羽田圭介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ人より抜きん出た能力を持たないと自覚する田舎出身の35歳の主人公(社員数名のPR会社社長、ギャラ飲み開催などを兼業)がふとポルシェに憧れ、年収と同じ額で中古のポルシェを手に入れる。
自意識、若さ/老い、劣等感、優越感などに翻弄されながら欲に目がくらみ次第に闇の世界に接近するも、ミスを犯して幸い(?)にも追い出され、堅気の世界に戻っていく。
羽田氏の本の主人公がみんな同一人物かのように似たタイプが多い。ちょっと見栄っ張りで「あいつよりはマシ」と思って誰がを少し見下してるけどちょっと成功してる人には嫉妬と羨望がぐつぐつしてて、隙あらばワンチャンを狙えないかと思ってて、力の強い人の言うことに染まりやすくて小心者、つまりは人間くさいちょっとダメな人。
無理して必要もないのに中古でポルシェ買っちゃうとか、自宅から徒歩8分もかかる駐車場借りちゃうとか、東京タワーが少しだけ見える築40年のマンションに住んでるとか、小さな設定の1つ1つが丁寧に主人公の人格を浮き彫りにする要素として機能している。
今作は最後に多少の人間的成長が描かれているので、これを教訓くさいと捉えるか、成長譚と捉えるかで評価が分かれそう。個人的には面白おかしく読んでそれ以上の何かはありませんでした。
バス旅クビにならないように頑張ってね。 -
Posted by ブクログ
この間、『スクラップ・アンド・ビルド』を読んで面白かったので、二冊目。
わあ、これデビュー作ですか。17歳ですか。
弟が、兄の部屋を「あさる」シーンから始まる。
最初は猥褻な雑誌やDVDを期待しての行動だったのだろうか。
兄の恥部に触れたいと思う、弟なりの内的な訣別とも捉えられなくはない。
表では澄ました顔して、裏ではこんなもの隠してんでしょう、仕方ないね、みたいな。
しかし、兄からの密やかで屈辱的な復讐が笑える。
もう、一枚も二枚も上手なわけですよ。
大人気ないな、と思う所もあるけど……割と読んでいて勧善懲悪感がある。なぜか。
弟としては内側で嘲って満足していたのが、表に出されては我慢がならないわけで。
段々と対象が金銭であったり、日記であったり、果ては部屋を「破壊」することにシフトしていく。
こじらせちゃうわけですね。
乗り越えられない長男の壁。
この作品では、家族関係に無関心(かつ、身内との仲が悪い)父と、解決の糸口を落胆によって放棄する母も出て来るが、二人では勿論、長男という権威を打ち破ることは出来ない。
この構図が、小説らしくて、好きです。
ラストのかなりの飛躍は、そんな急ハンドル切らんでいいやろ、とも思うけど。
『黒冷水』というタイトルも割と……だけど。
視点が面白かった。 -
Posted by ブクログ
見当たり捜査官。
最近、この設定が登場する作品をよくみかける。
見当たり捜査官は通常の捜査をしない。数百人という指名手配犯の顔を記憶し、街を歩きながら、手配犯を見つけ逮捕する。その繰り返しだ。
だから、コツコツ調べ、推理し、犯人を追い詰めるというヒリヒリするような緊迫感や、スピード感はない。
雑踏の中で、ピンと来た顔を見つけたら、追跡し「声かけ」をする。そうやって逮捕すればそれで終わり。それだけが結果であり、存在する意義。
それは、ある種、初動捜査が終わったら所轄へ引き渡す、機捜のようなものか。
白戸を中心とする捜査官3人の見当たり捜査チーム。
一人も見つけられない日が数カ月も続くと、ストレスや崩れてゆく自信、そういった苦悩をかかえ、毎日ただただ、仕事をこなす。
なかなか細部まで描き込まれ、これまで触れたことのない世界が興味深い。
そうした業務の中で、白戸は、かつて同僚であり、ある事件で死んだとされている男の顔をみつけてしまう。幽霊と出会った瞬間から、公安、中国犯罪集団などが複雑にからみあう陰謀に巻き込まれていく。
読みごたえのある作品だ。