羽田圭介のレビュー一覧
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身体と幸せはつながっているらい
健斗は失業中。花粉症もひどくて心の状態も最悪だった彼はふとしたことで自分の体を追い込むことから心にエネルギーがみなぎる経験をする。体についての知識を持ち、鍛えていくことが人生を切り開くことに繋がる、という作者の信念が伝わってくる。
でもどんなに健斗がこの先身体を鍛えていっても、いつの日か身体は祖父の様に老いるだろう。身体の調子が悪い、何も人の役にたてない、そんな老人期の長い時間をどうやって耐えていくべきなのだろう。
家族の介護って大変だ。健人も、健人の祖父にに毒づきながらも健人の母も、結局やることすごくよくやっ
「確かに卑屈はひとをイラつかせる」みたいな言葉がどこかにあったな。慰められることを期待した自虐の言葉って面倒臭いし。
ちなみに健斗が祖父の性欲を目撃して強い嫌悪感を抱くところには反発を覚えた。健斗自身が性欲の重要性を認識して、性欲全開で生きていながら、これはおかしいと思った。性は人間の一番深い、一番長く続くエネルギーの源ではないか。健斗も老人の性にたいする日本人的な偏見に強く囚われている。
健斗の亜美との付き合いには心の交流の描写がない。会った。ホテルに直行した。食事はどんなところでした等々。これでは亜美に遠ざけられても仕方がない。
性とは、性と人格の絡みとは、老人の生きがいを性や対人関係から模索していけないだろうか、そんな色々な事を考えさせてくれる本だった。 -
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ネタバレ信頼できない語り手ではあると察していたが、かなり特殊な構成をしていて純粋に驚いた やや不自然な会話や稚拙な表現に関しても、伏線に捉えられるように作っており面白い
私自身はこういう性的表現が露骨に使われる文章はあまり好きでは無いが、高校生と中学生という多感な思春期の不仲な兄弟感をリアルに描いているように感じた
構成上か(または作者自身が17歳だったためか←関係ないけど作者の性別や年齢で文章どうこう言うのは失礼な気もするし、思い込みも多く発生すると思うのでよくないと思う)、やや不快に感じる部分も多く存在した一方で、大きなオチはあるがカタルシスを感じさせるものではなくやや微妙な気持ちは残る
テニス部に所属する兄には、中学生ながら明瞭で結末に大きく関わる後輩が存在するがその後輩がやや特殊な立ち位置でこの人物に関しては何か作為を感じるが1回目の通読では読み切れなかった そのためもう一度読んでみようと思う
そう思うほどには中々悪くない作品だったということ -
Posted by ブクログ
ネタバレ⚫︎受け取ったメッセージ
とにかくただただ「走ル」こと自体を書くことに
テーマを置いている作品
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
なんとなく授業をさぼって国道4号線を北に走り始めただけだった…やがて僕の自転車は、福島を越え、翌日は山形、そして秋田、青森へと走り続ける。彼女、友人、両親には嘘のメールを送りながら、高2の僕の旅はどこまで続く?21世紀日本版『オン・ザ・ロード』と激賞された、文藝賞作家の話題作。
⚫︎感想
ロードノベルといって想像するのは、旅先でのあれやこれやが走る者の心情に変化をもたらし、成長する的な先入観だが、これは全く違う。ほぼ無計画に、無目的に、嘘をつきながらひたすらに走る。旅先でも、特にこれといった何かに出会うわけでもやるわけでもない。走ること自体が目的。だから、繰り返されるのは、自転車の描写、どの道を通って…という経路、メールのやり取り、自分の身体の様子、自分の心の動きを書くけど、風呂に入りたい、ご飯を食べたいとか、内面ではなく本能的な欲の描写でほぼ構成されている。それがかえって新しい。
羽田さんの作品は3冊目だけど、いい意味でねっとりしたものが通底しているように私は思う。
解説もおもしろかった。平行派と垂直派の話。羽田さんの小説はY軸的であるという指摘。 -
Posted by ブクログ
◆心に刺さったワード◆
⚫一日の中に締切があると、規則正しく進む
⚫中途半端な人こそ自分を天才に見せようとして横柄になる
⚫仕事してる間は、自分の内側のことで悩まなくていい。それに、金銭が発生すると「社会に必要とされてる」と思えて、自分のなかの欠落感が埋まった気になる。その「必要とされてる感」を失う怖さ。今仕事がなくなったときに、その欠落とうまく付き合う 技術や、人間 力への自信がない。そこから来る 強迫観念かもしれませんね。
⚫強い心は強い肉体に宿る
◆読んでみたい本◆
⚫変な恋愛の短編を集めたアンソロジー 岸本佐知子 『恋愛小説集』
⚫肩の力を抜きたい人 森鷗外 高瀬舟
⚫世界の実相をつかみたい人 古井由吉 辻
⚫次から次に変人が出てくる 村上龍 ライン -
Posted by ブクログ
「ブラック企業」という言葉が話題になる5年前に刊行されていたことに驚き。
当時あまり売れなかったというのは、時代の先を行きすぎてたのかもしれませんね。
今ならば、すっと入ってくるというか、良くも悪くもブラック企業が想像しやすい。
ブラック企業の中にも日常があって、生活があって、なんかしんどくなりました。
トイレが憩いの場所というのは、多かれ少なかれあるのではないかなと。
会社員だと、一人きりになれる場所って、なかなか作れなかったりしますよね。
ただ、ここまでしっかりトイレ時間を描いてる作品はないんじゃないかなと。
かなりリアルなので、お食事に影響しない時間に読むことをおすすめします。
解説は、古市憲寿さんです。
羽田さんの他の作品にも触れられていて読んでみたくなりました。