貴志祐介のレビュー一覧

  • さかさ星

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    名家の一家惨殺事件の裏に隠された呪いを解き明かす物語。主人公が「陰鬱な因縁譚はもう勘弁してくれ」とセルフツッコミを入れるレベルで呪物が大量に出てきて飽きない。呪物の仕組みや渦巻く呪いにも法則があり、さながら最後の展開はパズルゲームのよう。「転」の展開が些か急なきらいはいなめないものの、総じて面白い。場面を想像しやすい筆致で、特にラストは文章ながら非常にぞっとした。

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    2025年10月06日
  • 悪の教典(下)

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    ネタバレ

    上巻を読み終わり、さあさあ次は次は!?
    と、心踊りながらページをまくっていきました。

    下巻では、学園祭の準備のため、学校に宿泊することになっていた2年4組の生徒が大量虐殺される話である。読んでいてハラハラする。猟銃を持った犯人(蓮実先生)が1階から生徒たちがいる3階や4階、屋上へ続く階段へと迫ってくる時には、自分も隠れている生徒になった気持ちで、息が詰まりました。

    蓮実先生は綿密に計算し、生徒を確実に殺していく。しかし、その中でも計算外のできごとがいくつも起こるところがこれまた面白い。犯人だけど、殺し終わったあとの蓮実先生のズタボロ加減も現実みがあって良かった。

    生徒たちも頭を使い、蓮実

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    2025年10月06日
  • 悪の教典(上)

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    ネタバレ

    普段は生徒にも同僚の先生にも好かれている蓮実先生。実は、共感性が欠如しており、人を殺すことを何とも思わないモンスターだった…。

    私のまわりでも「この人何でもできて、人気もあってすごいなぁ」と思う人が少々いるが、もしかしたら蓮実先生のように、本当の姿ではないのではないかと考えてしまいました。

    釣井先生は下巻でバチバチやるのかと思っていたら、上巻ですでにあっけなくやられて意外でした。

    心理学に通用し、こういう時はこういう態度をとると相手が喜ぶ、怒るなど熟知しており、それを巧みに操り、自分に有利になるように生活する。そのためには殺人も厭わない。殺人も証拠が残らないように着々と実行する…。
    殺人

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    2025年10月06日
  • 青の炎

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    ネタバレ

    巻末の解説にもある様に本作は倒叙推理小説である。ブクロブの過去評価を一瞥しても自分は倒叙推理が好きなのだと思う。確かに刑事コロンボや古畑任三郎を好んで良く見てました。
    主人公の秀一ほど物事が明快に分析、理解出来ないがその才覚など拓也は羨ましかったと思います。プリッツやスティンガー凄い作戦名!
    しかしこんな天才もプリッツ後の血圧計を見逃すなど伏線沢山あり、山本警部補との心理戦もハラハラしながら読みました。
    紀子みたいな恋人も羨ましい。鍵を託しても半年経ったら貸私書箱開いちゃうんじゃ?などと考えながら右にハンドル切った後どうなったのか。考えさせられます。

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    2025年10月06日
  • 新世界より(下)

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    オーディブル視聴。
    最初はどういう世界観なんだろ…?と訝しがりながら読み進めたんだけれど、だんだんとこの主人公たちが生きる世界の歪さやグロテスクな成り立ちが浮き彫りになってくる。
    主人公は私たちから見るとかなり未来の世界を生きているけれど、主人公もまた千年先の未来に期待をこめる。すごい。先が気になりすぎて上中下巻一気読みでした。
    今まで読んできた貴志先生の作品とはちょっと違う感じだな〜と思っていたけれど、割ときっちりグロ描写もあるのでニッコリ?しました! 

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    2025年10月05日
  • さかさ星

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    【短評】
    愛してやまない作家・貴志祐介の新作(と言っても、刊行は1年前だが)は、久方振りの長編ホラーである。「嗚呼、やっぱり貴志祐介は良いのう」と嘆息しながら、貪るように読み耽った。最近時、新規分野の開拓に勤しんでいた感のある貴志祐介だが、やはり本領はホラーなのだろう。ここ数年における白眉であることは間違いない。

    戦国時代から続く旧家・福森家において発生した一家惨殺事件。遺体はいずれも著しく損壊しており、凡そ人間の所業とは思えなかった。主人公・福森亮太(ふくもりりょうた)は事件を調査する過程で、霊能力者・賀茂禮子(かもれいこ)に出会う。禮子曰く、福森家は数多の穢れた呪物で溢れ返っており、事件

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    2025年10月05日
  • クリムゾンの迷宮

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    なぜ映画化されないんだ〜…いや、分かるけど。
    もったいない。本当に怖いエンタメだ。

    映像がありありと頭に浮かんでくるような描写力。
    あいつが迫ってくる緊張感、寝てる間に見つかるかもという恐怖。
    主人公の絶妙なメタ感が少しの安心感を与えてくれる。最高の精神状態で一気読みしてしまう。
    これきっかけでデスゲーム系小説を読み漁りました。

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    2025年10月04日
  • 新世界より(下)

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    いや〜、面白かった!久々に寝る間を惜しんでのめり込んでしまった。世界観の作り込みが凄過ぎるわ…。
    ※ちょっと思ったこと:某場面「えっ、守は!?」と思った。その扱いは可哀想だろ!!

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    2025年10月03日
  • 新世界より(下)

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    アニメを観てたからスムーズに読めた気がする。
    最初から本だったら想像するのが多くて読むスピードは遅かったと思う。
    やっぱり面白かった〜色々考えさせられるのも面白い

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    2025年10月03日
  • 新世界より(中)

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    いやぁ、面白い。
    途中で「男の人は男の人同士で、女の子は女の子同士で恋愛すべきだと思うの」的なエロ描写にビックリしたけど、この世界の異常さが伝わってきた。

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    2025年10月01日
  • 慄く 最恐の書き下ろしアンソロジー

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    装丁とかタイトルがチープだからといって侮るなかれ
    作家は皆ホラーの第一線で活躍している人ばっかりで、期待にそぐわない面白さでした。

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    2025年10月01日
  • 新世界より(下)

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    結局、人間同士の争いだったのかと恐ろしくなった。
    悪鬼もどきになってしまったバケネズミに育てられた子に対して、『最期だけは人間として迎えさせてあげたかった』という主人公の言葉がものすごく怖かった。
    同情的であるかのように振る舞いながら、その実
    (術力を持った)人間が上だと当たり前に思い込んでいるところが。

    主人公サイドでのみ語られる物語であることが、一層恐ろしさを感じる。あくまで術力がある人間の視点でのみ語られているということは、何かしらの重大な問題が隠されているんじゃないかと読み終わったあとですら感じてしまう。

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    2025年09月29日
  • 硝子のハンマー

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    防弾ガラス、監視カメラ、暗証番号で守られた部屋で完全密室殺人事件が起きる。
    依頼された防犯コンサルタントと弁護士が事件の真相に迫る長編作品。
    犯行の全容をここまで説明する作品も中々ないように思え、犯人側の苦労も垣間見える。

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    2025年09月29日
  • 慄く 最恐の書き下ろしアンソロジー

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    こういうアンソロジーって玉石混交のイメージのところ、これはほぼハズレなしの一冊!!移動中とかにさくっと読みたくなる本だね。どんどん読めた。全部良かったけど、背筋が特に好みかな。他にも同じようなアンソロあるみたいだから来夏にでも読んで涼みたい。気づいたら今年はもうホラーの季節じゃなくなっちゃったし。

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    2025年09月26日
  • 天使の囀り

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    ネタバレ

    貴志祐介1作目。
    「ホラー」に分類されるジャンルの本を小学生の頃の『怪談レストラン』ぶりに読んだが、作者の意地でも流れを読ませない構成が凄まじい。生物や化学の専門的な話題が頻出するにも関わらず、その分野の勉強をほとんどしてこなかったに近い文系の人間でもストーリーの把握に困らない程度に理解ができた。蜘蛛が苦手なので信一の部屋が蜘蛛まみれになったあたりで読むのをやめようかと思った。読み進めるにつれてあらゆる伏線が綺麗に回収され、カルトとバイオテロが一体となり全てがグロテスクになっていく恐ろしさはかなり救いがなかった。

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    2025年09月25日
  • 慄く 最恐の書き下ろしアンソロジー

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    ネタバレ

    聞いたことある著名な作家さんがホラーの短編を書くアンソロジー。ホラー作家ではない人も描いてて新鮮。個人的には窓から出すワ、車窓が好み。背筋さんのは短編の中で怖い話が読めるのでワクワクしてよんだ、そして最後のオチ、ページを捲るのが怖かった…、これで私にも見えたらって。
    車窓は短いながらもすっと引き込まれて上手いなと思った。オチはどういう意味なのか…、楕円の看板が見えちゃう呪い?に主人公も巻き込まれたってこと?かな。

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    2025年09月25日
  • 天使の囀り

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    ⭐︎4.5
    さすがの恐ろしさ。おどろおどろしい雰囲気がたまらない。線虫とか気持ち悪いけど、科学的な根拠みたいなものもあってファンタジー全開って訳でもなく、リアリティがあって面白い。
    宗教団体そのものはもちろん、そこへ入っていく青年の描写が特に面白い。ラストの意外性もあって良かった。貴志ワールド最高だった。

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    2025年09月24日
  • 青の炎

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    ネタバレ

    終始スリルが伝わる描写で寝る前に読んだら、寝れなくなるほどだった。
    昔映画を見た時とはまた違う感想を持った。本当にこの方法しかなかったのか。この結末しか無かったのか。心を引き裂かれるような思いだった。

    主人公は母と娘を父親から守りたかった。なのに最後に選ぶ結末は、誹謗中傷よりも辛いのでは、と家族の気持ちを思うと辛い。紀子の気持ちも思うと辛い。
    頭が良いように見えるけど、所詮は高校生らしい未熟さ。若いからこその選択。

    一回目の殺人は家族を守るためが始まりだったけど、2回目は自分を守るため。だけど、2回目もしないと計画が崩れてしまう。こうやって人は罪を重ねるのか。
    追い詰められるとはこういうこ

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    2025年09月17日
  • 新世界より(上)

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    もう最後まで読んでしまったから今さら微妙だけど、上巻を読み終わった段階では大昔に読んだ「漂流教室」を思い出していた。そしてこの段階でもうかなり惹き込まれてはいるけど、どことなく作者を疑っていた。所詮エンタメ小説でしょと。

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    2025年09月15日
  • 新世界より(下)

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    ネタバレ

    設定とかすごいし心理描写も巧みだしストーリーも惹き込まれてすごく面白いけど、人間本意の価値観みたいなものが根底に感じられてなんとも気持ち悪い。なんか薄っぺらいというか所詮エンタメ小説じゃんと思っていた。でも面白い。読むのが止まらなくなりながらも「この作者嫌い」と思って読み進んでいたら、人間本意の価値観を根底に感じていたこと自体作者の仕掛けだったっぽい、たぶん、てことが最後にわかった。
    もしかしたら作者の趣味とか遊びの範疇なのかも知れずそんな大それたテーマではないかも知れないけど「これでいいのか人間」って問う意図だったのかもしれないということが読み終わってから感じられて、一杯食わされたというか、

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    2025年09月15日