櫛森秀一は湘南の高校に通う17歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との3人暮らし。その平和な家庭に、母が10年前に別れた男、曾根が現れた。曾根は秀一の家に居座って傍若無人に振る舞い、母の体のみならず妹にまで手を出そうとする。警察も法律も家族の幸せを取り返してはくれないことを知った秀一は決意した。自らの手で曾根を葬り去ることを……。完全犯罪に挑む少年の孤独な戦い。その哀切な心象風景を精妙な筆致で描き上げた、日本ミステリー史に残る感動の名作。
レビューは読まないほうが良い。ネタバレ多くて面白さが半減してしまいます。私は1年以上前に買って先日まで積んでいてこの度読んだのですが、読了後レビューを見てネタバレの多さに口閉しました。
Posted by ブクログ 2023年07月24日
初めて貴志祐介さんの作品を読みました。イメージ的には「ホラー系作家」と思い込んでいたためか今まで敬遠していた部分があるかもしれませんが、「青の炎」は上質なミステリー作品でした。
もう20年も前に蜷川幸雄の監督・脚本、主演二宮和也で映画化もされてたのですね。
もし自分が秀一の立場だったら、実行に...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年06月15日
主人公・秀一は高校生。10年前に母と再婚・即離婚するも、突然現れ居座る曾根。この男は、酒と競輪に溺れ、母と妹にまで食指を伸ばそうとする屑男でした。秀一は静かに激怒し、早い段階で殺ってしまおうと『強制終了』を決意します。
表題の『青の炎』の〝青〟が印象的です。実際の燃焼温度差は 「赤」<「青」、...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年05月12日
高校生が家族のために完全犯罪を目論む倒叙小説
また青春小説的要素も強い
貴志祐介さんの作品は初めて読んだが、とても面白く惹き込まれた
主人公秀一の様々な感情の変動
そして犯罪とバレないように行動する聡明さ
家族のためを思って行動した結果、自分を虐め続ける矛盾さ
物語の押し引きが上手くそういった点...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年05月06日
このほんの解説で初めて「倒叙ミステリー」というジャンルを知った。犯人が最初からわかっているところから始まるミステリ。この本は謎解きというより、犯人の心境が語られていて、それが謎解きより震える。殺人にどうしても共感してしまう。完全犯罪を応援している自分に驚く。それが怖い。そして、不思議と青春の清々しさ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年04月23日
殺人が一人称の視点で描かれるとここまで物語が面白くなるとは。医学、法学、化学、物理学など学問の知識を横断的に駆使して完全殺人の計画を立てる様子に引き込まれる。書店から専門書を大量に買い漁り知識を習得していくストイックさは学生、社会人問わず参考になる勉強法。
文学の名作こころを引用した犯罪に手を染めた...続きを読む