貴志祐介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
4話の短編集。
1話目は、海の中の生物になった何かなのだが、
何処にいて何が起こっているのかわからない。
わからない中で別の男女の海辺での世界。
この二つが交わり、壮大な新しい世界が生まれる。
2話目は、通常の神ではなく、マガツ神との戦い。
地球にとって人間は害であり、経済の発展が
宇宙全域に広がり、その惑星に対応する姿に
人間は変化するが、資源の無い惑星では、
生きるのもままならず、宗教は人類を滅ぼす信仰
となり、危険な宗教が広がる惑星は破壊される。
管理される世界では、宗教は危険なもの。
3話めは、過去と未来で不貞を働いた者への罰
罰は選択を間違えなければ
死を免れるはずだったが…。
4作目は、特権階級の者だけが安全なドームに暮らし、スラムの人間たちは、チミドロという菌に侵され、短い生涯を送り、赤い雨に晒される。
どれも、世界観が凡人では思いつかない視点で、
作家の知識の深さがあるからこその作品。
専門的な言葉も多いので、
読み難い部分があるかもしれない。 -
Posted by ブクログ
東西南北の選択で誰も情報を選択しようとしないことに驚いたが、本書の初版が1999年ということで得心がいった気がする。昔は企業の経営資源と言えば人、物、金だったと聞くが現代ではここに情報が加えられている。こうした背景を色んな人やメディアが吹聴し、情報化社会となった今では平凡な一般人でさえ情報の重要性を認識している。情報の有用性の地位向上を目の当たりにした気分になった。
主人公達はその情報という圧倒的なアドバンテージを持ってゲームに臨むことになるが、グールの存在がそれを阻む。グールのからくりには驚いたが成り立ちも振る舞いも本当に恐ろしいものだった。だが彼らもまた被害者という側面を持っていることや、藍の本心についてもはっきりと明かされなかったことを踏まえると、本書の内容がゲームの中身に終始して外側の描写がされなかったことを残念に思う。報奨500万円は安すぎるよ…悪趣味でケチだなあ -
Posted by ブクログ
『黒い家』『クリムゾンの迷宮』『天使の囀り』……。
昔は新刊が出るたびに夢中で読んでいた貴志祐介。
そんな著者の久しぶりの長編ということで、かなり期待して読み始めた。
物語は戦国時代から続く名家・福森家で起きた一家惨殺事件から始まる。
死体はいずれも人間離れした凄惨な方法で破壊されており、屋敷には儀式のような痕跡が残されていた。
調査に乗り出すのは福森家と親戚関係にある売れないYouTuber中村亮太と、霊能者の賀茂禮子。
福森家が集めてきた名宝・骨董の数々は、実は恐るべき「呪物」であり、そのどれかが事件の原因ではないかという。
この作品の面白いところは、屋敷に仕掛けられた呪術トラップや呪物を一つずつ解除していくところ。
「この呪物には先祖代々の刀で対抗」
「この呪いには守護の遺影を配置」
といった具合に、まるで呪物カードゲームのように対処していく。
恐怖なのにどこかゲーム感覚で読めるのが面白い。デュエルしようぜ!
また呪物にまつわる逸話もなかなか良くて、
「この家の玄関の三和土は人間の血を混ぜて作られている」
「この入れ物は首桶だった」
など、ホラー好きならニヤリとする話が次々出てくる。
終盤では悪霊に取り憑かれた死体と主人公が対峙するのだが、
主人公が目印としてつけた鈴の音が暗闇の中でだんだん近づいてくる場面など、
「やっぱり上手いな」と思わせる恐怖描写も健在。
ただし気になる点もいくつか。
まず主人公をYouTuberにした理由があまり活きていない。
動画や視聴者を使った展開を期待していたので、少しもったいない。
そして後半。
前半のテンポの良さに比べると、急に話が冗長になる。
霊能者の賀茂禮子が福森家を出禁になるため、
主人公が電話で状況を説明しながら指示を仰ぐ展開が続くのだが、
なぜか主人公がその指示通りに動かないことも多く、
「今この人、何してるんだっけ?」
と話が少し迷子になる場面もあった。
とはいえ、呪物バトルというアイデアと恐怖描写はさすがベテラン。
粗はあるものの、久しぶりに貴志祐介の長編ホラーを読んだな、という満足感はある一冊だった。