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Posted by ブクログ
物をなるべく持たないようにしたいと思いながら、資本主義特有の流行り廃りの早さに巻き込まれたり、商売によって他人には物を勧める自己矛盾に苦しむ姿に「行き過ぎた結果」を見た。しかし、同時に行き過ぎた、とはどういう状態なのだろうという疑問も湧いた。本人にとっては身の回りをすっきりさせるための正常なこととして物を捨てたり、売ったりするわけで、そこにおかしな点を見出すのは難しく思う。環境にやさしいと言いながらゴミを増やす矛盾や、思想とビジネスの矛盾は結果論だと捉えると問題の所在が一気に曖昧になる。本人の荒れた性格や、突然芸術に走る指向性には危うさを感じながらも、それすら「行き過ぎた結果」の連続だったというのなら、個人の問題に転嫁させているだけだ。事実、そう認識せざるを得ないほど罪を重ねてはいるのだが、個別の罪と、思想の矛盾それぞれの「行き過ぎ」を紐解かないと雑にその範疇に収めて無思考に陥ると思った。
Posted by ブクログ
ミニマリスト的生活を送る男性主人公と、同じライフスタイルや価値観を持った人たちとのコミュニケーションがリアルに描かれている。
ここ最近は「ミニマリスト」という言葉も定着し、異端児扱いされることも少なくなったように思う。
本書に出てくる人物のように、ミニマリスト的生活を突き詰めると直面する「ジレンマ」や「空虚さ」を疑似体験できる。
モノに溢れた実家に帰り入浴した際、小さい頃からそのままの古びた椅子を見て、「むしろ自分の方が消費文化に加担しているのではないか」とハッとするシーンがある。自分も同じような感覚を持ったことがあって、所有物がミニマムでも、トレンドを追っていると消費量は決して少なくはならない。むしろ、昭和世代の親の方が「地に足のついた」生活をしているのではないか、と思ったりする。
最後の展開は想定外で、若干の気味悪さもあったが、全体を通して著者の繊細かつややダークな文体が貫かれており、さすが芥川賞作家と感じさせられるユニークな一冊だった。
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