貴志祐介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【2025年92冊目】
社員旅行の翌朝、欲を抱いた男女が散歩に高じた結果――「餓鬼の田」、謎の転移現象に悩まされているという作家が消えた――「フーグ」、絶唱の秘密を探す道楽家が知る真実――「白鳥の歌」、夢が叶うかもしくは死ぬか、ロシアンルーレット式――「こっくりさん」。4つの不可思議な短編集。
ある種のネタバレかもしれませんが、貴志祐介さんの作品でかつ角川ホラー文庫ということから、まあ救いのある話たちではありません笑 そこまでの絶望でもないかもしれませんが、ハッピーエンドではないという感じでしょうか。
「餓鬼の田」は気の毒に…って感じでしたね。「フーグ」は作中作もあって、展開がどうなるか読めずハラハラした結果、綺麗なバッドエンドだったのが良かったです。いや、全部バッドではあるんですけど。「白鳥の歌」は登場人物が絶望への期待をめちゃくちゃ上げてきたので逆に「そんなもんか」という感じでした。「こっくりさん」はなかなか新しい切り口ですね。闇のこっくりさんて、こっくりさんに光も何もないだろ、と思ってちょっと笑ってしまいました。
綺麗な絶望を味わいたいけど、そこまで精神的なダメージは受けたくない方におすすめの作品です。 -
Posted by ブクログ
失踪した作家・青山黎明が遺した原稿には、彼が長年悩まされた謎の転移現象の体験が記されていた。霊能者を招き、転移が起きないよう試みていた青山だが、さらなる悪夢に引きずり込まれていく……。(「フーグ」)
貴志祐介さんのホラー短編集。全4編を収録。
なんというか、業が深い話だなと言う感じ。実際前世が関わってくるのは『餓鬼の田』という話だけなのですが、他の話にも現世の不運というだけでは伝えられないような業や柵を感じる気がします。
どの話もじっとりと重く、罪深い。
個人的に好きだったのは『餓鬼の田』。
『白鳥の歌』は、ぜひオーディオマニアの人に感想を聞いてみたい。 -
Posted by ブクログ
貴志祐介『梅雨物語』角川ホラー文庫。
恐らく『秋雨物語』と対を成すのだろう。3編収録のホラー短編集。
『秋雨物語』の感想にも書いたが、貴志祐介と言えば、『黒い家』以外は全てハズレのように思う。それでもたまに手を出してみるのは微かな可能性に賭ける気持ちが僅かながら残っているからだ。
正直に言って、『秋雨物語』ほど酷くはないが、並のレベルの短編集だった。最初の『皐月闇』がまあまあ面白かったくらいだろう。
『皐月闇』。ホラー短編というよりも、サスペンス・ミステリー短編といった方が良いだろう。読んでいるうちに大方の結末の予想はついた。今の時代が良くないのだろう。中学校教師と教え子というだけで、性犯罪の匂いがプンプンして来るのだ。
ある日、自ら命を絶った双子の兄である萩原龍太郎が遺した『皐月闇』という句集を携え、かつての教え子である萩原菜央が元中学校教師で俳人の作田慮男の家を訪れる。
菜央は作田に『皐月闇』という句集に納められた100余りの俳句の解釈を求めて来たのだ。それは沖縄の情景を描いた俳句であり、兄が同級生の女性と婚前旅行で沖縄を訪れた時に詠んだものだと言う。
作田は重要だと思われる12句を選び出し、俳句の背景やその時の状況を読み解いていくと、恐るべき真実が浮び上がって来た。
『ぼくとう奇譚』。これは紛れも無くホラー短編だった。永井荷風の有名な小説に『濹東綺譚』というのがあるが、こちらは『ぼくとう奇譚』であるのだが、どういうことなのかは読んでみると解る。まあまあ恐さは伝わる。
最近、黒い蝶に付きまとわれていた木下美武は、それが過去の因縁による良からぬ呪いのためだと千里眼を持つ行者の加茂日斎に言い当てる。加茂日斎は美武の呪いを解くために部屋を護符で封じ、夢の中の楼閣には近付くなと警告するが、美武は遊廓で蝶のような花魁たちと戯れ、その中の1人の少女に執心する。
『くさびら』。こちらはホラー色のあるサスペンス・ミステリー短編。恐らく真相はそうなんだろうなと推測出来るが、何とも歯切れの悪い結末だ。もっとしっかりと書いてくれという感じだ。
工業デザイナーの杉平進也は、広い庭を埋め尽くす色とりどりのキノコがもたらす幻覚に苦しめられる。目には見えるのに写真には写らず、手でも触れることの出来ないキノコ。
本体価格880円
★★★