あらすじ
ある嵐の晩、資産家男性が自宅で命を落とす。死因は愛車のエンジンの不完全燃焼による一酸化炭素中毒。
容疑者として浮かんだ被害者の甥、日高英之の自白で事件は解決に向かうと思われたが、それは15年前の殺人事件に端を発する壮大な復讐劇の始まりだった。
警察・検察、15 年前の事件の弁護も担当した本郷、事件調査を請け負う垂水、恋人の千春......。それぞれの思惑が絡み合い、事件は意外な方向に二転三転していく。稀代のストーリーテラーが満を持して放つ、これぞ現代日本の"リアルホラー"!
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Posted by ブクログ
2025.10.26
著書の筆力をあますところなく示す一冊。まず、探偵役をさせられる、弁護士とは別の人間が必要性が自然体で描かれているように、登場人物それぞれに適切な役割が与えられていることがすごい。こうしたプロット、構想を隙なく築く力のある作品を読むとスイスイと没入して読み進めることができる。
ひとつだけ残念なのは、終わり方である。ここで終わってしまうのかあと残念な気持ちにさせられた。
Posted by ブクログ
面白かった。取り調べの行方、公判の流れや判決から目が離せなかった。英之の緻密さが怖すぎる。ストーリーが重厚なうえに、予測不能な展開に大いに堪能した。
貴志先生の作品は、あらすじを見ると「ホラー」と書かれているので敬遠していたが、他の作品も読んでみたくなった。
Posted by ブクログ
時々 魔力的な魅力の作品を描く
「新世界より」「クリムゾンの迷宮」と並ぶ 名作
続きが気になり 寝ずに読み進めてしまう!
今までのファンタジーやホラーの路線も面白いが
今回 緻密に裁判についての描写があり 作者の新境地を見る
俺たちの戦いはまだまだ続く という「ダークゾーン」のような終わり方も余韻がある
Posted by ブクログ
面白かった。
一気読み(一気聴き)。
15年前、父親が冤罪で獄中死。
息子もまた、叔父を殺したと被疑者に。
これは、冤罪なのか?計画なのか。
刑事にあたかもお前が殺したんだろーと。
このやり取りが胸糞でした。
息子が一枚も二枚も上手でした。
Posted by ブクログ
続きはないんですか!?
ここからじゃないのー!?笑
冤罪についてのストーリーなので裁判とか難しいかなって思ったけど、会話文が多かったので割とスラスラ読めた。
というか英之は結局叔父殺してるのね、、
検察側と警察がそれはそれは腹立つ感じに描かれてて、起訴取り下げになった時はやった!って思った!
でもその後の記者会見でまさかそこまで話しちゃうの!?って思ったし、彼女も弁護士も皆んな知ってて共謀してたってなって衝撃的だったー!
というか謙介巻き込まれた感じが可哀想すぎる、、
リストラ理由もそうだけど、つくづく損な役回りだなぁって思った。
これ以上振り回されない為にも手を引いた方が良さそう笑
Posted by ブクログ
著者の作品を読むのは数年ぶりでした。
一時期とてもハマって多くの作品を読んでいました。
その時のイメージはホラー作家だったのですが、最近は社会派小説も手掛けているのですね!
本作は読み応え抜群でとても良い作品でした。
本作は冤罪をテーマとしたゴリゴリの社会派小説でありながらも、ミステリー要素もしっかりある上に人間の恐ろしさについても描かれていました。
これまで冤罪をテーマにした作品を多く読んできましたが、何を読んでも悲しくなるし恐怖も感じます。
今の日本の司法では、いつ自分がこのような目にあってもおかしくないと思わされます。
ずっとその問題を指摘されているにもかかわらず、今も警察や検察の体制が変わらないのは何故でしょうか…
社会派小説を読むと様々なことを考えさせられます。
目を背けずに考え続けたいと思います。
Posted by ブクログ
言いたいことがあったとしても、こんなやり方には賛成できないわ。もっと別の方法はないものだろうか。そもそも父親のことがなければ、こんなことにはならなかったのだろうけど。
Posted by ブクログ
Audibleにて。
飲酒運転による障害から、殺人事件の冤罪と、あまりにも理不尽な仕打ちを受けた父親の無念をはらすべく、真犯人と警察・検察に対する息子の壮大な復讐を描いた社会派法曹ミステリ。
骨太でテンポも良く、眠れないほどのめり込んだが、終わり方があまりにも唐突で、ここで終わってほしくなかった。。。後日譚を読みたい。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かったのにラストが惜しい。
ここで終わり?!となった人は多いはず。
貴志祐介さんの小説は、『新世界より』しか読んだことがないので、ガラリと全く違う法廷ミステリーでジャンルの幅の広さを感じました。
冤罪もので警察官と検察官はとことん憎たらしく、緊張感のある裁判の場面では手に汗握り、どんな逆転劇になるのか楽しみで終始引き込まれました。
垂水さんである必要性と、そこまでやるかな?という点がやや疑問ですが、面白くて一気読み間違いなしです。
Posted by ブクログ
「黒い家」をみてからこちらにきたこともあり、
貴志祐介は人間の執着を書くのが上手いな~~と改めて思った。
頭が回る・人を惹きつける魅力がある・粘り強さがあわさればまあ完全犯罪もいけるか、という。
Posted by ブクログ
一気読みしました。筆者作品のうちミステリー分野は「懲りすぎてて、よくわからない」ものも多く少し敬遠していましたが、本作品は謎解き要素は最小限として、多くを裁判の舞台劇としたことが良かったと感じました
あらすじ
ある嵐の晩、資産家男性が自宅で命を落とす。死因は愛車のエンジンの不完全燃焼による一酸化炭素中毒。容疑者として浮上した被害者の甥、日高英之の自白で事件は解決に大きく向かうと思われたが、それは15年前の殺人事件に端を発する壮大な復讐劇の始まりだった。“犯罪者”を執念深く追い詰める警察・検察、英之を献身的に支える本郷弁護士、その依頼で事件調査を始めた元リストラ請負人の垂水、恋人の無実を信じて待つ千春。それぞれの思惑が絡み合い、事件は意外な方向に二転三転していく…。稀代のストーリーテラーが満を持して放つ!これぞ現代日本の“リアルホラー”
Posted by ブクログ
やっぱり貴志さんの作品は
読むのが楽しいというか
続きが気になってどんどん読めちゃう。
ものすごく不利な状況からの
後半にかけての展開が
ドキドキ楽しめました。
Posted by ブクログ
厚い本の割にスラスラ読みました。
ある目的のため、刺し違える覚悟で行われた裁判はエンターテイメントとして面白い。感想はイロイロありそうですが、新たな餌は撒かれた。次はどう展開するのだろう。
Posted by ブクログ
オーディブルで聴きました。展開のリズムがいいのでスームーズに聴けます。取調べの描写も裁判の展開もとても素晴らしいと思います。最後の落ちはあまり褒められませんが、とてもいい作品だと思いました。
Posted by ブクログ
兎が囲いの中に入れられると冤罪の冤の字になる。
逮捕されて取り調べを受ける被疑者は薄氷の上を.警察や検察の手から逃れようとはしる。
父が冤罪で捕まり、獄死したせいで人生を壊された日高英之が伯父殺しの罪で投獄される。
取り調べを受けて自白する英之。その裁判の過程で色々な事実が判明する。伯父の罪は何だったのか?
英之は何をしたいのか?
弁護士の手伝いで事件調査をする垂水が感じた違和感の正体は?
世間で騒がれる冤罪事件は、過去だけではなく現代でさえ実在する。
今騒がれている冤罪事件を見ていても、無実の人間を陥れようとするずる賢い狐のような警察や検察がいるのが明らかにされるとやり切れない気持ちになる。
Posted by ブクログ
日高英之は、叔父・平沼精二郎殺害の容疑で勾留された。
彼を助ける為、交際相手の千春、弁護士・本郷誠、調査員・垂水謙介が奔走する。その過程で見えてきたのは、英之の持つ悲しき過去と静かな怒り。英之の本当の狙いとは?冤罪と司法制度の問題に向き合う法廷ミステリー。
さすがに綺麗にまとまっていた。
貴志氏の紡ぐ言葉は、余計な装飾がなく、いつでもすっと頭の中に入ってくる。情報が整理され、事件がすとんと腑に落ちるのだ。大きな感動はなかったが、気になるべき瑕疵も見当たらない。さすがである。
感情面の描写が少なく、なんとなく違和感を覚えた。
日高英之が復讐を決意するほどの父への思慕があったのか、本郷弁護士が英之の父・日高康信の事件に、自身を危険にさらしてまで拘泥する熱意、千春が英之の犯罪に加担するほどの情熱…いずれも納得するほどには感じられなかった。三者とも、失敗した場合に被るデメリットがとても大きい。それを無視できるほどの感情を作中では感じられなかったのが違和感の原因であったと思う。英之が父と暮らした日常や千春が英之をとても好きである描写などがシーンとして具体的に描かれないので、彼らの大きな決断に得心がいかなかった。
垂水謙介いる?
読者の目となり物語を牽引してくれる垂水だが、結局最後まで当事者ではない。弁護士資格もないので法廷で活躍することもないし、彼の必要性が分からなかった。千春をその位置に据えたほうが面白かったのでは…と思っていたが、最後の種明かしでそれは不可能であったと分かった。だから仕方なく添えられたキャラクターに思えて、なんだかなあ。
Posted by ブクログ
自分の、その本との関わり方で、面白いのかがハッキリ分かります…
ということで、この本は私はとても面白かったようです笑
1日で、すごい勢いで読み切ってしまいました。
最近本を読んでいて思うのですが、面白くて夢中になれる本は、決して結末が良いから、というわけではないんだなー。
結末なんて、ひとつの点に過ぎない、という気もしてきました。
結末に満足するかしないか、それはその小説の中の登場人物たちが選んだ結果であって、そこに満足とか、私の意見を挟むのはおこがましい気がしてしまった!
それくらい、ここ最近読んだ本たちは、結末以上にそこまでの流れが最高でした。
どっぷりどっぷり、小説の中に浸ってしまいました。
この小説も、真実を知りたい、先が知りたい、と思う気持ちはもちろんのこと、
スカッとさせてくれ!という気持ちもあり、
さらには
「日本の取り調べは本当にこんなことが起こり得るのか?」という恐怖
冤罪、自白の強要、小説ではよくある設定だけど、これは小説の中だけ…だよね?
実際は、そんなことない…よね?
という現実世界との境目が分からなくなる感じ。
とにかく色んなものひっくるめて、ものすごい勢いで読み切りました。
最高の自分の時間潰しになりました!
Posted by ブクログ
父の冤罪を晴らすため、自ら警察の取調べを受けるよう画策した日高英之の話。
弁護士、弁護士に頼まれ調査する謙介や千春、それぞれの思いが入り混じり、表現されていた。一気に読んでしまった。
Posted by ブクログ
長編小説ではあるが、最初から惹きつけつられて読むことができた。途中からオチが分かってしまい結末は意外性がやや弱い。
冤罪に関わる裁判の描写はリアリティがあり引き込まれる。普段使わない言葉も多く出てきて教養も深められた。
Posted by ブクログ
冤罪なのに父は獄死した。
父を失い、不幸に落とし入れられた子の復讐劇。
彼女、弁護士までもが片棒を担いでいた。
家族を失った辛さは計り知れないけど、人を殺してまで復讐したいと思うのか?そんな本でした。
Posted by ブクログ
過去の父親の冤罪事件。
その清算を目指す青年の大胆な構想。
冤罪の“冤”は、ワ冠に兎。
あまり意識したことはなかったけれど、
面白いところをついてきたなと感心します。
そして、薄氷を踏むのですではなくて“駆ける”。
割れる前に抜け切るんでしょう。
青年の中で閉じ込められたままの父の“兎”。
自らが、再びの“兎”となり、取調室へ向かう。
薄氷を少しでも証拠で重ねつつ、
警察・検察と対峙していく様子は、
ラストが予測されるとはいえ緊張感があります。
そして、迎えるラストには『青い炎』で読んだあの破滅感を味わうことになります。
上手くいきすぎかなとか、
叔父さん反省してない方が面白かったのにとか、
小さな愚痴はありますけど、
また違った取調室を読むことができました。
Posted by ブクログ
読後すっきりする結末ではなかった・・。
まず登場人物みんな頭がいいなぁという薄い感想が出てくる。ちょっとした違和感、他の人の言葉尻からよくもそんなに色々考えが及ぶものだ。
そして冤罪が恐ろしい。自分だったら、やっていない事でも何度も強く決めつけてやったと言われたら「記憶にないけど、そんなに言うならそうかも」ってなってしまうかもしれない。そんな私が冤罪事件に巻き込まれたら黙秘一択しかないな・・。それも無理かな・・。
Posted by ブクログ
オーディブルで視聴。貴志祐介の作品にしてはちょっと期待はずれな感じ(個人の感想です)。ミステリというよりは法廷モノのような雰囲気で『天使の囀り』や『黒い家』なんかが好きな私としては、もっと「怖さ」が欲しかった。いや、(ネタバレになるけど)日高くん充分怖いやん、検察も警察もこえーよ!ってなるかも知れんけどちょっと弱いんよな…。復讐劇というか、どうしても殺さなければならない奴をどうにか殺す話として貴志祐介作品では『青の炎』が近いのかな。ただ本作では雇われ調査員、垂水の視点から描かれることが多かったためか、いまいち日高くんの切迫感、緊張感が『青の炎』の秀一のように伝わってはこなかったのが残念。
Posted by ブクログ
裁判の検察と弁護人のやりとりは舞台を見てるような臨場感と緊迫感があった。
冤罪の復讐に人々はここまで人生をかけられるのか⁈
でも、それが人の人生を全て奪うものなんだな。
いろいろ考えさせられた作品。
Posted by ブクログ
違法な取り調べ、自白偏重主義、その結果起こる冤罪の危険性を描く物語。
450ページ超えの厚さに一瞬怯んだけれど、読みやすい文体ですいすい読み進む。
英之が妙に法律に詳しいところとか、恋人の言動の不自然さとか、成り行きで狂言回しの役割を担った謙介のキャラの薄さとか気になるところはありながら読み進める。
冤罪の問題はよくあるテーマだし、話の展開や、英之の思惑も想像の範囲。ただ、雨の中ウエットスーツで…のあたりはあまりにも運を天に任せすぎな杜撰な計画ではないかな〜。
さらに、弁護士がここまで軌道を逸しているところに現実感がなく残念。
まあ、理詰めで硬派な社会派ミステリではなく、真相を知ってヒヤリとする現実のホラー的な話だと思えば十分楽しめたかな。