貴志祐介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレフリからオチまでの大まかなあらすじは面白かった。
保険制度はもちろん、心理学も絡めつつ保険金殺人を掘り下げる内容は個人的に新鮮だった。
それぞれの肖像の表現が秀逸で、匂い立つような不気味さがぷんぷん伝わってきた。
が、バーボン片手にいい時計キラーんな金石とのやりとりが長すぎて、中弛みが半端じゃなかった。
中盤から後半に差し掛かるにつれ、さすがにこの状況は恋人の恵ちゃんにも危険が及ぶのでは!?大丈夫なのか?!と、違った意味でこちらがハラハラ。逆によく助けられたね。もう少し外堀埋めつつ、心理戦楽しませてほしかったな。
全体的にゾクゾクするというより、それで大丈夫かー?!っていうツッコミと、言わんこっちゃない!っていう崩れ落ちがありました。 -
Posted by ブクログ
防犯探偵シリーズの第4弾です。
腰を据えて、頭のギアを一段上げないと、置いていかれてしまうぞと思いました。
密室やトリックの組み立ては相変わらず精密で、理屈がきれいに噛み合った瞬間の気持ちよさはさすがです。
キャラクターも安定していて、感情を排した視線が物語全体を冷やしてくれる分、事件そのものに集中できます。
反面、その精密さゆえに人物の体温が遠く、感情で転がされるというより“解く作業”に寄る瞬間もあります。
2編とも面白いですが、個人的には「ゆるやかな自殺」の方が切れ味がよく、後味の悪さまで含めて効きました。
好き嫌いは分かれますが、推理好きの脳を確実に起こしてくる一冊でした。 -
Posted by ブクログ
嵐の夜に起きた資産家の一酸化炭素中毒死と、容疑者とされた甥への不当な調べ。警察の圧力によって無理やり調書にサインさせられた「強要された自白」から始まる事件は、15年前の不当捜査や世間の冷ややかな目、そして「不幸の連鎖」が複雑に絡み合う壮大なドラマの幕開けだった。
取調室で「やっていない罪を認めてしまう」過程の恐ろしさや、長期間拘束された際、普段から抑圧に慣れている人ほど耐性があり、自由奔放な精神の持ち主ほど絶望したときに脆いという人間心理の考察には深く納得させられた。
そして、法廷での英之と石川検事の遣り取り。一見攻め立てているはずの検事の方が、実は英之の緻密に組み立てた「台本」の上で踊らされているのではないかという疑念がじわじわと湧いてくる面白さがあった。
しかし、そうした設定や心理戦の構図の面白さは理解できるものの、実際に文章を読み解きながら進んでいく旅はとにかく長かった。ストーリーに起承転結の起伏が少なく全体的に平板に感じられ、スラスラと楽しむというよりは「途中で投げ出さずに最後まで読まねば」という半ば義務感でページをめくっていたのが正直なところだ。
心理戦の綿密さやテーマの深さは分かるものの、エンタメとしてのテンポ感や爽快感を求めるにはかなりの根気が要る。真実を追う道中が非常に長く感じられ、なんとか最後まで読み切ったという達成感だけが残る読書体験となった。 -
Posted by ブクログ
…合わないな、合わないな、と思いつつ、やっぱり最後まで読み通した、下巻!なんだかんだじっくり味わった。もう、バケネズミらやバケネコ?やら、何とかもどきやら、キモチワルイ動物は勘弁…!と思いながら。いや、それどころじゃない、最終巻は、悪鬼が登場し、いよいよ無残なジェノサイドの描写のオンパレード。こ、こういうところがぁ、ちょっと苦手なんだよ、、、と思いつつ読み通した!
物語のたたみかた、しかけ、さすが構想30年。結構好きでした!風呂敷広げたが最後畳みきれなかったりしないかな?と危惧していたが、杞憂でした!それが読めただけでも読み通した甲斐があったよぉぉ。
最後はやっぱり、差別問題だよね。そんな予感はした。 -
Posted by ブクログ
おすすめの大長編SFという情報として知った本書。文庫の上中下を読み通した今結論づけると、私にはやや合わなかったかな。ただ、設定はそそられるものはある。構想に30年?!かけたというのも納得のワールド。
なにがあわなかったかというと、とにかくキモチワルイ架空の生き物がたくさん出てくるところと、主人公と仲間たちが、何かと不注意や謎の冒険心で危険に自ら突っ込んでいっては、危険に追い立てられるというワンパターンで物語が進むところ。もともとそういう、ゾワッとや、ハラハラ、がちょっと苦手で…。
ドボルザークの新世界と、遠き山に日は落ちて…とノスタルジックな和の夕方を想起させる世界観と、第三次世界大戦でも起きたのか?!という退廃を気取るような近未来感のなかに育つ子供たちという設定が、カズオ・イシグロの私を離さないで、に近くて、冒頭はかなりワクワクした。 -
Posted by ブクログ
なんだろう。面白かったんだけど、期待していたのとはちょっと違った。
蓮実の人の心を見透かして、いかように操る感じもなかったし、それこそすごいって蓮見に感心を抱くところもなかったんじゃないかな。
物語の展開上どうしようもないのだろうけど、本当に小さなほつれからどんどん穴が大きくなるにしたがって、蓮実の繊細さは消えて、大雑把に、半ばやっつけに近くなって、途中からは単に猟銃をぶっ放して殺戮を繰り返すだけ。趣向も工夫もあったもんじゃない。非常に単調になってしまったのはとても残念でならない。
上巻が素晴らしかっただけに、そのテイストは続けてほしかったなという素人の感想です。
同時に、映画も観てみました。
やっぱり大きく省略されていたけど、ぶっ飛んでいる感は本と同じように感じた。でも、2時間でまとめるためには仕方のないこととしても、あれじゃあ小説を読んでないと、物語の背景までは分からないんじゃないかな。
映画の最後、「FIN」ではなくて「to be continued 」だったのには、監督の小説の続編を望む作者への強い要望を感じました。