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Posted by ブクログ
晴男は、優子という女に殺人の瞬間を目撃されてしまうが、なぜか彼女は晴男を自分の家へ招き入れる。しかし、そこに広がっていたのは、家族が家族を痛めつけ、優子のためだけに金を稼ぐという、まるで地獄のような光景だった。
『殺戮にいたる病』の我孫子武丸による作品。読む前から一筋縄ではいかないだろうと覚悟していたが、想像以上に容赦のない内容だった。
まず、怖い。怖すぎる。エロからグロまで描写に抜かりがないのはいつも通りだが、それ以上に、家庭の中で繰り広げられる「倫理の外側」の出来事に血の気が引いてしまう。どうしてそんなことをさせるのか、どこからそんな発想が出てくるのか、胸を痛めつけられながらも、ページをめくる手が止まらなかった。
そして、現実離れした出来事ばかりが描かれるというのに、なぜか不思議と他人事とは思えないリアリティがあった。まるでカルト宗教に洗脳され、絡め取られていく過程を見ているような、ダークウェブでスナッフフィルムを見つけてしまったような、そんな感覚に近い。こんな家族が意外と身近にも潜んでいるのではないかと思わせるほど、家族たちは丁寧に、確実に、そして的確な方法で洗脳されていく。
しかし、この作品の最大の魅力は、ただのサイコスリラーに留まらず、ミステリーとしても十分に面白いところだろう。こんな地獄を一体どうやって抜け出すつもりなんだ…と読み進めているうちに、物語は全く予想もしない方向へと転がっていく。「そこが繋がっていたのか」「まさかそんな事実があったのか」と次々に驚かされた。
決して『殺戮にいたる病』ほど鮮やかな叙述トリックや伏線回収ではないものの、ふつふつと湧いてくる違和感や疑問を、物語そのものの面白さが凌駕してくるのが素晴らしい。ずっと地獄のような光景を見せられてきただけに、少しずつ希望が見え、天国へと近づいていくような終盤の展開は圧巻だった。「スパイ映画」さながらの緊張感を保ちながらも、着実に出口へ導いていくストーリーテリングに息を呑んだ。
まだ2作しか読めていないけれど、我孫子武丸は間違いなく大好きな作家になりそうだ。
Posted by ブクログ
正直、かなり強烈な一冊でした。
何度か挫折しかけながらも「結末だけは見届けたい」と踏ん張り、後半は気づけば完全に物語に引きずり込まれていました。
我孫子武丸さんの作品ということで、「殺戮にいたる病」を思い浮かべつつ、相当な覚悟をして読み始めましたが……軽々と、その想定を超えてきます。
とにかく怖い。何が怖いのかといえば、人間そのもの。
洗脳されることで、人はここまでのことができてしまうのかと、何度も疑いたくなる内容でした。
しかしただのサイコスリラーで終わらないのが、やはり我孫子作品。終盤の展開は予想できず、「そう来るのか…」と唸らされる結末で、叙述トリックとミステリーの醍醐味を存分に味わえます。
読書中、一度も心が落ち着く瞬間がなく、終始張り詰めた緊張感。
しかも本作は、実際の事件をモチーフに描かれており、決して空想ではありません。舞台はごく普通の閑静な住宅街。
——もしかしたら、こんな「家」があなたの隣にもあるのかもしれない。
読後、しばらく現実に戻るのが難しいタイプの作品でした。
覚悟して読むことを、強くおすすめします。
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