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自ら命を絶った青年が残したという1冊の句集。元教師の俳人・作田慮男は、かつての教え子から依頼を受け、俳句の解釈を進める。沖縄の情景を描いた句を読み解いていくうち、恐るべき秘密が浮かび上がってくる(「皐月闇」)。遊廓で蝶のような花魁たちと遊ぶ夢を見る男の末路、広い庭を埋め尽くす色とりどりのキノコがもたらす幻覚。静かに忍び寄る恐怖と緻密な謎解きが読者を圧倒する3編を収録。著者真骨頂のホラーミステリ。
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Posted by ブクログ
素晴らしい。途中で投げ出したくなっても、ぜひ3遍全て通して読んでほしい。 確かに貴志祐介だと思わせる要素はそのままに、何か新しい風が吹き込んでいるのを感じる。おそらく充実したインプットの上で執筆された、読み応え抜群の短編集。 ロリ嗜好や昆虫の擬人化や密集したキノコ…これらの描写が平気なら、とてもオス...続きを読むスメな秀作。
自殺した青年が遺した一冊の句集を読み解くにつれて恐ろしい真相が浮かび上がる『皐月闇』、不思議な遊郭で花魁達と遊ぶ幻想的な雰囲気から想像もつかないラストを迎える『ぼくとう奇譚』、色とりどりのキノコがもたらす幻覚が不気味な『くさびら』の3つの中編が収録されていて、どれも後ろから忍び寄る恐怖と貴志祐介先...続きを読む生の膨大な知識量、思いがけない結末が合わさってどれも先が気になるものばかりだった。
皐月闇 俳句をテーマにしたミステリー ぼくとう綺譚 昭和初期の銀座 引き込ませる文体と心理・情景描写はさすが・・! 頭の中にありありと情景が浮かんできて、ゾクっとさせられる なんか最後の一行で一気にチープになってしまったのが残念だけど.... 虫やキノコなど天使の囀りに通じるバイオホラー的なお話...続きを読むもあり 梅雨時期のしどけないジメッとした雰囲気に浸りがら読むのにちょうど良い 博識で小説なのに勉強になる 調べながら読むので時間がかかるけど面白いです。
あらすじに“ホラーミステリー”とあったが、かなりミステリー色が強めの中編集。 俳句の解釈から真相に迫る「皐月闇」が後味の悪さも含めて1番好み。 じっとりとした夏の夜にぴったりな一冊。
最初の俳句の話が一番面白い。単純に俳句の解釈で展開が進むのが慣れてないから新鮮だった。ただ、男女復讐ものばかりで飽きる。
本当は秋雨物語から読みたかったけど、たまたま本屋で手に取ったので先に読んでみた。 けどシリーズではなく短編集だったので特にこちらからでも読み進めることができるかと。 皐月闇、ぼくとう綺譚は2転、3転する怖さで読み進める手が止まらなくなってしまった。 皐月闇は女性の執念深さとそれでも忘れてしまう男性...続きを読むの終わりの見えない闇深さ ぼくとう綺譚は主人公の青年の心の闇、過去の罪が顕在化される、それが昆虫という中々の残酷さを伴う怖さ。 一方くさびらはホラーを感じさせながらも想いあふれる祈りを感じた涙ぐむ内容だった。
貴志佑介先生の古い作品はまだ読めていないものもあるものの、新しめの作品は結構読めている。 秋雨物語の時にも思ったが、長編ではなく、短編でも凄く厚みのある、世界観に没頭させる物語を見せてくれる。 怖さだけでなくミステリ要素もあるため、展開が更に気になり飽きさせない構成。個人的にあらすじはどれもあまり最...続きを読む初惹かれていなかったのに、読み始めて仕舞えばあっという間だった。 夏の夜長におすすめ!
貴志祐介が得意とする謎解き要素と、人怖ホラーを巧みに組み合わせた3作でした。 「皐月闇」は前半と後半でこんなに変わるのか、というくらい状況が一変。ホラーでありながらミステリ的どんでん返しも楽しめます。 「ぼくとう奇譚」、「くさびら」は現実世界に悪夢が侵食してくる、幻想文学のような趣の作品です。 ...続きを読む毎度のことながら、様々なジャンルに精通しているその博識さと、それでいてスッと入ってくる文章力には脱帽です。 ちゃんと怖いホラー小説を読みたい方におすすめの1冊。
同じシリーズの秋雨物語の方が面白かった 最初の物忘れの俳句の話がとにかく長かったけど、面白さでいえばそれが唯一 他の短編は微妙
貴志祐介『梅雨物語』角川ホラー文庫。 恐らく『秋雨物語』と対を成すのだろう。3編収録のホラー短編集。 『秋雨物語』の感想にも書いたが、貴志祐介と言えば、『黒い家』以外は全てハズレのように思う。それでもたまに手を出してみるのは微かな可能性に賭ける気持ちが僅かながら残っているからだ。 正直に言って...続きを読む、『秋雨物語』ほど酷くはないが、並のレベルの短編集だった。最初の『皐月闇』がまあまあ面白かったくらいだろう。 『皐月闇』。ホラー短編というよりも、サスペンス・ミステリー短編といった方が良いだろう。読んでいるうちに大方の結末の予想はついた。今の時代が良くないのだろう。中学校教師と教え子というだけで、性犯罪の匂いがプンプンして来るのだ。 ある日、自ら命を絶った双子の兄である萩原龍太郎が遺した『皐月闇』という句集を携え、かつての教え子である萩原菜央が元中学校教師で俳人の作田慮男の家を訪れる。 菜央は作田に『皐月闇』という句集に納められた100余りの俳句の解釈を求めて来たのだ。それは沖縄の情景を描いた俳句であり、兄が同級生の女性と婚前旅行で沖縄を訪れた時に詠んだものだと言う。 作田は重要だと思われる12句を選び出し、俳句の背景やその時の状況を読み解いていくと、恐るべき真実が浮び上がって来た。 『ぼくとう奇譚』。これは紛れも無くホラー短編だった。永井荷風の有名な小説に『濹東綺譚』というのがあるが、こちらは『ぼくとう奇譚』であるのだが、どういうことなのかは読んでみると解る。まあまあ恐さは伝わる。 最近、黒い蝶に付きまとわれていた木下美武は、それが過去の因縁による良からぬ呪いのためだと千里眼を持つ行者の加茂日斎に言い当てる。加茂日斎は美武の呪いを解くために部屋を護符で封じ、夢の中の楼閣には近付くなと警告するが、美武は遊廓で蝶のような花魁たちと戯れ、その中の1人の少女に執心する。 『くさびら』。こちらはホラー色のあるサスペンス・ミステリー短編。恐らく真相はそうなんだろうなと推測出来るが、何とも歯切れの悪い結末だ。もっとしっかりと書いてくれという感じだ。 工業デザイナーの杉平進也は、広い庭を埋め尽くす色とりどりのキノコがもたらす幻覚に苦しめられる。目には見えるのに写真には写らず、手でも触れることの出来ないキノコ。 本体価格880円 ★★★
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