羽田圭介のレビュー一覧

  • メタモルフォシス

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    読書中何度も笑わさせていただきました。どうせなら芥川賞はこっちの作品で獲ってほしかったなあ。

    官能とかSMとかのジャンルの作品って全然詳しくないのだけど、変態さんの心情を文学的に表すとここまで面白くなるっていうのは自分にとって新たな発見だった。個人的には純文学は難しくてなかなか読みこなせない分野ではあるのだけれど、本作に限っていえば1行1行の濃密な記述がどれも馬鹿馬鹿しくも面白くて、読み進めるのがとても楽しかった。なお、途中強烈なグロ描写があるので、食事の際に読むのは控えたほうが無難だと思う。

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    2016年02月07日
  • メタモルフォシス

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    新刊のとき読んで、衝撃的な面白さだったんで。文庫見つけて即購入即再読。
    この小説の面白さは、主人公サトウが、実直でないが真面目、道徳的ではないけれど倫理のボーダーラインが明確である、とか一見するとわかりにくい背反的な要素を多分に含んでいて、その性質をそのままプレイに活かしているところ。ようは、よく描かれがちな、社会的地位も高く周りから尊敬されていて人徳がある人が実はこんなに…っていう週刊誌的で安置なSM小説とは一線を画し、どちらが本当の自分かなんていう馬鹿らしいといかけもなしに己の価値観倫理観に沿って奴隷として邁進していくその姿が勇ましく、惚れ惚れしてしまうのだ。羽田さんの抑制の効いた文体と相

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    2015年11月18日
  • ご本、出しときますね?

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    本好き芸人であるオードリー若林と小説家達とのトーク本。小説家であっても一人の人間。人の面白さから読みたくなった本が沢山ありました。
    書き手の面白さから本を手に取りたくなる一冊。

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    2025年12月16日
  • 滅私(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ミニマリストに憧れた時期もあって、よくブログを読んでいたから、ミニマリスト界隈のあるあるや言動を「わかるわ〜」と思いながらが読んだ。ミニマリストのブログやSNSって、異口同音に同じことしか書いてないのに、すっきりしたいときとかに、つい読んでしまう中毒性がある。

    コミュニティの仲間との関係性、過去の暗部を知っている人との絡み、恋人との関係性、ゴミ屋敷に惹かれていくさまなど、一見つながりがなさそうなものが主人公の逡巡とうまく重なりあって、不穏ながら奥深いストーリーになっていた。

    複雑なことを考えることを避け、無意識に捨てるという行動をしてしまうことや、行きすぎた行動がかえって家族の精神的安全を

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    2025年12月10日
  • スクラップ・アンド・ビルド

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    コントのような、日記のような作品でした。

    受容と拒絶で考えると、他者から見ると受容が優しさに見えるが、相手のことを考えること一概にそれが優しさとは言えないよなぁ。
    でもそんな思考は施す側のエゴであって…

    でも善行はそれ単独で評価されて、その行動の理由って考えられないですよね。主人公の内面描写を通して悪意の善行って矛盾が見えるのがよかったです。

    みんな必死に生きてて、ズルしながら、矛盾して生きてる。
    それがちょっと笑えて、ちょっと笑えない。
    でも人生ってそんなことの繰り返しなのかもしれないと感じました。

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    2025年12月01日
  • Phantom ファントム

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    推しの出てる映画でご本人と本が登場していたので読んでみた。あまり自分が進んで読むジャンルの本ではなかったので良き出会い。金に対する価値観の違い、どちらも共感できるところとできないところがバランスよく描かれていて主人公のように「こういう考え方もまあ、アリか」みたいに思えた作品だった。

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    2025年11月23日
  • スクラップ・アンド・ビルド

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    第153回芥川賞受賞作。死にたいと毎日のようにぼやく祖父を穏やかな死に導こうと企む主人公は、日々筋トレに励みつつ、転職の為、手当たり次第に面接を受けまくる。タイトルが絶妙。

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    2025年11月04日
  • バックミラー

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    この国が、というより世界がどんどん悪い方向に傾き始めているような気がする今、読み終わって、それは勘違いなんかではないと思ってしまった…
    でも、今からでも自分たちがその気になれば悪い流れを変えられるかもしれないというような、著者の強い思いを感じもした。

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    2025年10月30日
  • 滅私(新潮文庫)

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    ネタバレ

    何事も行き過ぎるのは良くない
    見える範囲が狭くなると言う意味では、主人公は行き過ぎつつもまだ周りが見えていた感じ
    後半は思考はクリアなのに異常行動が止まらない感じが不気味だった
    ホラー映画のような、資本主義への問題提起のような

    にしても主人公の昔が悪すぎてちょっとキモかった

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    2025年09月15日
  • 羽田圭介、家を買う。

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    住居に異様なまでのこだわりを持つ筆者が、理想の住宅を求めて転居を繰り返す。

    東京の地下やタワマンの高さには、今更ながら驚かされる。  

    最後の一戸建てはいったいいくらで買ったのだろうか…

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    2025年08月25日
  • 羽田圭介、家を買う。

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    これ読み終わった後思わず羽田さんの奥様どんな人だろうと調べてしまったほど。
    すごい楽しくて一気に読んでしまった。でもまた引越すんだろうな、というか一生理想の家探しするんだろうな〜。次は注文住宅やって欲しい

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    2025年08月19日
  • 羽田圭介、家を買う。

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    まずは理想の家、環境を考え、そのための5億円をどう作るかという発想の順番が変だ。
    家を買うために、実労働では無理なので銀行から可能な限りフルローンで融資を受けて不動産投資を始め、手持ちのお金を株式投資に充てる、という前半がほぼ投資の話であるところが出色の面白さ。かなり収入が多い方という自覚がある人であっても今東京で家を買うのは困難なゲームなのだ。
    後半は結婚して本格的に生活のための家を探す。こだわりが強くて細かいところが気になるサイコな面も面白いけど、なんとなく、「金持ってんなー」という感想の方が大きく、興醒めして読み終わった。

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    2025年08月06日
  • 盗まれた顔

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    これも読者の興味を掴んで離さない1冊。読み始めたら一気に羽田ワールドに引き込まれてしまう。
    話の転換点に多少無理は感じるが、それを十分に補うだけの本筋の面白さがありますね。

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    2025年06月15日
  • 黒冷水

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    兄弟喧嘩のお話。
    ただそれだけなんだけど、不思議に引き込まれてしまう。実際そうするかは別として(しないだろうけど)、不仲な兄弟なら、妄想の中ではこんな感じなんだろう。精神的にまだまだ成熟には程遠い2人の確執、ただそれだけの題材でここまで読者を引き付ける筆者の実力は凄いと思います。
    しかもこれ、17歳で書いたそうで。
    他の作品にも期待したい。

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    2025年06月15日
  • スクラップ・アンド・ビルド

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    年老いていくことに関して色々と考えさせられる作品でした。
    最後のおじいちゃんの言葉は孫への愛情だったのかなと思いたい自分は浅はかなのかな笑

    若い頃は今は亡き自分に甘い自分の祖母を残念に思っていたけど、このような作品を通して祖母の当時の気持ちを少しだけでも感じることが出来た気がする。

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    2025年06月09日
  • 滅私(新潮文庫)

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    物をなるべく持たないようにしたいと思いながら、資本主義特有の流行り廃りの早さに巻き込まれたり、商売によって他人には物を勧める自己矛盾に苦しむ姿に「行き過ぎた結果」を見た。しかし、同時に行き過ぎた、とはどういう状態なのだろうという疑問も湧いた。本人にとっては身の回りをすっきりさせるための正常なこととして物を捨てたり、売ったりするわけで、そこにおかしな点を見出すのは難しく思う。環境にやさしいと言いながらゴミを増やす矛盾や、思想とビジネスの矛盾は結果論だと捉えると問題の所在が一気に曖昧になる。本人の荒れた性格や、突然芸術に走る指向性には危うさを感じながらも、それすら「行き過ぎた結果」の連続だったとい

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    2025年05月22日
  • ご本、出しときますね?

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    2016年~2017年に BS で放送されていた番組を書籍化したもの。オードリー若林氏が各回2人の作家をゲストに迎えて行う鼎談集である。もともと知り合いの方も多いようで、堅苦しい話も小難しい話もなく、気軽に読める。

    小説を読んだだけでは分からない作家さんの側面が見られて楽しいし、読んだことのない作家さんも、話がおもしろい方の本は読んでみたくなる。また、毎回の鼎談の最後に紹介される本も、興味をひかれるものが多かった。

    読書の幅を広げたい方に。

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    2025年05月19日
  • 滅私(新潮文庫)

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    絶妙にいそうな感じの主人公 情に流されず合理的な人ってこういう思考なんだろうなと思うけど、それでもふとした瞬間に矛盾を感じたり迷いも生じる
    片付け自体は良いことなんだけど、捨てるという手段が目的になってしまっているし、強迫観念めいていて、何事も極端は良くないね
    突き詰めれば趣味や人付き合いだって無駄なのだから、生きてるだけで無駄だらけだし、もはや私たちは無駄のために生きているのかもしれない

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    2025年05月13日
  • バックミラー

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    ネタバレ

    羽田圭介さんの短編集。一番気に入ったのっとりの感想を少し書く

    合理性を求める主人公が同族嫌悪に陥って、彼らと一線を画すために、さらなる成長を目指し、成長に必要なものを買う。だけど、同じようなものはすでに買っているよねって話

    自分の現状を受け入れられないから、同族嫌悪が生じるのである。そういう人が、現状を打破しようと成長するのは至極当然だなって思った。しかも、その人は合理性を求めるから、完璧主義が入っていて、よりそうなるのかなとも思った。

    でも、羽田さんは、その合理性を使って、よりよい自分でいたいと思いつつ、いつも同じ研鑽しかしていない主人公を冷笑していたのが面白かった

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    2025年04月18日
  • 滅私(新潮文庫)

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    ワタシ自身、ミニマリストを標榜し実践している。他方、違和感もなくは無い。行き過ぎれば毒というか。ミニマリストの不幸を扱った本作はなかなか先が読めず分かりにくさがあったがら分かりやすさだけを求める風潮もいかがなものか。こういう視点があるのかと楽しめた一冊。

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    2025年04月17日