【感想・ネタバレ】新装版 8の殺人のレビュー

あらすじ

大胆なトリックで本格ミステリーファンをうならせた傑作長編。建物の内部にある中庭が渡り廊下で結ばれた、通称“8の字屋敷”で起きたボウガンによる連続殺人。最初の犠牲者は鍵を掛け人が寝ていた部屋から撃たれ、2人目は密室のドアの内側に磔に。速水警部補が推理マニアの弟、妹とともにその難解な謎に挑戦する、デビュー作にして傑作の誉れ高い長編ミステリー。(講談社文庫)

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

警部補が主人公の館系ミステリトリックもの。
話の中に出てくるミステリ作品が多く、ミステリ好きな人なら「そうそう」と楽しく読めると思った。

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2023年01月28日

Posted by ブクログ

おもしろくないわけではないんだけど、「8の字ってことはこんなトリックかな?」と思っていたそのまんまだったから、残念というか申し訳ないというか…笑
(私がミステリ慣れし過ぎているのかな)

あとは、笑わせようとするハチャメチャな感じが時代を感じて、それがゾワゾワするのが少し苦手。
ユーモアミステリーだから仕方ないけどね。

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2025年10月17日

Posted by ブクログ

すらっと読めた。
登場人物のノリが合わなかったが、
ミステリとして大変面白かった。
スタンダードなミステリ。

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2024年02月06日

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ネタバレ

著者デビュー作であり、速水3兄妹シリーズ第1作。我孫子武丸先生は勝手なイメージだがもっと堅いのかなと思った。しかし、全くそんなことはなくユーモアのある文章で書かれている中にも本格の片鱗がちらちらと見え、とても楽しく、そして軽く読むことができた。木下刑事の可愛そうなではあるがクスっと笑えるような描写も散りばめられており、面白かった。この著者の作品、速水3兄妹シリーズも追いかけていこうと思う。

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2021年08月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

8の字屋敷で起こった、蜂須賀菊一郎殺しと河村美津子殺し。
最後に真相説明するのは、警視庁の速水恭三警部補の弟の慎二。
2つの事件とも、巧妙な殺人方法が取られている。河村美津子殺しの密室に関しては、ちょっと上手く行きすぎとは思うが。
菊一郎の死体が引きずられていた理由、常夜灯が交換されていた理由、左利きの話、空中に浮かんだボウガンの謎、ボウガンの意外な隠し場所等、すべてが合理的に説明されている。
8の字屋敷の特性も、犯行に上手く活かされている。

(この作品だけではなく、他の有名ミステリーもネタバレ)
この作品は、作中に挙げられているような有名ミステリーのパロディーが随所に見られる。
凶器としてボウガンを使ったのは、『ユダの窓』。菊一郎殺しのトリックは『三つの棺』。この事件での河村美津子の役割は『皇帝の嗅ぎ煙草入れ』。真犯人の設定は『スタイルズ荘の怪事件』など。

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2019年08月27日

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古本市で何気なく買ったら大当たりでした。あまり知らない作家さんでしたがあとがきが島田荘司氏だったりします。
いわゆる本格ミステリーってやつですが、主人公の速水警部補がおもしろくて本格にありがちな暗さがなく最後まで楽しく読めました。他の速水兄妹シリーズも読んでみたいです。

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2012年10月31日

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蜂須賀建設社長・蜂須賀菊雄が建てた通称“8の字屋敷”。
建物の内部にある中庭の上を、渡り廊下が横断しており、
上から見ると“8”に見えるためそう呼ばれている。
その奇妙な館の中で起こる、ボウガンによる連続殺人。
最初の犠牲者は、密室内部にいた犯人によって撃たれ、
二人目は密室のドアの内側に磔にされて殺された。
この不可解な事件の謎に挑むのは、
警視庁捜査一課警部補である速水恭三と、
彼の弟妹であり、ミステリマニアである慎二といちお。
新本格世代を代表する一人、我孫子武丸のデビュー作。

これは再読。
10年ほど前に読んだ作品で、
読みやすくて少しコメディタッチの作風が気に入ったのか
それ以降も、我孫子氏の作品を続けて読んだ記憶がある。

久しぶりに読み返したが、ふたつの事件のトリックと、
三兄妹のキャラクター以外はほとんど忘れていた。
読み返すうちになんとなく思い出しはしたのだが。

大人になって改めて読み返してみると
「こんなにもあっさり読めてしまう作品だったっけ?」
と思ってしまうほど、読むのが楽だった。
豊富なディテールや緻密な描写といったものがなく、
事件に関係すること以外はほとんど描かれない
シンプルなつくりゆえのことだと思う。

二人も人が死ぬわりには陰惨さがほとんどない点や、
興味本位で事件に関わろうとするいちお、
謎解きのクライマックスに密室講義なんて
素っ頓狂なことを平然とやらかす慎二、
そして物語が進むにつれ重傷を負っていく木下刑事など、
さまざまな要素からもわかるとおり、
非常に娯楽的性質の強いミステリであるので、
パズルを解くときのように気軽に楽しむのが良いだろう。

トリックは荒唐無稽だし、真犯人は意外な人物である。
ミステリの醍醐味が端的に集約されている。
そう考えると、ミステリの入門書に適しているかも。
この馬鹿馬鹿しさを愛せる人はおそらく、
ミステリというジャンルにハマる素質がある人だ。

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2012年05月07日

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ネタバレ

建物の内部にある中庭が渡り廊下で結ばれた、通称“8の字屋敷”で起きたボウガンによる連続殺人。最初の犠牲者は鍵を掛け人が寝ていた部屋から撃たれ、二人目は密室のドアの内側に磔に。速水警部補が推理マニアの弟、妹とともにその難解な謎に挑戦する、デビュー作にして傑作の誉れ高い長編ミステリー。

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2014年05月05日

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ネタバレ

刑事の長男を持つ三兄妹が探偵役となった昭和の香り漂うユーモアミステリ。今の時代に読むとどこか牧歌的かつ、よく言えばユーモラス、悪く言えば80年代特有の弛緩した空気感の小説で、この辺は正直好みが分かれるところである。それに反して8の字屋敷で起こる殺人事件は異形かつ、論理的なありえなさが際立っており、ユーモアな雰囲気に反して謎は本格らしい硬派さに満ちている。

しかしながら、妹の最初の推理である刑事共犯説のほうが真相よりも予想外だっただけにインパクト面で真相より劣っているのが少し残念だった。そして謎めいていた一番目の殺人の鏡を使ったトリックより、二番目の殺人のオートロックの扉に磔のようになって射抜かれた死体が、窓際ではなく廊下側から射たれて、反動で磔になったまま扉が閉まったというトリックのほうが面白く、どうにも噛み合わせが悪かった印象。探偵役の掛け合いも面白い反面、一度推理を間違えたのもあって素人探偵感が強かったのも個人的にはややマイナスである。しかしながら、一度疑われてその潔白を晴らすことで敢えて操作線上から外れたというのは面白かった。

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2025年10月27日

Posted by ブクログ

我孫子武丸のデビュー作。
ユーモアたっぷりに描かれた本格推理小説。
ディクスン・カーのネタを挟んだり
ミステリーについての講義が入ったりだと
他の推理小説とは違った作りになっている。

ある建築会社の副社長が密室殺人によって
殺された。
ドタバタを演じる刑事2人と
主人公の弟妹が探偵役になり謎解きを
行う。

楽しんで気楽に読める。
しかし殺戮に至る病ほどの衝撃はない。

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2025年04月14日

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ネタバレ

我孫子武丸作品を読むのは殺戮にいたる病に続き2作目。自分の中でちょっとハードル上げすぎたな〜と反省…。真犯人捕まったあともきっとまだ何かある!もうひとつどんでん返しあるはず!って思ってたらギャグで終わった 笑
序章から面白さがどんどん加速していって、いちおちゃんが木下刑事が犯人ですって言ったところでピークを迎えて、そこから尻すぼみ…というイメージ。慎二くんの謎解きシーンはちょっとくどくて苦手でした。推理小説の知識をひけらかしてるだけーみたいな。
コメディ要素がめちゃくちゃ強くて笑えるし、場面のイメージのしやすさや読みやすさは本当にピカイチ。すいすい読める。
殺戮にいたる病と雰囲気が全然違って、本格ミステリとしてシンプルに楽しめました。でもやっぱ結末に物足りなさがあるのは否めない…。木下刑事犯人であってほしかった…笑

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2024年08月29日

Posted by ブクログ

1989年の我孫子さんのデビュー作です。
殺戮にいたる病は、かなり衝撃的な作品でしたが、こちらはいわゆる本格ミステリでした。
テンポよく、軽快に話が進むので読みやすかったです。

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2024年07月15日

Posted by ブクログ

あっという間に読み終わってしまった。
初めて読んだ我孫子さんの本が「殺戮にいたる病」だったので猟奇的な物語をかく小説家というイメージをずっと持っていた。こういうスタンダードな推理小説もかく方なのね。
私にしては珍しく仕掛けに使われた道具を当てたので嬉しい!人物の描写、特に犯行に至るまでの理由がもうちょっとほしいかなと思ったけど…物語が進むにつれて速水兄妹の出番が増えて序盤の重い雰囲気が軽減されていくのでこれくらいがちょうどバランスとれて良かったかもしれないな。

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2023年12月29日

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殺戮にいたる病が最高に良かったので期待していたが、こちらはやや期待外れ。
ちょっとイメージしづらい描写があり、犯人も途中から分かってきてしまったため★3。

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2023年11月01日

Posted by ブクログ

『殺戮にいたる病』の我孫子武丸さんとはおよそ思われない軽妙な筆致で、ギャグっぽくかかれているのがまず驚いた。すらすらと読みやすいけど、謎解きの前置きがくどくてブレーキがかかる。鏡のトリックは特段珍しい発想でもなく、すぐに気づいたが、ミスリードっぽいとも思った。これを解かれることを見越して自分の疑いを晴らすという真の目論見には思い至らず、なるほどなあと感心した。速水兄妹も面白くて好感がもてる。解説ではやれ本格ミステリだとかギャグ小説だとか言っているが、読み手は先入観をもたずに好きなように読めばいいのではないかな。

佐伯を犯人と指摘した慎二は、彼の本棚を確認しておくべきだった。謎解きをする探偵なら、当然証拠を掴んだうえでなければならないよね。

後に発表された『金田一少年の事件簿』における『金田一少年の決死行』『首吊り学園殺人事件』を思い起こした。

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2023年01月14日

Posted by ブクログ

【大胆なトリックで本格ミステリーファンを唸らせた傑作長編】

“8の字形の屋敷”ゆえに案出された、不可解極まる連続殺人。速水警部補と推理マニアの彼の弟&妹の3人組が挑戦するが、真相は二転三転また逆転――。鬼才島田荘司氏に“本格ミステリー宣言”を書かしめた、2人目の大型新人の本格的にして異色、かつ絶妙のユーモアで味付けした傑作長編推理デビュー作!
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我孫子武丸の本はこの作品がはじめでだったのだが、読みやすい文章でスラスラと読み終えてしまった。

古い作品ではあるが、ユーモラスもあり時代を感じさせない本格ミステリーだった。
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トリックに使われたアイテムは想像でき、どんでん返しが好きな身としては少し物足りなかったが軽く読めるのでミステリーを普段読まない人にも読みやすい作品だ。
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こんな人におすすめ.ᐟ.ᐟ
・本格ミステリーが好きなひと
・カーが好きなひと
・密室殺人ものが好きなひと

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2022年06月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

プロローグの時点で、建物の構造を生かした機械式のトリックであることを明かしちゃってるからなあ。平面図を見ただけで、大まかに見当はついてしまった。時間の流れは恐ろしい、なのかな。もう一つの密室トリックのほうがイケてるように思う。本格ミステリを取り巻く状況が変わったせいか、当時は必然だったのだろう稚気が今読むと結構ジャマ。

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2021年05月10日

Posted by ブクログ

我孫子武丸さんの作品は、衝撃的なラストだった「殺戮にいたる病」以来、10年ぶり位なんですが、当作品は我孫子武丸さんのデビュー作という事で、”なんかキャピキャピしてる!”って感じでした。すいません、わかりづらいですよね。簡単にストーリーを御説明させて頂きますと、上から見ると8に見える奇妙な建物に住む蜂須賀家の副社長・蜂須賀菊一郎が何者かによって殺され、その犯人を体育会系刑事の速水恭三が追うという感じです。蜂須賀家の住人と速水の弟妹が本当に個性的で、恭三とのやり取りが面白いのですが、最後のトリックがな~~~~。。。いや、決して悪くないんですよ。という事で、☆三つで御願い致します。

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2021年04月08日

Posted by ブクログ

本格派なのかユーモアミステリーなのかよく分からない。登場人物には好感が持てない。
最後のどんでん返しは悪くないけど、犯人の動機とかが雑で、トリックありきで作った話って感じがする。

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2020年11月24日

Posted by ブクログ

8の字型の屋敷を舞台にした殺人事件。比較的テンポ良く進むため、読みやすい。トリックとしては単純なものであるため、さほど推理小説を読み慣れていなくてもなんとなく見破れてしまうかもしれない。犯人の思考と行動に一貫性がなく、納得いかない部分もあったが楽しく読めた。あんまり深く考えずにさらっと読むのがよいかもしれない。

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2020年03月02日

Posted by ブクログ

読書録「8の殺人」3

著者 我孫子武丸
出版 講談社文庫

p118より引用
“ 五十、という数字に彼は運命的なものを
感じた。
 今度こそ、うまくいくような予感がした。
 しかしその時、はずれ続けた四十九回の予
感のことは、きれいさっぱり忘れていた。”

目次より抜粋引用
“恭三、出動する
 恭三、色香に惑う
 慎二、意見を述べる
 慎二、リアリストであることを告白する
 恭三、高校の授業を思い出す”

 8の字を型どった富豪の屋敷を舞台とした、
長編ミステリ小説。同社刊行作文庫版。
 自らの会社の宣伝のために建てた屋敷で、
社長・蜂須賀が殺された。悪夢にうなされて
いたところを、部下から事件の連絡を受け、
警部補・速水恭三は現場へ向かう…。

 上記の引用は、事件関係者に恋をした主人
公・速水恭三について書かれた一節。
人間、自分に都合の悪いことは、忘れるよう
に出来ているのかも知れませんね。あまりに
何もかも覚えていると、前に進めなくなって
しまうからかも。
 少し抜けてる主人公・恭三と、頭の切れる
弟妹。重苦しい殺人事件が、彼らのやり取り
で軽い雰囲気になっている部分があります。
 他の推理小説を数多く参照しているようで、
推理小説に詳しければ詳しいほど、面白さを
感じる作品ではないでしょうか。

ーーーーー

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2019年06月15日

Posted by ブクログ

8の字型をした屋敷での殺人事件を3兄弟が解き明かす。

トリックはなんとなく分かりかけたけど、完璧に解ききれなかったので悔しいです。

我孫子さんの作品は「殺戮いいたる病」と「弥勒の掌」は読んだことがありまして、この本もこんな感じかなと思っていたんですが、ところどころギャグが入ってきていて意外でした
デビュー作はこうだったんですね。

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2017年09月16日

Posted by ブクログ

 小学校の頃、大好きで繰り返し遊んだSFCソフト「かまいたちの夜」。そのシナリオ担当であった我孫子武丸氏。本屋でその名前を久しぶりに見つけ、どんな作品を書いているのか読んでみました。

 設定は8の字の形をした館で起こる殺人事件の謎を解いていくという話。物語自体は主人公の刑事(恭三)とその部下(木下)の2人で館の住民に聞き込みをしながら進み、謎解きについては恭三と、その家族である弟と妹を交えながら進みます。この弟と妹が推理オタクであり、密室やトリックの解説ではやや長ったらしくなるところもあったんですが、全体的にはテンポよく読みやすかったです。

 推理小説としてはトリックは王道な感じで驚きは少なかったですが、印象に残ったのは恭三と木下のやり取りのおもしろさです。システム手帳にいちいちメモを取ったり、恭三に振り回されてケガだらけの木下にくすっと笑わされました。「かまいたち」でもユーモアある文章が随所に見らましたたが、それも納得って感じです。マイナス点としては、犯人の行動の動機が分かり難かった点と、凶器にボウガンって結構無理があるんじゃないかって思ったことくらいかな。設定とか読んでいて金○一少年に出てきそうだなって思いました(作品としてはこっちのほうが先ですね)。

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2015年05月07日

Posted by ブクログ

個人的に好きな作品です。かなりアラの目立つ作品ですが、大胆なトリック、意外な真犯人と魅力的な登場人物、そしてサプライズ。ある程度の評価は得られる作品だと思います。
文章が軽くて読み易く、ユーモアもあって面白いです。ミステリ初心者に読んで欲しい一冊です。

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2014年01月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

通称『8の字屋敷』と呼ばれる屋敷で、不可思議な事件が起こる。

その謎に、速水警部補と推理マニアの弟、妹の3人が挑む話。

序盤は『8の字屋敷』の説明があったり、部屋の位置関係を図付きで説明していたりと正直ちょっと面倒。

中盤からラストにかけてスピード感があってなかなか良かったけど、ある程度ミステリを読んでる人には謎解きは楽かも!?

それなりにドンデン返しはあるけど……って感じです。ちょっと物足りない。

先に『殺戮にいたる病』を読んでしまったのがいけなかったのかもしれませんね(汗)

続編があるようなので、そちらも読んでみようと思います。

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2014年01月17日

Posted by ブクログ

トリックは非常に斬新。登場人物の会話やストーリーの運びも軽快で読みやすかった。
ただ、読みやすい分、人物の描写があっさりとしていた。

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2013年03月11日

Posted by ブクログ

推理小説としても非常に良く、また陰険な気持ちにさせない書き方


デビュー作でここまで書けるとは凄い

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2013年02月16日

Posted by ブクログ

殺戮に至る病を読んだあとだったので、内容の明るさ?語り口の軽快さ?に驚きました。
ミステリーの知識を織り交ぜながらの兄弟の推理や、兄弟間の会話は面白いですが、ときどき滑ってる感じがします(汗)。

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2012年11月01日

Posted by ブクログ

いかにもな「8の字」の屋敷で起こる殺人劇。犯人は初めからわかっていた。しかし何やら不審な点も多く、警察は(ふたりで)再調査に踏み切ることになる。他に犯行可能な人間はいないはずだが、果たして真犯人は存在するのだろうか。

『かまいたちの夜』や『殺戮に至る病』で有名な我孫子武丸(あびこたけまる)のデビュー作。一歩間違えればギャグ小説に分類されてしまいそうなほど、危うい頻度でユーモアが散りばめられています。どこまで本気でやっているのかは、本人にしかわかりません。

著者の代表作である『殺戮に至る病』に比べて、いい意味で若々しさと青さが光る物語です。キャラといい台詞といい、かなりライトな文体でユーモアたっぷりに書かれています。本当にスラスラ読めるので、敷居の高いと思われがちな本格ミステリの入門書としてお勧めしたいところです。ミステリ作品の固有名詞に注釈で説明が付いているのも高評価ポイント。ただ、伏線の張り方が丁寧(親切?)過ぎて、トリックの謎が解きやすいところは少し気になりました。自力で謎解きしたい人にとっては長所になりますが。

内容はオーソドックスな犯人当てです。そこに本格らしかぬ笑いの要素が添えられて、人が死ぬミステリーとは思えない読後感を得ることができました。

オチは…まぁお約束ということで。

【キーワード】
8の字屋敷、ハゲタンク、刑事の勘、わらをも掴みたい、ボウガンの幽霊、完璧な8、準密室、ミステリマニアの兄弟、手話

【主要人物】
速水恭三、速水慎二、速水一郎(いちお)、蜂須賀雪絵、木下

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2012年01月30日

Posted by ブクログ

2011.9.25
上から見るとデジタル数字の「8」にそっくりな構造を持つ「8の字館」で起こった二つの殺人事件。上から三郎、二郎、一郎(いちお、と読む。女の子)と名付けられた三兄弟が、不可能犯罪の謎に立ち向かう。

割と早い段階で「あれを使ったんだろうな」と思っていたらやっぱりそのことへの言及があり、でもそれがファイナルアンサーではなくてやっぱり作者の方が一枚上手、というオチ。謎解きの前半でこれまでの密室ミステリをメタる感じの密室講義が出てくるのだが、それもまた面白い。

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2011年11月02日

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