羽田圭介のレビュー一覧

  • スクラップ・アンド・ビルド

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    自分的にはすごく面白かった。物語としての面白さの一方で、介護者の葛藤をちょっと笑える要素も入れながら、リアルに描かれている。

    何よりも良かったのが、介護老人を過剰に甘やかして、補助することこそ、本人の自主性や社会性を奪い、老衰させる一番鋭いナイフであるということを介護施設で働く友人から聞いて、それを自分の祖父に試してみる。という羽田圭介さんらしい毒性になんとも言えない気持ち悪さと、リアリティーを感じました。

    最後の終わり方が、ちゃんと爽やかでよかったなぁと思いながら終れたのも良かったです。         

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    2024年05月27日
  • スクラップ・アンド・ビルド

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    現実的なだけど、非現実的。よくある「心が通い合う老人と若者」の綺麗事が排除されてる感じが、ユニークだと感じました。悲しいというには、悲しみきれないけど、不穏な感じもありつつ、これが現実。笑って良いのか悪いのかわからない他人事じゃない感じ。

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    2024年05月15日
  • 御不浄バトル

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    中編と短編の2作品からなる。
    表題で中編の御不浄バトルの主な舞台は、トイレの個室と職場。
    主人公は、仕事に向かう途中で必ずトイレの個室で大便をすることが、
    日常となっていた。
    職場は、新卒で就職したが、とんでもない悪徳企業であった。
    大卒ということもあって、悪徳業務ではない事務として採用されていた。
    しかし、その悪徳業務に携わらざるを得なくなり、仕事を辞めるために翻弄する。

    短編のほうは、ヤング男性向けファッション雑誌を出版している零細出版社に
    務める社員と部下やバイトとのやり取りを描いた作品。

    御不浄バトルでのトイレシーンがどうしても受け入れられない人も
    いるかもしれないし、受け入れられ

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    2024年05月13日
  • 黒冷水

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    当時、自分と重ねて読んでいた。描写をイメージさせられた記憶がある。怖さを感じたが、それでも楽しませてもらった。

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    2024年04月21日
  • 黒冷水

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    やられたら、やり返す!という復讐の無意味さを兄弟喧嘩という全世界共通な普遍的イベントに落とし込みながら嫌味ったらしく、バイオレンスに描いた内容は強烈!
    256ページからのリスタートな展開には絶句。からの着地に感服。綺麗事じゃない世界観が好み。これを17歳でカマした羽田圭介ヤバいでしょ。傑作!

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    2024年03月14日
  • スクラップ・アンド・ビルド

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    主人公の、生真面目さゆえの拍子外れた野望が、現実味を帯びて感じられるのは何故だろう。
    きっと、主人公のような“優しい“性格の孫であるならば、この目標に至る過程も納得できるからなのだろう。
    じいちゃんがかわいい。が、実際にともに暮らせば多くの人が、主人公の母のようなアウトプットになるだろう。
    そんななか、じっと、静かにじいちゃんを観察する主人公の目線ににやついてしまう。
    ラストの拍子抜け感も小気味いい。

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    2024年01月27日
  • スクラップ・アンド・ビルド

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    ネタバレ

    これまた1年半くらい前に読んだ本。
    「むらさきのスカートの女」に続く芥川賞受賞作品。
    これまた意外と面白くて「死にたかー死にたかー、死なせてくれー死なせてくれー」って言う祖父と孫のやり取り。
    いつもそんなことを言って気を引く割に、デイケアだったかどこかの介護してくれる女の子のお尻かなんかはしっかり触るっていう。
    で、孫もいい加減にしろやーと。
    でもそんな事を言いながら孫、なんだかんだ優しい。

    最後は、なんだかえっていうぐらい、祖父がしっかりしてたというか、心がちゃんと祖父になってると思った気がする。

    「意外と良かった。孫が清々しい。」というのが、読後残していたメモだった。

    でも自分が介護

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    2024年01月28日
  • 羽田圭介、クルマを買う

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    この人はいつになったら車買うんだよ(笑)、と思いながらも読ませる文章で、また、しっかりとマニアックに走り味をこだわりながら比べる様は面白かった。

    無事に買えたようで良かったなあ、と思うと共に、有名人が車を買うのは一般人が買うのとはまた少し違う要素が販売上にはあるんだなあとか、ディーラーによって色々と差異化する部分が違うんだなあとか発見もあって良かった。

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    2024年01月18日
  • メタモルフォシス

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    ネタバレ

    主人公がSM嬢に調教されながら色々と考える話。お仲間は過激な快楽を追い求めて死んでしまい、自分はどうするかなーって感じで考える。

    羽田圭介さんの作品は初めてなので他作品のことをわからないのだが、SMというアングラな題材を、あえて高尚な文体を用いて難解にしてギャップを生み出し、一つの作品として成立させているような気がした。

    プレイの様子がドギツいので見るのは覚悟が必要

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    2024年01月16日
  • 黒冷水

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    ネタバレ

    ⚫︎受け取ったメッセージ
    「兄弟喧嘩」をここまで魅せる…

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    兄の部屋を偏執的にアサる弟と、執拗に監視・報復する兄。出口を失い暴走する憎悪の「黒冷水」。兄弟間の果てしない確執に終わりはあるのか?当時史上最年少十七歳・第四十回文藝賞受賞作!

    ⚫︎感想(⚫︎ネタバレ注意)
    「兄弟喧嘩」をここまで発展させ、読者を最後まで惹きつける。小説家とはやはり感受性、想像力、表現力を併せ持つ特別な人々なんだなぁと改めて感じた。真剣でやばいのだが、ベースは兄弟喧嘩なので、ダークなんだけど、ちょっと笑ってしまうというか。そういったところは芥川賞受賞作の「スクラップアンドビルド」にも感

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    2023年11月13日
  • 黒冷水

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    17歳でこれを書いたなんて、やっぱり天才は違うなと思った!
    兄弟それぞれの視点で書かれ、一気に読み切ってしまいました。
    気持ち悪さもあるけど、面白かったです。

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    2023年10月15日
  • ご本、出しときますね?

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    読書芸人の若林が小説家と対談する番組の書籍化らしい。
    常々小説大好きな人の気持ちを知りたいと思っていたが、この対談で多くの気づきを得られた。
    自分自身は現実的なビジネス書や、心理学、脳生理学などの役に立つ本を好んでいたので、なにゆえ個人の脳内で創作されたフィクションが好まれるのか不思議であった。
    本書や小説家(書くほう)の視点の言葉が多いが、彼らは読書家でもあるので示唆に富む会話が飛び交っている。

    ・「弱者」って言葉を言い換えると「大多数」のこと
    ・登場人物が自分の身代わりになってくれるような気がした

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    2023年10月05日
  • 走ル

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    どす黒かったり、ザワザワするような読後感であったりすることの多い作家という印象ですが、本作は羽田圭介の小説にしては、「素直」な作品であるという印象を受けました。

    文庫解説にもありましたが、「自転車で旅をしているのに、主人公が成長していない」ということが、そして旅のなかで触れる風景や自転車の挙動などの一つひとつの描写が緻密であることが、作品のリアリティを支えています。
    ある意味、「旅をすることで主人公が様々な経験をして成長する」ということは「ファンタジー」なのかもしれません。

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    2023年09月20日
  • 御不浄バトル

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    トイレ(うんこ)という、表立って取り上げられることが少ない、しかしながら人々にとって極めて身近なテーマがタイトルになっている本作では、生活リズムの中で多くの人がすれちがう「公共の場所にあるトイレ」がキーポイントになっています。
    会話をするわけでもなく、どこの誰か、何をしている日とかも知らないけれど、毎朝のトイレで顔を合わせたり、隣り合う個室で時間を共有する他人との時間や、職場のトイレでの一幕など、物語の要所要所ででてくるトイレでの過ごし方の描写は、生々しくリアルです。

    ブラック企業で働く主人公を描いた「御不浄バトル」とそのスピンオフ作品である「荒野のサクセス」が収録されています。

    たしかに

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    2023年08月14日
  • 成功者K

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    内容や描写に好き嫌いはあるでしょうが、ユーモア(文体)と途中からの展開が面白く、時折ズーンとなりながらもするする読んでしまう 中原昌也みのあるダジャレなの‥?ってタイトルも面白
    業界に勤める人はどう感じて読んだのか、感想を聞いてみたい

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    2023年07月22日
  • ご本、出しときますね?

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    3.7面白かった。二人づつなのが良。ラジオとかで続いてくれないかな。その方が出てくれる作家さん増えそうだし。

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    2023年06月20日
  • メタモルフォシス

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    お仕事小説+SM、というなんとも想像しがたい内容の短編2作の物語。
    1作目の主題作品、メタモルフォシスは、
    金融機関で営業マンとしてネットが主流になりつつある中、
    店舗に足を運んできたり、自宅に訪問したりで、対面での金融投資を
    しようとする人たちにうまいこと営業をして儲けを出していくという
    仕事をしている中で、SMのハードプレイを追い求めていく。

    2作目のトーキョー調教は、
    13年目のアナウンサーがメインの仕事とアナウンススクールの講師として
    掛け持ちてる中で、SMのデリヘルを利用しながら展開していく・・・。

    どちらもSM描写は慣れが必要って感じがあり、読むのに苦慮する人も
    多くいそうで、

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    2023年02月20日
  • ご本、出しときますね?

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    西加奈子、朝井リョウ、長嶋有…。小説家は普段何を考え、どうやって作品を生み出しているのか。無類の本好き芸人・オードリー若林正恭と作家たちが“自分のルール”を語りつくす。BSジャパンの同名番組を書籍化。

    作家が何を考えているかがうかがえて面白い。

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    2022年10月14日
  • ご本、出しときますね?

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    これ、とても良かったです。
    私がまた読書にはまるきっかけになりました。
    いろいろな作家さんの人柄がわかり、作品に興味を持てます。

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    2022年10月13日
  • 5時過ぎランチ

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    あまり本を読まない自分には、
    少し読むのに時間がかかったものの、

    どの3作品も緊迫感があり、
    非常に楽しめた。

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    2022年10月01日