貴志祐介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ上中下まとめての感想。
序盤は設定の説明だから正直退屈。
ただ夏季キャンプから一気に物語が進んでいきどんどん引き込まれていく。特にミノシロモドキとの出会いからが面白い。一見牧歌的で平和な世界だけどそこに潜む闇の部分が徐々に明らかになっていく感じがたまらない。一気読み必至の面白さ。
土蜘蛛からの逃避行、スクィーラとの邂逅など夏季キャンプは見どころたくさん。
その後は瞬の業魔化、真理亜と守の離脱など主要キャラが次々と離脱して驚いた。瞬の告白のシーンは震えた。
そして時間が飛んで早季と覚が大人になってからの話。どんな展開になるんだろって思ってたらまさかのバケネズミ達との戦争。悪いやつじゃないけどなん -
Posted by ブクログ
異種であること以外は人間と大差ないじゃない!と、スクィーラや特にキロウマルに肩入れしそうになるけれど…たとえ知性があり心の交流ができても、外見や匂い、発する音が人間らしくないだけで、きっと現実は共感できなくなる。小説で武士的キロウマルが一番かっこいい!と思った自分の理性と感情も、実際に対峙した時に、生理的嫌悪感という本能に勝る自信はない。
生理的嫌悪感を超えられる人間がどのくらいいるのか。他者への共感の限界を突きつけられる。特に匂いが重要な気がする。
現実世界での民族差別、障害者差別、動物愛護の限界にもつながる。(熊のニュースを見てもこの小説を思い返してた)人間とは何か、他者とは何か、共存 -
Posted by ブクログ
おもしろい!ディストピアの真相が徐々に明らかになってくる。
疑わしきは罰する!ふと冤罪を描いた太田愛さんの幻夏の一節を思い出す。刑事裁判の原則を示す法格言には、このような言葉があるとあった。
「十人の真犯人を逃すとも、一人の無辜を罰することなかれ」たとえ犯人を逃しても、無辜を罰しない!
人権を尊重した法治国家の中の危うさ描いた作品。
そして「新世界より」は無辜を守るために社会が崩壊した過去を教訓に、「無辜を罰することも辞さない」体制へとシフトし、徹底管理社会で人権とは?が問われる作品。
どうも自分は今、社会の在り方を問う作品がブームみたい。