あらすじ
なんとなく授業をさぼって国道4号線を北に走り始めただけだった…やがて僕の自転車は、福島を越え、翌日は山形、そして秋田、青森へと走り続ける。彼女、友人、両親には嘘のメールを送りながら、高2の僕の旅はどこまで続く?21世紀日本版『オン・ザ・ロード』と激賞された、文藝賞作家の話題作。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
羽田圭介の出版作品として3作目にあたる作品。
東京八王子に住む、高校二年生で、陸上部に長距離ランナーとして所属する
本田は、小学生のころにもらって放置していたイタリア・ビアンキ製の
ロードレーサー(競技用自転車)を見つけ、そのままでは乗れないので自力で整備し、
次の日の、学校での朝練に向けて自宅の八王子から朝練が行われている皇居まで
数時間かけて向かった。そこで、朝練終わりになんやかんやあって、
自転車にて北上を始めることにる・・・。
自転車ロードムービー的な作品でありながら、主人公・本田の心情と友人との
携帯メールでのやり取りなど、どちらかと言えば、主人公・本田のストイックな
アスリート的な気質が相まって、どこまでも北上していってしまいます。
そんな本田の行動を追従し、読者も何となく一緒に無心に自転車に乗って
北上している感覚を味わえるかもしれません。
友人に彼女に学校や部活のことを考えながらも、北上を続けてしまう心理描写が
自転車で旅をするぞ!!というロードムービー的な作品とは一味も二味もちがう
作品になっているので、読んでいて、応援したくなる感情と、早く帰れよ、と
促したくなる感情とで、先どうなる、と純文学のはずなのにエンタメ的な
感覚で読んでしまっている自分がいました(笑)。
Posted by ブクログ
グーグルマップを片手に、道を目で追いながら読んでいきました。実在する道路や市町村名が出てくる度に新たな発見があり面白い読書体験ができた。
高校生男子の若さ故の冒険心、一方でどこかで現実から道を外れることへの恐れ、等大人になりきれない気持ちがリアルに描かれていると思った。自分を取り巻く日常世界の狭さを、長距離の自転車旅を描く中で対比しているのも面白かった。
Posted by ブクログ
自分とBianchiとの出会い。
高校2年は誰でも旅に出たくなる時期。
-何かから逃げるように家を飛び出した。
当時、紹介してくれた親友に感謝。
Posted by ブクログ
どす黒かったり、ザワザワするような読後感であったりすることの多い作家という印象ですが、本作は羽田圭介の小説にしては、「素直」な作品であるという印象を受けました。
文庫解説にもありましたが、「自転車で旅をしているのに、主人公が成長していない」ということが、そして旅のなかで触れる風景や自転車の挙動などの一つひとつの描写が緻密であることが、作品のリアリティを支えています。
ある意味、「旅をすることで主人公が様々な経験をして成長する」ということは「ファンタジー」なのかもしれません。
Posted by ブクログ
青春だなぁ。って、僕の高校生の頃は、こんなことする度胸も体力もなかったけれど。でも、通学するのに駅まで自転車で行こうとして、思い立って学校まで直接、1時間以上かけて行ってみたことはあったなあ。男子はとかく、自転車で遠くに行きたがる。無計画にどこまで行けるか、やってみたくなる。
Posted by ブクログ
物置にあった古いロードレーサーを引っ張り出した高校2年生の陸上部員がひょんなことから学校サボってロードレーサーで北へ走り出す。福島から山形、日本海に抜けて秋田、青森へ。
高校生が無謀な旅をするロードムービー的な小説だが、旅先で人とふれあうわけでもなく、もっぱら友人とのメールや携帯での通話でのやりとりばかりというのが今の時代っぽいなと感じた。
自転車の走行シーンの描写は疾走感があってとてもよかった。
Posted by ブクログ
八王子に住む高校2年生の本田は陸上部の練習に自転車で向かう。そのまま北に走り続けて、ついに青森へ。
学校もさぼり、彼女や友達にも風邪と嘘をつきながら、ただ走り続けていってしまう。観光するわけでもなく、ただ走り、走っていることに反応がよかった小学校の時の知り合いにメールを送り、彼女には反応が悪いからと嘘を突き通す。仲間たちとのくだらない会話も嫌いではないんだろうけど、行ったことのないところに気の赴くまま行ってしまう。考え方や会話に知性の高さも感じるが、なぜか帰る方向には進めない。
やっていることがよくわからないけど、これが高校生なんだろう。
Posted by ブクログ
⚫︎受け取ったメッセージ
とにかくただただ「走ル」こと自体を書くことに
テーマを置いている作品
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
なんとなく授業をさぼって国道4号線を北に走り始めただけだった…やがて僕の自転車は、福島を越え、翌日は山形、そして秋田、青森へと走り続ける。彼女、友人、両親には嘘のメールを送りながら、高2の僕の旅はどこまで続く?21世紀日本版『オン・ザ・ロード』と激賞された、文藝賞作家の話題作。
⚫︎感想
ロードノベルといって想像するのは、旅先でのあれやこれやが走る者の心情に変化をもたらし、成長する的な先入観だが、これは全く違う。ほぼ無計画に、無目的に、嘘をつきながらひたすらに走る。旅先でも、特にこれといった何かに出会うわけでもやるわけでもない。走ること自体が目的。だから、繰り返されるのは、自転車の描写、どの道を通って…という経路、メールのやり取り、自分の身体の様子、自分の心の動きを書くけど、風呂に入りたい、ご飯を食べたいとか、内面ではなく本能的な欲の描写でほぼ構成されている。それがかえって新しい。
羽田さんの作品は3冊目だけど、いい意味でねっとりしたものが通底しているように私は思う。
解説もおもしろかった。平行派と垂直派の話。羽田さんの小説はY軸的であるという指摘。
Posted by ブクログ
初めて自転車を買ってもらった日、これに乗ればどこまででも行けるような気になった。いまでも、一旦サドルに跨ると中々降りられない。本田君の気持ちがよく分かる。(*^_^*)
Posted by ブクログ
自転車好きにはとてもワクワクする話だと思う。
実際高校生がいきなり朝練をぬけた勢いだけで自転車で東京から盛岡市まで野宿しながら走り抜けていく、というのは爽快なストーリーである。
ただオチとか盛り上がりとかはなく、ただ記録を辿っていくだけのストーリー展開なので盛り上がりを求める人には「え、ここで終わり?」となる終わり方かもしれない。
アッサリ失恋ぽいものをしてそのまま話がすぐ完結しちゃうのもなんだか学生らしい青臭さもあり良いがやっぱりスッキリとはしない。
瀬名との関係性にモヤモヤを感じたままに、その後の2人が上手くいくとも思えぬまま話があっさり終わってしまったのがなんだか残念。
Posted by ブクログ
夏休み明けの試験が終わり、高校2年生の僕は、自宅の物置に忘れられた自転車を見つける。ロードレース用の自転車で、地面を感じながら4時間かけて学校へ向かった僕は、陸上部の朝練の後、突然足の向くまま自転車で北上を始める。
何処かを目指す訳でもなく、友人達とメール交わしながら淡々と自転車を漕ぎ続ける僕の行先は。
今日という一日は、いつ始まったのだろう。陽が昇るのがゆっくりすぎて「今日」というくさびをいつ打ってよいのかわからない。
山路は厳しく、夜道は暗い。
公園で寝泊まりして、時に暴風雨の中走る。
高校生男子の悶々と抱えているものをぶつけるような、何処にぶつけるか迷っているような、息遣いがせまってくる。
コンビニ弁当と携帯での友人とのやりとり。
場所は家や学校から離れていて、自転車旅も非日常なのに、メールのやりとりは自宅での様子と変わりない様子。
そういう世の中になったということをじんわりと感じる。
Posted by ブクログ
ようやく分かってきた。自転車の小説はつまらない。サクリファイスのシリーズや石田ゆうすけさんの本は例外なのだと。山岳小説は読み応えがあって面白い作品も多いが自転車の本は本当につまらない。とりあえず買った本だけはしょうがないから読むけどもうやめよう。
Posted by ブクログ
高校をなんとなくサボって、友人に嘘を重ねて、昔の同窓生の女子に妄想を抱きながら、ただひたすらにロードバイクで北へ走る。
正直、人と人との心の交わりも無く淡々と走る描写は退屈だし、本田の適当な嘘やごまかしも読んでいて良い気持ちにはなれない。
でも、これも高校生の頃の、よく分からない孤独や衝動の一つの姿なのかもしれない。
表紙の絵は、この作品の内容をよく表していると思う。
Posted by ブクログ
ささいなきっかけからロードバイクで北上をはじめた少年の話。
なんとなく走りはじめたら止まらなくなり、ゴールがあいまいな走行の様子がとてもリアルで心引き付けられます。
反面、ラストがなんかあっけなくて物足りなかったです。
Posted by ブクログ
【本の内容】
なんとなく授業をさぼって国道4号線を北に走り始めただけだった…やがて僕の自転車は、福島を越え、翌日は山形、そして秋田、青森へと走り続ける。
彼女、友人、両親には嘘のメールを送りながら、高2の僕の旅はどこまで続く?
21世紀日本版『オン・ザ・ロード』と激賞された、文藝賞作家の話題作。
[ 目次 ]
[ POP ]
体力はあるけれど、まだ自由はない高校生の彼は、ある日ふとスポーツタイプの自転車を整備して都心にある学校へ。
何気なく秋葉原へ抜けると、北上を始めた。
速くなくては自分を許せないなど、長距離の自転車に乗り始めた人の感じることが巧みに描かれている。
書かれる必然性のある強烈な作品を書き続ける著者による、少し爽やかな小説。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]