貴志祐介のレビュー一覧
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『密室は解かれました』
が名台詞となっているドラマの原作にあたる本作。
‘密室’で起こる事件ばかりではあるが、「そんなトリックありか!?」なんて言ってしまいたいくらい、読者を困らせる(もちろん良い意味で)作品である。
本作は、弁護士の青砥純子と、防犯スペシャリストの榎本珪の二人が密室で起こった数々の事件を解き明かすという作品。
密室に特化した作品なだけあり、仕掛けは二重、三重、いやそれ以上に組み込まれている。
そのトリックを防犯スペシャリストの榎本が解読していく訳だが、ヒントの見つけ方といい、謎の解き方といい、「寧ろ榎本が犯人なんじゃないか?」なんて思ってしまったほど、するすると解決してし -
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ネタバレハスミンこと蓮実聖司は、親衛隊ができるほど人気の高校教師。
生徒や先生の問題をうまく解決していので、普通に良い先生なのかと思っていたら、所々に「ん?」と思うような内容がでてくる。隣の家の犬にハンバーグを与えていたり(玉ねぎ抜きのハンバーグをあげたのかな?と思いました)、「殺すほどではない」という文章が突然出てきたり。
下巻は学校での生徒惨殺シーンが続き、最後が読める展開だったりして少し評価下げたけど、サイコパスが考えていることは普通と違いすぎて、全体的にそれが面白い。
現実の世界で起こったらもちろん最悪だけど、小説だからこそ、別次元の話を面白いと思えるのがいい。
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Posted by ブクログ
ネタバレ母子家庭で育った聡明な高校生が、DVを行う父親が自宅に居座り込んだのを機に完全犯罪を企てる物語。
元も子もないことを言うが、ミステリー故に完全犯罪は成立しない。悪は必ず暴かれて報いを受けるのはこの小説も例外なく。
ただ、その中でもこの小説の面白さは常に殺人犯側の視点から全てを語っているところだと思う。計画や人間的な不完全さがありつつ、実行し、追い詰められ…という流れに何故か感情移入してしまう仕組みが素晴らしい。
自分自身が現場にいるわけではないので「なんで、そんな憎んでるんだっけ?」となることもあるがラスト含めて、物語として面白い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ中巻はさらに面白さが加速していた。
念動力や呪力が人に宿り、個人が核爆弾に相当する危険性を秘めていたら、その脅威は強力な管理体制が敷かれる世界に繋がるだろうか。上巻で突飛に感じた呪力が、こんなにもヒトの根幹や行動心理、社会性に絡めて展開されるとは思っていなかった。ラーマン・クロギウス症候群と橋本•アッペルバウム症候群が呪力の異個体として明かされる場面は、ページを捲る手が止まらず本当に面白かった。序盤から感じていた不穏さの裏に壮大な陰謀が隠されており、徐々にその片鱗が明らかになっていく過程が緻密で類を見ない作品だと思う。下巻でここからどのように展開し収束するのか楽しみで堪らない。