あらすじ
僕が入社したのは、悪徳ブラック企業!? 過酷な労働と精神的負担で営業部員は半年で辞めていく中、事務職の僕は無難に仕事をこなし二年目に。唯一の楽しみは、会社や駅のトイレでくつろぐこと。素性不明なトイレ常連メンバーたちと静かな個室争奪戦を毎日繰り広げる。しかし、ある電話がきっかけで、日常が一気に崩れ出す。限界に達した僕は、退職を決意するが……。芥川賞作家の話題作。
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Posted by ブクログ
中編と短編の2作品からなる。
表題で中編の御不浄バトルの主な舞台は、トイレの個室と職場。
主人公は、仕事に向かう途中で必ずトイレの個室で大便をすることが、
日常となっていた。
職場は、新卒で就職したが、とんでもない悪徳企業であった。
大卒ということもあって、悪徳業務ではない事務として採用されていた。
しかし、その悪徳業務に携わらざるを得なくなり、仕事を辞めるために翻弄する。
短編のほうは、ヤング男性向けファッション雑誌を出版している零細出版社に
務める社員と部下やバイトとのやり取りを描いた作品。
御不浄バトルでのトイレシーンがどうしても受け入れられない人も
いるかもしれないし、受け入れられればギャグ要素もあり、楽しく
読めるのではないでしょうか。主人公がトイレでいろいろと画策し、
ストレスを発散し、当時からあった言葉か定かではないですが、トイレ飯を
行ったりと、ある意味ぶっ飛んでいて不快な気持ちもありつつ、慣れれば
楽しめる場面として読めた。
Posted by ブクログ
トイレ(うんこ)という、表立って取り上げられることが少ない、しかしながら人々にとって極めて身近なテーマがタイトルになっている本作では、生活リズムの中で多くの人がすれちがう「公共の場所にあるトイレ」がキーポイントになっています。
会話をするわけでもなく、どこの誰か、何をしている日とかも知らないけれど、毎朝のトイレで顔を合わせたり、隣り合う個室で時間を共有する他人との時間や、職場のトイレでの一幕など、物語の要所要所ででてくるトイレでの過ごし方の描写は、生々しくリアルです。
ブラック企業で働く主人公を描いた「御不浄バトル」とそのスピンオフ作品である「荒野のサクセス」が収録されています。
たしかに、「きっとこういう人はいるよね」という感想は抱きますが、読み終えて爽快かと問われると少し悩みます。
社会で(あるいは会社で)自分の仕事に自信が持てない若手の悩みを描いているようにも感じましたし、作者の「らしさ」が良く出ている作品であるようにも感じました。
Posted by ブクログ
羽田さん2作目だけど、「あっここで終わるんだ...」ってなるのが結構好きだなぁ。あと、第3者視点が除かれていて、徹底的に主人公からの目線で世界観が成り立っているから、自分の中にも主人公の黒い部分が伝染してきそうでぞわぞわする.....。
私にとってもトイレの空間は特別なものなので、トイレでいろいろ考えちゃうの分かるな〜。
解説古市さんだったんだ!2人の関係性が気になる..。
Posted by ブクログ
それなりにテンポよく読めて面白かったんだけどトイレで飯食う描写はちょっと受けつけられなかった。
しかもウンコした後じゃ臭いが残ってて飯どころじゃないだろ。まぁトイレが落ち着ける空間だってのは共感できるんだけど。
話全体としては面白かったんだけどトイレに拘らなくても良かったんじゃないかと思った。
Posted by ブクログ
初めて買った羽田氏の本。
会社内でのこと、それを御不浄という場所を絡めて上手く描かれている、という印象。
すごく読みやすい。
他の作品もぜひ読みたい。
Posted by ブクログ
◎静かに繰り広げられるバトルが日本の縮図。
御不浄=トイレ。
トイレの中で行われるバトルを中心に据え、主人公渡辺が過ごす街が描かれている。
渡辺が勤めるのは電信教育センターという、教材を高く買わせるいわば悪徳ブラック企業。営業職ではなく事務職として新卒で入社した。
とにかく、トイレで過ごせるあの時間が何とも言えないのだ。とはいえ、朝のトイレは戦争だ。ちょっと遅ければすぐ他の人が使ってしまう。
会社のトイレも天国のように感じる。横で聞いていると息の詰まるような、電話での指導。その裏には何人の母親たちが泣かされてきただろう。耐え切れず逃げ込む先はトイレだ。
それでも嫌になった渡辺は、元同僚(だったらしい)山城に声をかけられ、後輩の直樹からもアドバイスもあり会社都合で辞められるような証拠を集め始める。すると・・・
渡辺の抱える悩みはまさに日本の縮図。思わず入った会社がブラック、同僚ともまともに話せないからトイレにこもる。古市氏も解説で言っているように便所飯という言葉が近年流行っていることを先駆けで書いたような小説だ。
そういう意味では社会の動きに敏感な羽田氏がまっすぐにぶつけた小説だと感じる。(羽田氏の特徴でもある気がするが)出てくる性描写がやや生々しく、でも若者らしいと言えばらしい感覚がある。
Posted by ブクログ
トイレでの描写は面白い。高い教材を売りつける悪徳企業の経理が会社を会社都合で辞めるために証拠作りを行う。色々と伏線的なものがあり、同じく掲載されている短編で伏線回収かと思ったが、特にそれもなく期待はずれ?
Posted by ブクログ
羽田圭介、初読み。
文章も読みやすくて面白かった。
えっ、これで終わり?って感じで、話がプツッと途切れるように終わるところもなんだか不思議なあと味を残して良かった。
ただ便所飯だけは、共感できず・・・でした。
Posted by ブクログ
トイレを舞台にしているというのが、斬新で面白かったです。ただ単にトイレの争奪戦だけでなく、休息の場としてのトイレの面も見せてくれて新鮮でした。トイレという一瞬の場でも個々の人の人間性が垣間見えるのが興味深いですね!段々と変態じみたトイレの使い方になっていくのはご愛嬌…ですかね笑
Posted by ブクログ
「ブラック企業」という言葉が話題になる5年前に刊行されていたことに驚き。
当時あまり売れなかったというのは、時代の先を行きすぎてたのかもしれませんね。
今ならば、すっと入ってくるというか、良くも悪くもブラック企業が想像しやすい。
ブラック企業の中にも日常があって、生活があって、なんかしんどくなりました。
トイレが憩いの場所というのは、多かれ少なかれあるのではないかなと。
会社員だと、一人きりになれる場所って、なかなか作れなかったりしますよね。
ただ、ここまでしっかりトイレ時間を描いてる作品はないんじゃないかなと。
かなりリアルなので、お食事に影響しない時間に読むことをおすすめします。
解説は、古市憲寿さんです。
羽田さんの他の作品にも触れられていて読んでみたくなりました。
Posted by ブクログ
【御不浄バトル】
不安から逃れるように、壁に守られる僅かな空間をいかに死守するか。
隣に誰かいるという、スリル。
待ってる人がいるという焦燥感。
そんな狭い空間と、会社のストレスが交じり合う。
最早、性癖。
周りの異常性を訴える人間は、既に異常なのだ。
【荒野のサクセス】
近くにいたトイレのあいつが、こんなやつだったなんて。
なんか、読んでると悲しい。
果たしてサクセスなんだろうか。
空回りの虚しさが、寒くさせる。
Posted by ブクログ
けっこう感想が二分してるけど、私は好きだった。
特に御不浄バトルの話が、主人公にやや共感できる。初めての社会生活と、今までの自分の人格とで、どこか矛盾や鬱屈とした精神抱えるよなあって理解できる。
私が主人公と同い年くらいなのもあるんだろうけど、2010年よりも今の方が主人公の性質を理解できる人が増えてる気がするな。
解説でも言われていたけど、ブラック企業の社会問題も大きく声が上がる3年前にこの小説が刊行されたとのこと。たぶん早すぎたんじゃないかな。今の若者の方が絶対に共感できると思う。
あと、いかんせんトイレの描写が多くて、しかもやたら詳細に書いてくれている。小説にこういったものが描かれることに品がないとは考えてなかったな。逆に品のある小説ってのもあるんかよく分からないけど、要はみんな生理的に嫌なんだな。人のトイレが。
なんかトレインスポッティングを思い出しました。
あとトイレでダッチワイフとかのイカれた雰囲気が、頽廃的で良かった。主人公は悪徳な会社を、自分の社会保障のためにも狡猾に辞めたい。そのメンタリティとイカれた行動があっているような気がした。
Posted by ブクログ
ブラック会社に勤める主人公の安らぎ場所はトイレ。
トイレの順番争奪戦かと思ったのですが
普通に主人公がトイレに入って仕事して…な
トイレの描写が多い小説でした。
こんな会社に勤めたくないな、というのが本音ですが
確かに、仕事をやめると大変です。
躊躇していると、大変な事になったりするわけですが。
職場でもトイレ、と思っていたら、そこでの食事。
驚いていれば、芳香剤を勝手に変えたり
色々持込んでみたり、とすごい方向に。
会社に便秘用のお茶までふるまっているのが
用意周到というか何というか。
無事、仕事辞められる事を願います。
Posted by ブクログ
羽田圭介の小説が読んでみたくて。
感想としては…なんだろう??ブラック企業に新卒で入ってしまった男性の苦悩(社会問題)をテーマとしている点は良かったが、それが度々出てくるトイレシーンと自分の中でうまくマッチしなかった。
書きっぱなしで終わったような印象なので、特に心に響かなかった。彼の他の作品に期待!
Posted by ブクログ
冒頭シーンはタイトル通り、御不浄すなわちトイレに走るシーンから。
教育機関専門の広告代理店だと聞かされて主人公の渡辺丈志が入社したのは、こども向けのペランペランの教材を150万円を超える金額で売りつけるブラック企業。誰もが半年と持たないなか、なぜか丈志は2年目に突入。同社としては前代未聞の大卒で経理部に回されたおかげで、嘘八百並べて教材を売りつける営業職に就かなくて済んだからだ。言い訳禁止、結果至上主義の会社にあって、丈志が憩いをおぼえるのはもはやトイレの個室の中のみ。
丈志のトイレ内での挙動を事細かに聞かされます。面白いっちゃ面白いけど、下ネタで笑いを取るのは卑怯といえば卑怯。う○こネタだらけの上に、個室内で風船タイプのダッチワイフを取り出し、ヤっちゃう様子も。他のレビューサイトでやたら評価が高いのですが、アンマリな話じゃないかと私は思います。
いちばん気になったのは、トイレよりも何よりも、「ガンズアンドローゼズあるある」なんですけど。いったいどんなあるあるが出てくるのか、ものすごく知りたい。
Posted by ブクログ
『御不浄バトル』はわりと好きかも、ストーリーの中でトイレのシーンが必ずしも必要かといえばいらないような・・・しかし、題名が『御不浄・・・』ってことは著者はトイレ描写がこの作品の肝であるといってるわけである。このトイレシーンの好き嫌いが評価の分かれ目なのかな。
Posted by ブクログ
初めての羽田さん本。
ご飯食べながら読む本ではないです。
が、トイレにこだわる感じは凄く伝わってきました。
ブラック会社とかトイレとか小賢しさとか。なんか、『解る』感じの話でした。
スッキリはしないですが面白いとは思いました。
男の子が書いた本だなあ、と思いました。
Posted by ブクログ
悪質な教育教材販売のブラック会社に勤めている主人公が、何とか会社都合での辞職にこぎつけようと、裏で奮闘する話。
不正の証拠を集めたりと動いていきますが、正義感からという感じがなく、あくまで自分の為というのが逆に清々しい。
タイトルの通り、ブラック会社の中で疲弊した主人公がトイレに癒しを求め拠点とする為、異様にトイレの中のシーンが多い。
人と離れて遮断された空間が落ち着くというのはわかる気がするが、ご飯を食べるシーンは少し引いてしまった…。
うーん、読んでいて気持ちが良くはないが、話の筋はそこそこ面白かった。
Posted by ブクログ
又吉さんと一緒に芥川賞を受賞した作家さん、ということで名前を覚えて、テレビでたくさんおみかけするようになり、そのおもしろさにひかれて「本が読んでみたい!」と購入。
こんな感じの文章書くんだ~と新鮮でした。
しかしトイレ。
ビロウな話で恐縮ですが、私は自宅か実家、または旅行に行ってたらそこのホテルとかでしか大きい方はしません。
学校とか会社でもしたことない。
なので駅の(この場合駅ビルのだけど)トイレでなんてもってのほか。
朝トイレに並んでる人って本当にこんなにたくさんいるの? なんで家でしてこない!? と不思議でした。
この主人公はトイレでご飯も食べてる。
絶対無理。
アメとかガムとかだって微妙なのに。
こんな私なので、話は割とおもしろかったのですが、トイレの描写が受け付けませんでした……。