貴志祐介のレビュー一覧
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ネタバレ恐怖と謎解きを堪能できる3遍。
「皐月闇」
元教師で俳人である作田慮男の元に、かつての教え子である菜央が訪ねて来る。自死した兄が残した句集を読み解き、兄がなぜ死を選んだのか明らかにして欲しいと言う。作田は認知症なのを自覚しているが依頼を受け、俳句の解釈を進めながら、兄の心情、行動を探っていく。しかし明らかになったのは、驚くべき真実で‥。
一見、優秀な俳人で元教師でもある作田が、実は‥というのがまず驚きで、俳句を通して暴露される過程が面白い。でも俳句の解釈って、難しい!そして、非常に根気のいる方法で復讐しようとしている菜央。強い女性だけど、可哀想でもある。
「ぼくとう奇譚」
昭和初期の銀座。 -
Posted by ブクログ
Audible!!
2000年作品なのに、今聴いても全然古く感じなくて、気づいたら貴志さんの世界にすっかり引き込まれました。
冒頭はホラーっぽい不気味な雰囲気から始まって、奇妙な自殺が続いていくんだけど、その行動には“なぜか自分の嫌いなものをわざわざ選んでしまう”みたいな共通点があって、ゾワッとする。
話が進むにつれて、その恐怖がだんだん形を変えて、サイエンスミステリーっぽくなる感じが面白い。ホラーの怖さと、科学の冷たさが混ざり合ってく感じ。
『我々はみんな死を待ち侘びている
生きている間しか、死ぬ悦びを感じられない』
作中のこのフレーズがやばい思想だけど、妙にわかるような気もして不 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻を読み終わり、さあさあ次は次は!?
と、心踊りながらページをまくっていきました。
下巻では、学園祭の準備のため、学校に宿泊することになっていた2年4組の生徒が大量虐殺される話である。読んでいてハラハラする。猟銃を持った犯人(蓮実先生)が1階から生徒たちがいる3階や4階、屋上へ続く階段へと迫ってくる時には、自分も隠れている生徒になった気持ちで、息が詰まりました。
蓮実先生は綿密に計算し、生徒を確実に殺していく。しかし、その中でも計算外のできごとがいくつも起こるところがこれまた面白い。犯人だけど、殺し終わったあとの蓮実先生のズタボロ加減も現実みがあって良かった。
生徒たちも頭を使い、蓮実 -
Posted by ブクログ
ネタバレ普段は生徒にも同僚の先生にも好かれている蓮実先生。実は、共感性が欠如しており、人を殺すことを何とも思わないモンスターだった…。
私のまわりでも「この人何でもできて、人気もあってすごいなぁ」と思う人が少々いるが、もしかしたら蓮実先生のように、本当の姿ではないのではないかと考えてしまいました。
釣井先生は下巻でバチバチやるのかと思っていたら、上巻ですでにあっけなくやられて意外でした。
心理学に通用し、こういう時はこういう態度をとると相手が喜ぶ、怒るなど熟知しており、それを巧みに操り、自分に有利になるように生活する。そのためには殺人も厭わない。殺人も証拠が残らないように着々と実行する…。
殺人 -
Posted by ブクログ
【短評】
愛してやまない作家・貴志祐介の新作(と言っても、刊行は1年前だが)は、久方振りの長編ホラーである。「嗚呼、やっぱり貴志祐介は良いのう」と嘆息しながら、貪るように読み耽った。最近時、新規分野の開拓に勤しんでいた感のある貴志祐介だが、やはり本領はホラーなのだろう。ここ数年における白眉であることは間違いない。
戦国時代から続く旧家・福森家において発生した一家惨殺事件。遺体はいずれも著しく損壊しており、凡そ人間の所業とは思えなかった。主人公・福森亮太(ふくもりりょうた)は事件を調査する過程で、霊能力者・賀茂禮子(かもれいこ)に出会う。禮子曰く、福森家は数多の穢れた呪物で溢れ返っており、事件