者 我孫子武丸
出版 講談社文庫
p118より引用
“ 五十、という数字に彼は運命的なものを
感じた。
今度こそ、うまくいくような予感がした。
しかしその時、はずれ続けた四十九回の予
感のことは、きれいさっぱり忘れていた。”
目次より抜粋引用
“恭三、出動する
恭三、色香に惑う
慎二、意見を述べる
慎二、リアリストであることを告白する
恭三、高校の授業を思い出す”
8の字を型どった富豪の屋敷を舞台とした、
長編ミステリ小説。同社刊行作文庫版。
自らの会社の宣伝のために建てた屋敷で、
社長・蜂須賀が殺された。悪夢にうなされて
いたところを、部下から -
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結末部分の撮影を残して失踪した映画監督・大柳。
残されたスタッフは誰も結末部分のシナリオを持っていなかった。
スタッフ、キャスト共に何とか映画を完成させようと会議を開き、それぞれの言い分を聞き、結末部分の撮影を終える。
小説ではよくある叙述トリック。
「やられた!」と悔しがりながらも楽しめる作品もあれば、推理するまでもなくバレバレな作品もある。
14年前に書かれた作品なので、多少そのころ特有の描写はある。
たとえばトランシーバーは、さしずめ今ならばスマートフォンになるのだろう。
しかし、良い作品はどんなに時代が変わっても面白い。
映画好きにはたまらない描写も多い。
推理小説好きには、登場人物と -
Posted by ブクログ
ネタバレ推理側の構成が面白い。
ただ監禁に至るまでの流れが単なる衝動でしかなかったり、主人公が探偵にうまく操られすぎだったり、1巻で完結させるために色々省略しすぎているように感じた。
殺人ばかり重大に取り上げられているが、監禁だって酷い犯罪だ。むしろ精神的な挙動は殺人以上に複雑で、一般的な感覚から逸脱しているように思う。
そこをスッパリ「バレたらヤバい趣味」「犯罪のはしくれ」程度に切り落としてしまっているのが納得いかない。
構図自体は面白い。
しかし、監禁側の特殊さをゲーム展開だけでなく、心の部分でもっと活かしてほしかった。
事件終了後、主人公があっさり健全な求職者に生まれ変わっているのも心理上の