貴志祐介のレビュー一覧
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興奮しながら読むのは久しぶり
私も三池監督と同様に蓮実聖司が一日でも早く日の目を浴びることを渇望します。彼、蓮実聖司は私がかつて持ち合わせており、成長するにつれて世間というものを知ることにより捨てざるを得なかった厨二心を今一度呼び起こしてくれました。前述した言葉は断じてサイコパスであることをアピールする訳ではありません。数多の男子たちが学生時代教室に侵入してきたテロリストを華々しく撃退することを妄想するように、私も人混みの中で、今ここでナイフで人を刺したらどうなるだろうと思ったように、誰もがそういった幻想を抱くはずです。しかし、それを行動に起こさないのは刑務所行きであったり、世間からの非難などの圧倒的デメリットがあるからで
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Posted by ブクログ
ひとことで言えばサイコパスが淡々と人を殺していく物語なのだけど、殺人の動機は快楽ではなく営利目的であるというのが珍しい。目標達成のための障害となる物(人間)を排除するために殺人を行っているので殺人マニアというわけではない。それが故の無機質な狂気。
現実世界で起こった殺人事件の記事(Wikipediaなど)では、正確な時間の表記と共に事件当日の流れが記載されているものがある。本作でも同じように、終盤の大量殺人の場面は、「PM9:51」といったように時刻が表記される。
そうすることで、現場の時間を共有させられ、より一層恐怖を現実のものとして感じることができる。
※上下巻あわせての感想 -
購入済み
新世界より
今まで読んだ中で一番くらいに面白く、また新鮮で斬新でした。
小説は自分なりに登場人物や情景などを想像しながら読み進めると思いますが、ここまで頭を使ったのは初めてでした、
何度もページを戻したりしながら、丁寧に書かれている奇怪な未来の人物描写を自分なりに具現化して登場させたり、不思議な世界を想像しながら読み進めていました。
途中アニメ化していると知り、頷けました。
いつかアニメでも見て、自分の想像と比べてみたいです。
SFのハラハラ感の中で、登場人物の真っ直ぐさに読んでいる私もいつの間にか物語の中で心を重ねていました。
こちらの小説に感激し、貴志祐介さんの「黒い家」を次は読むつもりです。 -
Posted by ブクログ
前々から気になっていた本だったのでついに読めてとても嬉しかったです。なぜ興味深かったかというと、私自身がHSPであり物事に対して過敏なところがあるので主人公が持つエンパスと似たようなところがあるような気がしたから気になり読んでみました。
エンパスの能力で街を歩いていても人の心の声が読み取れてしまい一気に沢山の情報量が押し寄せて来る為薬を服用したりしてとても大変だろうなと思いました。
その主人公が相手をする千尋は多重人格であり1人の人間の中に13人もの人格が住んでいて一日のうちに何回も入れ替わりそれもまた大変そうだと思いました。
そして何よりも幽体離脱可能であるISORAがとてつもなく怖かったで -
ネタバレ 購入済み
実験的ともいえる創作
アニメも原作も履修しました。
そして現在も続編というかこの作品に連なる物語を待ち望んでおります。
超能力を扱った創作は、それはもう昔からいろいろと手を替え品を替え作られてきて、これからもそうなるだろうと思いますが、この作品は超能力…呪力と呼ばれてます…が、社会や地球やそこに生きる生物、つまり環境に影響を与えつづけるのではないかという仮説も盛り込んだことが特に興味深かったと思います。
私たちは常に環境に影響を受け続けている存在ですが、私たちが現在人口といういわば数による暴力で地球環境に絶大な変化をもたらしてしまっていることは明らかになっています。
超能力も私たちが発信しているものととらえれば長 -
Posted by ブクログ
ある方と話をしていて、この本が話題にあがり、気になったので読むことに。
防犯探偵・榎本シリーズの第3弾。中には、短編が4話入っている。葬儀屋の社長が山荘で自殺をする話、甥が練炭自殺をする話、欠陥住宅で施工業社の社長が事故死する話、劇団の開演中に劇団員が何者かに殺害される話の4話。どれも密室での出来事で、防犯コンサルタントの榎本と弁護士の純子が、これらを殺人事件と疑い、犯人に迫っていく。
密室のトリックはどれも分からず完敗だが、気楽に読めた。やや動機が弱いからか、犯人に汲むべき事情は無いように感じた。
第1弾はどんな感じなのか気になる。また、ドラマ化されているようで、映像だとどうなるのか気